表面上は何事もなくすごしている家族に漂う不穏な空気。そして、事件。誰の身に起きてもおかしくないできごとを、見事な手腕で秀逸なミステリ、サスペンスに仕上げてきた伊岡瞬さん。最新作『朽ちゆく庭』は『悪寒』『不審者』に続く「家族崩壊」をテーマにした第三弾です。いずれも本誌に連載され、連載時から話題を呼んできました。かつて高級住宅地として開発されたものの、時代とともに変わりつつある朝陽ヶ丘ニュータウン。引っ越してきた一家は夫婦と中学生の三人家族。一見、どこにでもいる平凡な家族ですが、彼らには三人それぞれが抱えた秘密がありました。誰もが陥るかも知れない落とし穴と、その先にある地獄。『朽ちゆく庭』で伊岡さんが描こうとしたものとは。
聞き手・構成=タカザワケンジ
撮影=HAL KUZUYA