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「女王様にボコボコにされるのが好き」「Mの女の子を服従させたい」SM特化のマッチングサイトで付き合ったカップルが明かす性的嗜好の相性でパートナーをつくるメリット

集英社オンライン / 2023年12月26日 17時0分

容姿や性格、趣味、学歴、収入など、恋人やパートナーを見つけるときに参考にする要素は人によってさまざま。現在、多様なコンセプトのマッチングアプリが乱立するなか、SMに特化した「SMマッチングサイト」まである。そうしたサービスで出会い、恋人となった、そうたさん(33)、りんさん(25)の2人にSMについて話を聞いた。

【関連記事】「『SMの相性が抜群だったので結婚しました』と言える社会を目指して」…性癖による相性を重視する「AI性癖マッチング」サービスの実態

「SMマッチングサイト」で付き合ったSM好きの2人

──はじめに、そうたさんとりんさんの出会いについて教えてください。

そうたさん(以下、そうた) 私は一応スイッチャー(SとMの切り替えができる人)なのですが、これまでの歴代の彼女とは性的にあまりうまくいかず、いい関係性を築くことができませんでした。半年ほど前、前の彼女と別れたときに新宿のSMバーで飲んでいたのですが、以前X(旧Twitter)で見かけた「SMマッチングサイト」の存在を思い出し、酒の席の悪ノリで登録しました。そこで、りんさんのプロフィールを見つけて「いいな」と思い、メッセージしたのが最初ですね。


 
──りんさんのプロフィールを見て、どのような点に惹かれたのでしょうか?

 
そうた 彼女のプロフィールに、理想の主従について「主と忍者(主人に仕える家臣)のような関係になりたい」と書いてあった点ですね。それを見て「この子、なんかおもしろいな」と思ったのがメッセージを送ったきっかけです。
 
りんさん(以下、りん) 私は、2023年の春頃にTwitterで「SMマッチングサイト」の存在を知りました。もともとアンダーグラウンド系の文化が好きで、緊縛や拘束、被虐などに興味がありました。ですが、1人でSMバーに行く勇気がなかったので、まずは「SMマッチングサイト」で友達をつくろうと思ったのがきっかけです。
 
ですが、サイトではM男性から「あなたの奴隷にしてください」とか、S男性から「快楽に導いてあげるよ」といった距離感のおかしいメッセージがたくさんきまして(笑)。そのなかでていねいで誠実なメッセージをくれたのが、そうたさんでした。
 

──そこからどのように付き合うまでに至ったのでしょうか。
 
りん サイトのメッセージやTwitterのDMでしばらく話したあと、デートをすることになりました。ですが、2回目のデートまではSMや性癖の話は一切していなくて。本当に普通のデートだったので、「この人は何が目的なんだろう」と思っていました。
 
そうた 最初は「好きにならなかったら友達でいいや」と思っていました。ですが、会ったその日からめちゃくちゃ好きになってしまいまして…。2回目のデートのときに僕から告白して、付き合うことになりました。そこで初めて「新宿のSMバーに行ってみる?」といったデートをしましたね。
 
──SMバーではどんな感じで過ごされたのですか?
 

そうた りんさんに首輪をつけて遊んだりしていました(笑)。その後、互いのSMの趣向や性癖、性格が噛み合ったこともあり、恋人関係はかれこれ半年続いています。

SMの相性でパートナーをつくるメリットとは?

──現在、巷にはさまざまな出会い系アプリがあふれていますが、「SMマッチングサイト」の魅力はどのようなところだと感じましたか?
 
