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塩分の摂りすぎで高血圧になる、コレステロールは悪者…は本当? 薬剤師が教える、案外知られていない血圧対策

集英社オンライン / 2024年1月14日 11時1分

高血圧に悩み、コレステロールや塩分を摂りすぎないよう気をつけている人は多い。だからといってコレステロール対策の薬を安易に飲むことも危ない行為だという。人が塩分を摂ったときのメカニズムや、コレステロールの体内での働きを『薬も減塩もいらない 1日1分で血圧は下がる!』より一部抜粋して紹介する。

血圧を下げるには減塩が一番?

高血圧にならないように日常生活で気をつけていることで、多くの人が実践しているのが、「減塩」ではないでしょうか?

ですが「塩分の摂りすぎで血圧が高くなる」というのは誤りであり、いまだに言っている人は新しい情報に更新していないだけです。

実際に、血圧が上昇するほどの塩分量は摂れません。考えてみてください。私たちは海水を飲もうと思っても、飲めませんよね?塩っ辛すぎて、吐き出してしまうでしょう。



このように、高濃度の塩分を摂ろうとすると、「その塩分量は体に毒だよ!」という味覚センサーが働き、脳からSTOPの指令が出ます。たとえば、ポテトチップスを1袋食べてしまったときなど、しばらくしてからすごくのどが渇いてきますよね。ちゃんと私たちは、摂りすぎた塩分濃度が下がるまで水分を摂ろうとします。

味が濃すぎるとか、甘すぎるとかといったときも同様。それは体に悪いからと、脳は指令を出して食べるのをやめさせたり、あるいは水分をたくさん摂らせて薄めさせたりしてくれるのです。

本当に人間の体はうまいことつくられていて、高血圧になってしまうほど大量の塩分は摂れないようになっています。日々、血圧のためにと塩分を減らすことは、残念ながら食事が味気なくなるだけで、意味のないことなのです。

コレステロールは本当に悪者!?

もう一つ、高血圧の犯人としてまことしやかに言われているのが「コレステロール」です。中でも悪者扱いされているのが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL。血管の内壁に溜まってプラーク(血管内壁のコブのこと)をつくり、動脈硬化を促進していると言われています。

そのため最近は、健康のためにもコレステロールを減らしましょうということが声高に叫ばれています。でも、そんな悪者のコレステロールが、実際には自分の肝臓でつくられているって知っていましたか?わざわざ自分の体でつくっているわけですから、悪者どころか重要な物質だということです。

では、コレステロールの働きをいくつかご紹介します。

①全身の細胞ひとつひとつの細胞膜の原料です。ですから、コレステロールがなければ細胞分裂はできず、新しい細胞がつくられなくなってしまいます。

②性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど体の重要なホルモンの材料にもなっています。

③骨の成長には欠かせないビタミンDの原料にもなっています。

つまり、人はコレステロールがなくては生きていけないのです。

そのコレステロールは、70〜80%が肝臓でつくられ、あとは外からコレステロールを含む食品を食べることで補っています。

もし大量のコレステロールを含む食事をしても、肝臓がつくるのを控えて常に同じ量になるように調整してくれます。ですから、きちんと運動をして消費されている限り、食事の摂取がコレステロール値に反映されることはありません。

塩や砂糖の摂取量もそうですが、体に害が及ぶほどたくさん摂ろうとすると、まずくて食べられなかったり、喉が渇くので水を飲んで濃度を薄めようとしたりします。そのように私たちの体はちゃんとバランスを取るためのセンサーが働いていて、何でも摂りすぎることがないよううまく調整しているのです。コレステロールも同様。食事で多く摂りすぎたときは、肝臓が分泌量を抑えて調整してくれているのです。

たしかに動脈硬化の人の血管を調べたとき、血管内壁にベッタリとコレステロールが張りついているのは事実です。でもそれは結果論で、動脈硬化になるような血管だったからコレステロールが修復しようとして集まったのではないか?そういった見解も出てきており、必ずしもコレステロールが高血圧や動脈硬化につながる、とは言い切れない部分もあるのです。

コレステロールの薬を安易に飲むのは危険!

