日本からだとどうしても遠い国の出来事になってしまうが、トルコにいるとイスラエル・パレスチナ紛争は身近である。先月、私の学生の兄がパレスチナでイスラエル軍の空爆によって亡くなった。トルコのテレビ局で働く私の友人は今、取材のためにイスラエルにいる。
トルコにおける「イスラエル・パレスチナ言説」というと、もっぱらイスラエルやパレスチナに対するエルドアン大統領の外交姿勢やトルコのメディアの反応が紹介されるだろう。例えば、エルドアン大統領はイスラエルのパレスチナへの空爆を受けてイスラエルを「テロ国家」と批判し、一方でムスリム同胞団系イスラム組織ハマースを「テロリスト」として批判しない、と発言している。
トルコは親イスラム、世俗主義、国家主義、マルクス主義などイデオロギーによって社会が大きく分断されやすいが、ことイスラエル・パレスチナ紛争において国民は総じてパレスチナに同情的である。先日も、イスラエルのジェノサイドを非難する大規模なデモがイスタンブールで行われた。