2003年、『蛇にピアス』ですばる文学賞を、その数ヶ月後、同作で芥川賞を受賞するという鮮烈なデビューを果たした金原ひとみさん。その後、めまぐるしく変化する社会の空気を鋭くとらえ、その中でもがきながら生きる人間を圧倒的なリアリティをもって描き出してきました。それらの作品が数々の文学賞を受賞してきただけでなく、最近では、ワンオペ育児と母親のペルソナについてのエッセイ(「朝日新聞」2023年11月15日)が大きな反響を呼ぶなど、社会や人間への透徹した眼差しが、属性や世代を超え、幅広い読者の信頼を得ています。若者たちの生の実態を活写した近著『ミーツ・ザ・ワールド』(22年)の映画化も決定し、作家生活20周年を迎えてさらに勢いを増す金原さんの、ここまでの足取りと、今見えている風景、そして今後について。金原さんがもっとも信頼する江南亜美子氏をインタビュアーに招き、伺いました。
聞き手・構成/江南亜美子 撮影/隼田大輔