そこで私は人間ドックを受けるとき、ある実験をしてみました。

血液検査では、コレステロール値も調べます。コレステロールが細胞の修復をしているなら、激しい筋トレを行って筋肉を破壊したとき、コレステロールが増えて壊れた筋肉細胞を再生しようとするはずです。

すると血液中のコレステロール値も大きく上がるのではないか?と考え、私は人間ドックを受ける前日にあえて激しい筋トレを行って、血液検査に臨んだのです。結果、予想通りコレステロール値は異常に上がっていました!改めて「人間の体はすごいな」と感心したものです。細胞を再生するための機能がこんなにしっかり働いているなんて、と。

前回の血液検査では、私のコレステロール値は正常値を示していましたから、今回大きく上昇したのは明らかに筋トレの影響によるものだと思われます。ですが検査結果を見た医者に、「コレステロール値が高いですね。お酒もタバコもやらない?なら運動不足ですね」と言われたのです。

このようなことを踏まえると、コレステロール値が高いからといって安易に下げる薬を飲むのは非常に危険だということがわかります。というのもコレステロール降下剤は、肝臓でのコレステロール生成を抑えるというもの。それは全身の細胞の再生を抑えることにもなり、大切なホルモンの生成すら危うくなります。さらには骨の強化も損なうわけですから、デメリットのほうが多くなってしまう。実際、赤ちゃんが飲んでいるお母さんの母乳を調べると、25%がコレステロールです。そのくらい生きるために必要なものなのです。

コレステロール悪者説については、2005年頃から懐疑的な意見が増えてきています。それを受けてか、厚生労働省も2015年に食事摂取基準のコレステロール上限値を撤廃しています。血圧のためにコレステロール摂取を減らすのは、ご自身の体のために、今すぐやめてください。

痩せている人は高血圧になりにくい?

他にも高血圧に関する間違った知識はたくさんあります。たとえば高血圧と体型の関係。皆さん、高血圧というと太っている人がなるもので、痩せている人はなりにくいと思っていませんか?でも現実は、痩せている女性にも高血圧の人はいっぱいいます。なぜなら筋肉量が少ないから。

血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしているのは心臓だけだと思っている人が多いのですが、手足の末端まで血液を送り届けるには、筋肉という補助ポンプの力が重要です。痩せていて筋肉が少ない人は、当然筋肉という補助ポンプの力が弱いですから、心臓にかかる負担が大きくなります。心臓が頑張って血液を押し出すので、その結果、血圧は高くなる。

結局、太っている人も痩せている人も血圧が高くなる理由は実は同じで、筋肉が少ないからなのです。外からの見た目は関係ありません。


写真/shutterstock

『薬も減塩もいらない 1日1分で血圧は下がる!』(講談社)

加藤雅俊

2023/11/17

968円

160ページ

ISBN:

978-4065340165

ノーベル賞受賞理論を実践し、
「シンプルな体操で、血圧を下げる」と話題を呼んだ人気書籍が、
待望の新書化です。

【血圧は簡単な体操で下がる!】

血圧を下げるには、薬を飲むか、減塩するしかない……そう思っている方がほとんどでしょう。でも実は多くの場合、血圧は簡単な体操だけで下がるんです!

血圧が高くなる大きな原因のひとつに、血管が硬くなることがあげられます。そこで最近注目されているのが、血管を柔らかくする物質NO(一酸化窒素)です。NOにその働きがあることを発見した研究は、1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

このNOの分泌を効率よく増やす体操を、薬剤師/薬学研究者で予防医学の第一人者である著者が考案。年齢、体力を問わず誰にでもできる簡単な体操を、本書で公開します!

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