2023年度(1月~12月)に反響の大きかった記事をジャンル別でお届けする。今回は「政治記事ベスト10」第2位、立憲・大物新人と噂をされた大築紅葉氏に取材した記事だ。(初公開日:2023年2月2日。記事は公開日の状況。ご注意ください)。
“ポスト蓮舫“と噂の立憲・大物新人、大築紅葉氏(39)に電話直撃 「蓮舫さんをどう思う?」「女性総理を目指してますか?」記者時代は「新聞読んでないから政策全然わかんない!」発言も…【2023政治記事 2位】
集英社オンライン / 2023年12月26日 8時1分
2023年度(1月~12月)に反響の大きかった政治記事ベスト10をお届けする。第2位は、立憲・大物新人と噂をされた大築紅葉氏に取材した記事だった(初公開日:2023年2月2日)。政党支持率が低迷する立憲民主党が担ぐ次世代の看板候補、大築紅葉氏(39)。1期生ながら衆院本会議の代表質問で岸田総理に鋭い質問を連発した彼女はいったいどんな人物なのか。その描く政治ビジョンは? 電話で直撃した。
党勢低迷…蓮舫氏人気の衰えで白羽の矢が立った「大物新人」
「岸田政権は、子どもファーストではなく、『防衛費倍増ファースト』 『防衛増税ファースト』の『子ども政策後回し政権』です!」
1月25日、衆院本会議の代表質問で、立憲民主党の女性議員が声を張り上げた。「そうだー!」と沸く議場の視線を集めるこの女性は、1期生の大築紅葉氏。安住淳国会対策委員長からも「大物新人」と太鼓判を押される存在だ。
全国紙政治部デスクが解説する。
「本会議で総理に直接、政治姿勢や政策課題を問いただす代表質問は、党首や幹事長クラスが行うのが通例。1期生での起用は異例ですが、子育て中の若手女性議員を登壇させることで、党のイメージアップを図る立憲の戦略です」
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代表質問をする大築氏(本人facebookより)
このところ、立憲は党勢低迷が続き、1月中旬に実施された時事通信の世論調査では、政党支持率が2.5%にまで落ち込んだ。野党第一党にもかかわらず、維新や公明をも下回る状況に、党内からは「いつまで党がもつのか」と悲鳴も聞こえる。
党が重要視してきたジェンダー平等、女性議員の活躍という面でも、難局が続く。
「かつて参院選東京選挙区でトップ当選するなど、抜群の知名度と人気を誇っていた蓮舫氏は、2022年の参院選で4回目の当選を果たすも4位。最近では泉健太代表を公然と批判することで話題になっていますが、かつての勢いはありません。
それもあって立憲は以前の蓮舫氏や辻元清美氏のような、党の看板となる次世代の女性議員を育てたいのです」(全国紙政治部記者)
段ボールいっぱいのお土産…
枝野氏の“お気に入り記者”だった大築氏
そこで白羽の矢が立ったのが、大築氏だった。
大築氏は北海道小樽市出身の39歳。フジテレビの政治部記者を経て、2021年の衆院選で地元の北海道4区から出馬。小選挙区では惜しくも敗れたものの、比例復活を果たした。
出馬のきっかけは、北海道4区を地盤としていた本多平直衆院議員(当時)が性交同意年齢をめぐる党内の議論で「50代の私と14歳の子が、恋愛したうえでの同意があった場合に罰せられるのはおかしい」と発言したことだった。
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議員活動だけでなく子育てにも奮闘する大築氏(本人facebookより)
この発言が報じられ、世間の批判が集まると、枝野幸男代表(当時)が本多氏に辞職を迫った。本多氏は議員を辞め、次の衆院選の出馬も断念した。
立憲の若手議員が振り返る。
「本多氏の発言は例が不適切だったとはいえ、非公開の会議でのもの。辞職までさせるほどの不祥事ではなかったという声は、いまだに党内にくすぶっている。紅葉ちゃんが出馬するというニュースを見て、枝野さんが紅葉ちゃんを衆院選に出したかっただけだったんだな、と思った」
この議員が合点がいったのは、大築氏が枝野氏の「お気に入り記者」として、永田町でよく知られていたからだ。
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記者時代から大築氏がお気に入りだった枝野氏(枝野幸男事務所facebookより)
