『日本会議 戦前回帰への情念』『「天皇機関説」事件』『歴史戦と思想戦――歴史問題の読み解き方』(いずれも集英社新書)と、日本の立憲主義を脅かすさまざまな動きを精緻に読み解いてきた山崎雅弘さん。新刊の『未完の敗戦』(集英社新書)は、今般の東京五輪の開催を巡る論説などを通じて、いまだに根強く残る「大日本帝国時代の精神文化」の有り様を分析しています。なぜそのような精神文化が残存しているかといえば、「先の戦争における『敗戦』が、七七年後の今に至るまで、きちんとした形で総括されず、『完結』していないからではないか」と問いかけています。
折しも、ロシアによるウクライナ侵攻が世界中の注目を集めている現在、本書に描かれた「大日本帝国型の精神」は、日本特殊のものではなく、ロシアのプーチン政権にも大いに共通するところがあることがアクチュアルに迫ってきます。
聞き手・構成=増子信一