そうた SM界隈で活動するには、自分の性癖がどのようなものかを把握していないといけません。つまり、自己分析が必要なのです。例えば「被虐のMが強くて、女王様にボコボコにされるのが好き」とか、「支配が強いSで、Mの女の子を服従させたい」みたいな。このような性癖って意外と自分自身でわかっていないことが多いので、それをサイト内で分析できるのは魅力のひとつだと思います。
 
りん 私は興味本位でサイトの活用を始めたのですが、さまざまな価値観の人と話して、自分がどのように考えたり感じたりするかが明確になりました。また、SMという趣味の共通した友達やパートナーができるので、そこは大きな魅力だと思いました。都市部ならSMバーがありますが、地方だとそのような場所は少ないですからね。
 
──SMを通して人と知り合う場所って、かなり少ない印象がありますね。
 
りん そうですね。サイトができたことで、アンダーグラウンドにいた人たちがオンラインでの交流の場を持てたのはいいことではないでしょうか。SMバーって初心者が入店するには敷居を高く感じてしまうことも多いです。だからこそ気軽に始められるサイトがあることで界隈の人と知り合うことができますし、私としては性癖の合う彼氏ができたので、ありがたいですね。

──お2人にとって、SMの要素が互いの関係性の成立・維持に不可欠だったと思いますか?
 
そうた 思いますね。僕はプレイのときにスイッチが入ると、相手の首を絞めたりお腹を殴ったりします。彼女が痛がっているのを見るとすごく興奮するんです。また、スパンキングや鞭プレイもよく行っていて、ときどきパドルやUSBケーブル、プラスチックのハンガーなんかを使ってお尻を叩いたりもします。
 
こんな風に僕は加虐願望や攻撃衝動が強いので、その辺にあるものを暴力性に結びつけるのが楽しいんですよ。このような性癖を受け入れてくれて、かつお互いに楽しめるパートナーを見つけることは、普通のマッチングアプリやリアルな出会いなどでは不可能です。互いの性癖や嗜好を認め合い、セックスやプレイでも関係性が崩れずに楽しめるのも、SMでマッチすることの大きなメリットだと思います。

最良のSMパートナーを見つけるための方法とは?

──お2人の考える、SMパートナーや恋人を見つける方法を教えてください。
 
そうた 男性の登録者数は女性よりも圧倒的に多いですし、SM好きの女性は初心者に厳しいし、見向きもしません。そして、SMの世界には緊縛や加虐、服従、被虐などを極めたプロが大勢いますので、彼らと勝負ができるような知識や技能の習得が必要になります。たとえ女性に怒られても「すべて私のせいです」と謝り、責任を全うすることで自己研鑽されていくと思います。たくさん失敗し、経験を積むことが大事ですね。

──男性にとって、SMの世界でパートナーや恋人を見つけるのはとても大変なのですね。
 
そうた そうだと思います。そして、もうひとつ必要なのは「経済力」です。やはり、飲食代やSMバー代、ホテル代などは男性が持つべきという風潮がまだまだありますし、特にSを目指す男性はSMの講習会や緊縛の練習会、SMグッズなどにお金がかかります。そのため、まずは「仕事をがんばりましょう」と言いたいですね。

──次に、女性の方はどのようにパートナーや恋人を見つければよいでしょうか?
 
りん 前提として、嫌なことはちゃんと「嫌!」と言えるメンタルを持つことが大事です。SMは危険なことが多いですからね。最悪事故を起こして後遺症が残ることもあるので、自分の身は自分で守ることが重要です。あとは、自分が苦しむような人間関係をつくるのはやめた方がいいです。服従や束縛といった関係性が好きなのであればいいですが、そうでない場合は付き合うのをやめたほうがいいと思います。
 
りん 互いの性癖や性格のすり合わせをちゃんとしないまま、パートナーを選ぶのはダメだと思います。ですので、まずは自己分析を行って自分の性癖や性的嗜好を把握し、パートナーや恋人候補としっかりと話した上で、関係性を作っていくことが大事ですね。
 
──関係性をつくっていく上で、やはり性癖を自分自身で知っておくことが重要なのですね。最後に、日本最大級のSMマッチングサイト「Luna」運営者のひのさんより、今後SMを始めたいという人に一言お願いします。
 
ひのさん
 世の中には「SMがないと生きていくことが難しい」という人も存在しています。「SMマッチングサイト」ではそのような方の一助となるよう、多種多様な性癖を肯定的に捉えられるような場所をつくっていきたいなと思っています。ちょっとでも自分の性癖や嗜好に違和感を覚えたり、「もしかしたら周囲と比べて変かもしれない」と思ったりしたら、気軽にSMの世界に入ってきていただけたらうれしいです。

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取材・撮影・文/越前与

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