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寒暖差からくる不調の改善、風邪予防、脳卒中対策に、冬の水分補給が大切な理由「1日1500mlは必要と心得て」〈医師が指南〉

集英社オンライン / 2023年12月20日 12時1分

夏は暑いうえに、熱中症対策もふまえて水分補給を心がけますが、冬は気温が低いため、それほど意識しない人も多いのでは。けれど、実は冬には冬の、風邪予防や寒暖差からくる不調を防ぐために、しっかり水分を摂る必要性がある。冬の水分補給のメリットについて、済生会横浜市東部病院 患者支援センター長の谷口英喜先生が解説する。

冬こそ意識的に水分を摂らないと脱水状態に

汗をかかない冬は、体の水分を失っていることに気づきにくく喉も渇きにくいので、水分補給を怠ると脱水を引き起こす場合があります。
人間はだいたい1日に約2.5Lの水分を失っています。その内訳は尿や便、汗、不感蒸泄(ふかんじょせつ)の4つです。中でも無意識に皮膚や粘膜、呼気から水分が失われる不感蒸泄は、安静時でも1日900ml、体から排泄されています。これは夏でも冬でも変わりません。


夏は暑いし、汗もかくので、意識的に水分補給しますが、冬は夏と同じように水分が体から排泄されているのに、水分不足に気づかないまま、過ごしている場合が多いのです。

また、冬野菜などは水分量が夏に比べて少ない根菜類が多く食卓に並ぶため、食べ物から摂取する水分もおのずと少なくなります。

さらに環境面では、暖房がきいた部屋で過ごすことが多くなるので、室内が乾燥し、湿度が下がるため、それだけ皮膚を通して出ていく水分量は増えることになります。
だからこそ冬は、意識的に水分を摂ることが大切なのです。

水分補給は脳卒中や風邪予防になる

水分補給をしっかりすることは、実は風邪予防にも効果的です。
ウイルスが体の中に入ってこないように、喉、鼻、肺の気管の粘膜にはさまざまな防御機能が働いています。ですが、そこが乾燥していると防御機能はうまく働きません。そして、それぞれの粘膜を潤すためには体液が必要のため、水分をしっかり摂る必要があるのです。
さらに、ウイルスが体に入った場合には、撃退するために白血球が働きます。白血球は骨髄で作られますが、しっかり機能させるには骨髄に栄養と酸素が行き渡ることが大切です。
栄養と酸素を運ぶのは体液であるため、体が水分不足だと白血球が作りにくくなる場合もあるということです。

このように、水分をしっかり摂ることで風邪のウイルスを防御し、またウイルスが侵入したときには撃退するためにも重要なのです。
風邪をひいたら、水分を摂りましょうと医者から言われる理由のひとつはそのためです。

また、寒くなると血圧が上昇することもあり、冬は脳卒中や心筋梗塞の発症が増える傾向にあります。
脳卒中や心筋梗塞の原因はおもに動脈硬化ですが、水分不足だと血液の粘度が上がり、ドロドロした状態になりやすくなります。
そうなると、血管が詰まりやすくなり、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳卒中を発症する可能性が高くなるのです。
日ごろから血圧が高めの人や、生活習慣病が気になる人は、なおさら冬でもしっかり水分補給するようにしましょう。

寒暖差の不調にも水分補給が大切

今年の冬は特に寒暖差が激しいため、さまざまな不調で悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
寒暖差が激しいと体温をコントロールするのが難しくなります。
体温のコントロールは汗と皮膚の血管の収縮と拡張によってされますが、それを司るのが自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、それぞれがアクセルとブレーキのように働き、体温をコントロールしています。寒暖差が激しいとこの自律神経による調整が追いつかず、疲れやすく感じることも。

こういった不調を避けるためにも、必要なときに汗が自然に出るように水分が十分行き渡る体作りをしておくことが大切です。
体の中に水分が十分あることで、体温をコントロールしやすくなるので、寒暖差に体についていけない人こそ、水分補給をしっかりすることをおすすめします。

また、「疲れやすい」「眠い」「集中力がない」なども案外水分不足が原因であることが多いので、一度自分が1日どれくらい水分を摂っているかチェックしてみましょう。

成人ならば1日1500mlくらいは水分を摂りましょう。冬は喉が渇きにくいので、起きたらまずコップ1杯の水を飲む、入浴前に水分補給するなど、ある程度、生活習慣の中に取り入れるようにすると脱水状態になりにくいです。
水だけでなく、お茶やコーヒでもOK。ただしカフェインが入っていると尿が近くなるので、そういった心配がある人はほどほどに。

また、この時期、忘年会など飲酒の機会が増えると思いますが、お酒は水分に含まれません。アルコール(お酒)には利尿作用があるため、むしろ体の中の水分がどんどん失われていきます。お酒を飲むなら、水もしっかり摂取しましょう。

冬も夏同様に水分補給は大切です。寒暖差の不調や風邪の予防にもなるので、しっかり摂るようにしてください。

取材・文/百田なつき

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