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ちりばめられた愛すべき80年代カルチャーを楽しもう! Netflix大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』

集英社オンライン / 2022年5月30日 17時1分

今や、全世界待望となったNetflixドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン4(Vol.1)が、5月27日(金)にいよいよ配信スタート! Vol.01に続き、本シリーズの魅力を徹底解説。まだ見たことがない人でも、これを読めば余裕で追いつけること間違いなし!

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の舞台となる80年代アメリカといえば、ロナルド・レーガン大統領の在任期間であり、日米貿易摩擦やソ連との冷戦構造下で、「強いアメリカ」を徹底的に標榜していた保守的な時代…そんな認識がある。「目に見えない外敵」に対する言いようのない不安が、一見平和な市民生活の背景に忍び寄っていたのではないか。そんな中、ハリウッド映画では、『E.T.』(1982)『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作(1985-90)『グーニーズ』(1985)などファミリー向け大作志向が強まる一方、『ブレードランナー』(1982)、『ターミネーター』(1985)、『ランボー』(1982)、『トップガン』(1986) などなどの大ヒット映画を量産し、また、現在でも語られるカルチャーが数多く芽吹いた時期であるともいえる。本シリーズの魅力の一つが、これら80年代カルチャーがちりばめられている点であることは否めない。果たしてそれがもたらす意味とは…?

『E.T.』(1982)で少年たちが乗るBMX(自転車)

「80年代」フックは、単なるオマージュの羅列ではない!

ではここで、『ストレンジャー・シングス』に出てくる、80年代オマージュを数えてみよう。シーズン1第1話を取り上げて、出てくる時間(分と秒)ごとに羅列してみる。

01:50
・地下室で「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に興じる少年たち…スティーヴン・スピルバーグ監督作品『E.T.』(1982)の冒頭と同様。
03:35
貼ってあるポスターが、ジョン・カーペンター監督作『遊星からの物体X』(1982)。
04:00
・ピザ…これも『E.T.』オマージュ。ちなみに日本にピザ屋が開業した理由も『E.T.』の大ヒットにあやかっているという説がある。
04:21
・BMX(自転車)…これも『E.T.』のアイコンだ。
07:24
・家の裏手に物置小屋…これも『E.T.』冒頭を連想させるシーン。
08:19
・電球の明滅…こちらもスピルバーグ印。
08:24
・テーマ音楽とBGM…シンセサイザーを用いて自ら自作のテーマ曲を作曲したジョン・カーペンター監督作品を想起させる。
09:10
・タイトルデザイン…スティーヴン・キング作品のペーパーバックカバーのロゴを彷彿とさせる。
10:00
・ジム・ホッパー…『プレデター』(1987)で、ダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)以前に森に入っていた先遣隊。プレデターの最初の犠牲者ということになる。
16:11
・【楽曲】Can't Seem To Make You Mine/ The Seeds
21:43
・【楽曲】She Has Funny Cars/Jefferson Airplane
24:16
・闇の森…「指輪物語」及び「ホビットの冒険」に登場する森。
26:50
・【楽曲】I Shall Not Care/Pearls Before Swine
25:57
・ラダガスト…「指輪物語」に登場する「茶色の賢者」。
26:02
・『ポルターガイスト』のチケット…1982年、トビー・フーパー監督。スティーヴン・スピルバーグも製作・脚本に関わる。
26:14
・ピエロが怖い…キングの小説「IT」(1986)…ではありえないので、その発想元となったジョン・ゲイシー事件のことだろう。
28:55
・【楽曲】Jenny May/Trader Horn
38:50
・【楽曲】White Rabbit / Jefferson Airplane…「不思議の国のアリス」をモチーフとした楽曲。デヴィッド・フィンチャー監督の『ゲーム』(1996)や、近年ではラナ・ウォシャウスキー監督の『マトリックス レザレクションズ』(2021)でもフィーチャーされた。
41:07
・【楽曲】TOTO/Africa
※数字はNetFlixにおける再生時間

シーズン1第1章の49分間。ざっと挙げるだけでも、これだけの「80年代カルチャー」がちりばめられている。80年代を舞台とする本シリーズにとって、コレは超重要なエレメントだ。セットや衣装などだけでなく、サウンドや空気感をも再現する試みであり、あちこちに散らばるカルチャーの散らばるカルチャーに気づいた視聴者をニヤリとさせることで「ハマ」らせることになるからだ。

・ティム・バートン監督初期作品で大注目されたウィノナ・ライダーが、まさかのシングル・マザー役で80年代が舞台の物語に!?
・こ、このシンセサイザーのBGM…ま、まさかジョン・カーペンター監督オマージュ!?