「当時の枝野代表の記者会見で各社の記者は立憲の政策や支持率低迷、野党間の選挙協力などについて質問していましたが、紅葉さんは枝野さんがファンを公言する演歌歌手・丘みどりさんの結婚についてコメントを求めたり、枝野さんが髪型を変えたときにイメチェンの理由を尋ねたりしていましたね。
小樽に帰省した後には、段ボールいっぱいのお土産を枝野さんの事務所に差し入れていました」(全国紙政治部記者)
「政策、全然わかんない!」
政治家との飲み会・カラオケでの素顔は…
会見での枝野氏への質問とはうって変わって、岸田文雄首相には子育て政策、統一教会問題、物価高などについて舌鋒鋭く切り込んだ大築氏。ただ、これまでの大築氏をよく知る人たちからすると、政策課題に対する関心度や見識には疑問符がつく一面もあるようだ。
「現場で一緒に記者をしていたとき、紅葉さんから『これってどういう話?』と聞かれることが何度もありました。それが当時、新聞やニュースで連日話題になっていた教育政策や人権問題の基本的な話だったので、『知らないの?』と聞いたら、『私、政策、全然わかんない! 新聞、読んでないし!』とあっけらかんと言われ、驚きました」
前出の政治部記者は大築氏の過去の政治観をそう振り返って続ける。
「枝野さんは『私は政策の人ではなく、政局の人』と言っていますが、紅葉さんも関心事は政局でしょう。記者時代から政治家との飲み会にはよく顔を出し、カラオケではWANIMAの『やってみよう』など王道ソングを歌って、場を盛り上げています」
そんな大築氏も今や、テレビ局出身という経歴も生かして、華々しく岸田政権批判の最前線に立つようになった。
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街宣活動中の大築氏(本人facebookより)
ただ、突然上がった注目度に、立憲ベテラン議員からは「野党では、『保育園落ちた、日本死ね』質問で知名度を上げた山尾(現・菅野)志桜里氏が若くして抜擢されすぎて、結局スキャンダルを報じられるなど、早くに脚光を浴びた女性議員がつぶれる例があった。紅葉さんもそうならないといいが……」と不安の声も漏れる。
「女性総理、目指しますか」の直撃に大築氏は…
そこで集英社オンライン編集部ニュース班は大築氏に電話で直撃。改めて氏の政治ビジョンについて聞いた。
――1期生での異例の代表質問。終えてみて、いかがですか。
登壇前の一週間は、不安と緊張で、ご飯も食べられず、あまり眠れませんでした。でも、子育てをしながら働いてきた女性、地方出身者としての思いは伝えられたかなと思います。
――代表質問後、「ポスト蓮舫だ」との声も聞かれます。蓮舫氏についてどう思いますか。
予算委員会で、すごく準備して、俊敏なやりとりをされていた蓮舫さんには、憧れ、尊敬の気持ちしかないです。そんな風に言ってもらえるのは光栄ですが、私は蓮舫さんとは違うと思います。蓮舫さんにはなれないし。
――代表質問で「女性総理はいつ誕生するんですか」と岸田総理に問いただしていました。大築さんも女性総理を目指しているんですか。
目指してません。ハハハ! 無理、無理! 修行も経験も足りないですから。私がなりたいというより、岸田総理や、女性総理誕生の動きが感じられない自民党に伝えたい言葉だったかな。そういう(女性総理が誕生する)社会があったらいいなと思って、言ってみました。
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(本人facebookより)
――今後、政治家として、どんな政策に力を入れていきたいですか。
人口減少対策をしたいです。街づくり、地方自治、子育て政策……全部かかわってきますよね。地域ごと、時代ごとに合った政策を打ち出していきたいです。
――登山が趣味だそうですが、山に例えると、政治家として今、大築さんは何合目にいますか。
登山靴を買ったところでしょうか。初当選して、去年1年間はあいさつ回りで必死でした。今やっと登山の準備ができたぞ、みたいな感じ。登る山が低いか高いかも、まだわからない状況です。ハッハッハ。ここからです。まだまだです~。
“ポスト蓮舫”と期待を集める39歳。
くせ者たちが跋扈する政界という連峰への挑戦はまだ始まったばかり?
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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