AIソリューションプランナーとは? 文系人材にこそ活路がある! AI時代に活躍できる新たな仕事
集英社オンライン / 2024年1月15日 11時1分
ChatGPTの登場から約1年。急速に成長をし続けているAIは我々の仕事をどのように奪うのか、盛んに議論がなされている。そもそもAIに対して優位性を保つことができる仕事は生き残っていくことが想像されるが、それとともに、AIと仕事を共有できる人材も重要視されてくるだろう。AIと人間の架け橋AIソリューションプランナーの仕事を『AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?』より一部抜粋して紹介する。
アイディアを発想する人
AI時代に求められる人材について考えていきましょう。
1つは当然ですが、アイディアを発想できる人です。アイディアを形にすること自体は、生成AIの利用を通じて簡単になっていきます。当然ながら、AIよりも優れた表現力のある人は、生き残れるでしょう。そういう表現力がないのでなければ、これからのクリエイターはアイディア力で勝負するしかありません。
問題発見・問題解決能力を持った人
アイディアを持つことと関連していますが、問題発見・問題解決能力を持った人材を育てることも必要です。世の中にはいろいろな問題がありますが、ほったらかしにされているものが少なくありません。
経済問題だけでも、少子化や貧困、地域経済の衰退など解決されていない問題は山ほどあります。いじめや児童虐待、高齢者の孤立など、社会問題も山積みです。
こうした問題を解決するための具体的な案を、政府や自治体に提言できる人や、起業しビジネスを通じて解決できる人などが強く求められるようになります。主体的な意志や価値判断能力を持っていないAIには、そうした人の代わりは務められないからです。
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ヴィジョン・ビジネスモデル・ブランディング
ヴィジョンやビジネスモデルを作れる人材や、商品・サービス・会社などのブランディングができる人材もAI時代に欠かせません。主体的な意志や価値判断ができないAIは、こうした能力も持ちにくいのです。
なぜGAFAM(IT企業の雄であるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトの5社の総称)のような企業が日本にないのか、という議論があちらこちらでなされています。
最近の日本企業がアメリカに比べて、ヴィジョン、ビジネスモデル、ブランディングの面が不得意というのが理由の1つでしょう。ここで言うヴィジョンとは、「これからの世界はこうあるべきだ」とか「自分は世界をこう変革したい」といったことです。
こういった人材は、子どもたちを点取りマシーンに育てることが中心になっている今の日本の教育からは出てきにくいでしょう。さらには、戦争に負けて以降、日本人は新しい哲学・思想は欧米から輸入してくるものだと思っている節があります。
戦争の際に掲げた「大東亜共栄圏」のようなヴィジョンについては、大いに反省すべきだと私も考えていますが、アメリカに従属するだけで、自らは何もヴィジョンを掲げなくなった戦後の在り方もまた反省すべきでしょう。
そのうえ、バブル崩壊後はデフレ不況を伴った経済停滞に陥っていて、気持ちが後ろ向きになっています。言い換えれば、冒険せずに、ちまちまとこれまでのやり方で稼げれば御の字というような、せせこましい考えに陥っているのです。
いずれにせよ、「詰め込み教育」「敗戦後の従属的なスタンス」「デフレ不況」の3つの要素によって、今の日本人はヴィジョンを作る力が乏しくなっているのです。余談になりますが、CMHというコンセプトは、私が「AI時代に残りやすい仕事の性質」として自ら考案し、2015年頃から主張しているものです。
ところが、最近ある人の本に「世界の専門家の多くが、AI時代にはクリエイティヴィティ、マネージメント、ホスピタリティが残りやすいと言っている」という趣旨のことが書かれているのを目にしました。「いやいや、それ言い始めたの、日本人であるオレなんだけど」と心の中でツッコミを入れてしまいました。
こうしたことも、「日本人は独自のヴィジョンを生み出さないものだ」という思い込みから来ている気がします。そして、その思い込みを私は嘆かわしく思います。もっと日本人自身が気概をもってヴィジョンを掲げていくべきでしょう。
AIソリューションプランナーとは?
ここまでは、AIに対して人間に優位性がある部分を活かし、「人間、頑張りましょう」というお話でした。その一方で、AIを活用していけるような人材というのも当然必要になってきます。
AIを研究開発するのは理工系の人であるため、文系の自分には関係ないと思われる人も多いかもしれません。しかし、AIを活用した商品やサービスの提案、現場のソリューション(解決案)を提供する仕事は、むしろ文系の人に向いています。
「AIソリューションプランナー」という言葉がありますが、これはAIを活用して問題解決を図る方法を提案する職業のことを指します。たとえば小売の現場では、「AIカメラ」を導入することで、「欠品管理」を自動化できます。これは、店内に設置されたカメラの映像を絶えずAIが解析して、商品が不足したらアラートを鳴らすしくみです。
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写真はイメージです
こうしたシステムの開発自体は理工系の人が行うわけですが、こうした人たちは技術に精通している一方で、現場で具体的にどのような問題が起こっているのかについては、深く理解していない場合が多いです。
そのため、現場で困っている人と技術を持つ人をつなぐ役割が必要となります。そうした職業であるAIソリューションプランナーの需要も、これからますます高まっていくでしょう。
写真/shutterstock
AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?(SB新書)
井上智洋
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2024/01/05025806987758/400/81fcRD6kHEL._SL1500_.jpg)
2023/11/7
990円
264ページ
978-4815622374
人工知能(AI)で明暗が分かれる仕事、業界、日本社会…その未来を経済学者が大予測!
ChatGPTを代表格とする文章生成AI、ミッドジャーニーやステーブル・ディフュージョンに代表される画像生成AIなど、各ジャンルで高機能のAI技術が続々と誕生している今。あらゆるビジネスパーソンはそれらの概要を理解し、使いこなせなければ生き残れない時代が到来しているといえます。
さらには、最新のテクノロジーツールを自在に操れたうえで、自らのプレゼンスを高めるために、「己の付加価値をどうビジネスで生み出すか」が問われ始めてもいます。
そんななか、多くの働く人の頭にあることは、「テクノロジーによって自分の仕事が奪われるのではないか」「共生していくにしても、太刀打ちできる気がしない…」という危機感でしょう。
数年前は、「どんなに技術が進歩しても、ヒトにしかできない仕事やクリエイティビティはある」と信じて疑わなかった人々でさえ、この現実を目の前にして「いよいよ本格的に多くの人が失業するのでは?」と考えを一転させているはずです。本書は、かねてよりAIやメタバース、テクノロジーと雇用の関係性について、先見的な意見を述べてきた経済学者・井上氏が、この大変革期に「人工知能が私たちの雇用と経済に与える影響」についてやさしく語る1冊です。
AI失業 生成AIは私たちの仕事をどう奪うのか?
はじめに
第1章 生成AIが変える世界
第2章 AIで産業はどう変わるか?
第3章 人工知能は日本経済をどう変えるか?
第4章 AIと人間は共生可能か?
外部リンク
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