『シザー・ハンズ』(1990)
ティム・バートン監督。ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー主演

などなど、ほかにも筆者が自室でひとり狂喜乱舞したこれら「トリビア」をひとつひとつさらっていくことは、他のサイトやブログなどでもとうの昔に行われているため、敢えて割愛する。アナタには是非、本シリーズをご覧になりながら、自身で探ってみていただきたいのだ。

本記事では、筆者が特に物語にとって特に重要であると感じた「いくつか」についてのみ記載していこう。
それはシリーズの進行と共に、もっと言うと主要メンバーの成長や年代の進行と共に、ホーキンスの街もカルチャーも、しっかりと進行していくところである。

たとえば、ウィルをはじめとする少年たちが「ハマる遊び」。
1983年が舞台となるシーズン1で、彼らはTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に夢中だ。これはあらかじめ作成したシナリオを元に、プレイヤーがダンジョン・マスターとトークしながら配役を演じ、物語をプレイするボードゲームであり、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」など、アナタがよく知るRPGの元祖だといえる。ダンジョンに巣食うモンスターを撃退できるか否かは、「ファイター」や「ウィザード」といった様々な能力を持った配役を演じるプレイヤーの協力や戦略、そしてサイコロを振るアナタ自身の運次第だ。
1970年代に登場し、爆発的にヒットしたこのTRPGは、本シリーズの根幹を成す要素であり、また1980年代を代表する映画監督スピルバーグの『E.T.』に対する熱いオマージュでもある。本シリーズの冒頭は、『E.T.』そのものと言っても良い。
ちなみにドリュー・バリモアやヴィン・ディーゼルなどなど、各界の有名人の中にも多くの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」ファンが存在。幾度かの映像化もされているが、最新映画の製作がクリス・パイン主演で進行中(2023年公開予定だとか!)

しかしこの「子供たちがハマる遊び」も、ドラマのシーズンの移ろいと共に変化していく。
1年後の1984年を描くシーズン2では、自宅でテーブルを囲むTRPGから、ゲームセンターのアーケードゲーム「ドラゴンズレア」や「ディグダグ」へ、映画館で上映される映画も『ターミネーター』(1984)へと移り変わる。

ゲームに興じる謎の少女。ハンドルネームは「マッドマックス」だ!!

さらに1年後の1985年を描くシーズン3では、ホーキンスの街にも大規模商業施設「スターコート・モール」が登場。その映画館で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)を見る…かと思いきや、同時期公開の『死霊のえじき』(1985)を見る少年たちに、筆者は思わずガッツポーズした。ショッピング・モールといえばジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』、そして『死霊のえじき』もまた、ロメロ監督作品だからである。

『ゾンビ』(1978) 全米公開は1979年。
ジョージ・A・ロメロ監督
原題は『ドーン・オブ・ザ・デッド』。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1964)の続編に位置づけられる。ゾンビが蔓延した終末世界を舞台に、生き残った主人公たちがショッピングモールに立てこもりサバイバルする。

『死霊のえじき』(1985)
ジョージ・A・ロメロ監督
原題は『デイ・オブ・ザ・デッド』。『ゾンビ』の続編に位置づけられる。生存者と死者の数は遂に逆転し、僅かな生存者たちは閉鎖されたちは軍施設に立てこもる。

ちなみにこの「スターコート・モール」は、1983年頃に建設されたジョージア州のグウィネット・モールを改装し、物語の舞台として使用しているのだが、「ショッピング・モール」がアメリカにもたらした意味を考えると、シーズン3はさらに興味深い。
1970〜1980年代に起きたショッピング・モールの隆盛は、地域の小さな商店をことごとく潰し、アメリカを破壊したものでもあるからだ。行く場所がなくなり、人々が目的もなくうろつくモールの異常性を憂いたロメロ監督が描いたのが『ゾンビ』であり、そしてシーズン3の舞台は…と考えてみると、巨大なアメリカ文化の栄華と憂いが顕(あらわ)になる。

シーズン4で描かれるものとは? そして今見るべき理由とは?

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は、ありがちな大人不在のジュブナイルでも、1980年代オマージュを客寄せパンダ的にちりばめただけの懐古主義でもない。当時のカルチャーに対する強烈なリスペクトを抱きつつ、当時のアメリカが内包し、現在にまで残存している社会的問題すらも、軽やかに、面白く、ファンタスティックにファンタジーの中で描き切った物語だ。
そして最新シーズン4を鑑賞して真っ先に驚かされるのは、きっと登場人物たちの「成長した姿」であろう。何しろ、2019年配信のシーズン3から、3年もの歳月が流れているのだ。シーズンごとに見た目も中身も大きく成長していくキャストたちは、現在では全米を代表するスターへと羽ばたこうとしている。彼らの原点から成長までを一気に眺めるチャンスが、今まさに、このタイミングだといえるのではないだろうか。

…ちなみに筆者は「イレブン」という名前を聞いた瞬間、真っ先に“日本初の特撮実写ロボット映画”『ガンヘッド』の登場人物を想起したのだが……あれは1989年の作品なので、さすがにあまり関係ないみたいだ。

写真/AFLO

編集協力・キャラメル・ママ(渡邉ホマレ)

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