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【忘年会復活】二日酔いがひどい、記憶がなくなる…は軽度のアルコール依存症かも。「減酒外来」の名医が教える9つのチェックポイント

集英社オンライン / 2023年12月25日 12時1分

健康診断でお酒の量を減らすように言われる、飲みすぎてその日の記憶がない、二日酔いで仕事がつらいときがある……思い当たる人は軽度のアルコール依存症かもしれない。そんな人の受診先として「減酒外来」が注目されている。「減酒外来」の対象者や治療法について大石クリニック、院長の大石雅之先生が解説する。

減酒外来とは

アルコール依存症とは、反復的なアルコールの摂取により飲酒をコントロールすることが困難になり、長期にわたって大量のお酒を飲み続けることで引き起こされる病気です。
アルコール依存症の患者は国内で約100万人と推計されていますが、医療機関を受診しているのは、その約5%に過ぎません。
その理由のひとつに、アルコール依存症の治療は重症患者が対象のため、断酒治療に限られているということです。そのため、重症患者にとって断酒治療はハードルが高く、なかなか治療は進まないことは多くありました。



ですが、アルコール依存症は、ある日突然なるものではありません。
疲れているかも……体調がつらいかも……と思いつつ、病院に行かず、検査もせず、放置していくと大きな病気になってしまうのと同じで、アルコール依存症もはじめはお酒の量や回数が徐々に増えていく軽度から、だんだんお酒を飲まずにはいられない重度へと変化していくのです。
重度になってから治療開始するのでなく、軽度からの治療の必要性に着目して2018年に日本アルコール関連問題学会より「新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン」が出され、早期診断と治療に重点を置くことになりました。これによって「断酒」しかなかった治療目標に「減酒」も加わったことにより「減酒外来」が設けられるようになったのです。

「減酒外来」はお酒を完全にやめるのではなく、お酒の量を減らしていくことが目標のため、受診のハードルを下げ、重症化する前に治療を受けることができ、早期回復の見込みを期待できます。

「症状が軽いときに予防措置をとることが大切です」と語る大石雅之院長

ついつい飲みすぎて、記憶を失ってしまう…そんな人も対象

減酒外来は、アルコール依存症の患者の受診を促進することと、「完全にお酒をやめたくはないけど、もう少し量を減らしたい」という人でも受診しやすくするという目的があります。
なので、最近お酒の量が増えた、お酒で失敗したことがあって、自分の飲み方に不安があるという人でも気軽に相談してほしいものです。

減酒外来の対象となる人は

・お酒とうまく付き合っていきたい
・家族や同僚、友人からお酒を減らしたほうがいいと心配されている
・健康診断で、いつもお酒を減らすように言われている(例:糖尿病、高脂血症、高血圧など)
・ついつい飲みすぎて記憶を失くしてしまう(ブラックアウト)ので何とかしたい
・お酒の量をコントロールしたい
・身体のことが心配なのでお酒の飲み方を見直したい
・二日酔いで仕事に影響があるので何とかしたい
・お酒で失敗しないようにしたい
・休肝日を作れない


などです。

ここ2~3年はコロナ禍によって、外で飲む機会は少なくなったぶん、家飲みが増えたという人や経済状況の不安からお酒の量が増えてつらい…など軽度の症状の人の受診が当院でも年々は多くなっています。
「お酒をすっぱりやめる自信はないけどちょっと減らしたい」という人は、減酒外来をぜひ受診してみてください。

治療はなぜ減酒するのか、動機づけが大切

当院の減酒外来では、週に1度患者さんに通院していただきます。
治療は現在の状態を徹底的にヒアリングして、なぜお酒を減らしたいのかという動機をしっかり掘り起こすことと治療薬の処方の2つです。
とくに減酒する動機づけをしっかりすることは、減酒の成功率と比例します。

例えば、減酒の目的が家族のためなら、家族のために長生きしないといけない→お酒を飲んで体を壊すと家族が悲しむ→お酒を減らそう、というように減酒の動機とモチベーションを掘り起こすことが大切なのです。
その動機さえ自分の中に根付けば、減酒はうまくいくでしょう。

動機の掘り起こしと一緒に、薬物療法もします。
現在、日本において減酒治療で使用できるお薬は、2019年3月に発売されたセリンクロ(一般名:ナルメフェン)のみです。

これは飲みたくなる気持ち(欲求)そのものが抑えられるお薬です。欲求が抑えられれば、少量のお酒で満足できます。その結果、服薬が継続し、飲酒量・多量飲酒日が半分に減るという報告がされています。

減酒外来のメリットは、アルコール依存症が重症化する前に早期治療ができ肝機能値、血圧値、糖尿病、高脂血症などの身体問題の改善が期待できることです。また、多量飲酒してしまう日数を減らし、休肝日を作れるので、気になる人はぜひ受診してみてください。

クリニックを受診するのに躊躇する人は、お酒の量を減らすのでなく、休肝日を作るようにしてみましょう。毎日飲んでいるなら、1日はお酒を飲まない日を作るようにしたほうが、日々の酒量を減らすより取り組みやすいはずです。

お酒を少し減らすだけでもさまざまな病気のリスクが軽減されます。
飲みすぎが心配な人にとって、「減酒外来」は今後の選択肢のひとつとして知っておくといいでしょう。

取材・文/百田なつき

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