–––先ほど「よい読後感のために、一度ストレスを作らないといけない」とおっしゃっていました。ということは、まずストレスのある状況やキャラクターを考えて、それをどう解決するかというアプローチで作品を描いているのでしょうか。
アンギャマン(以下同) そういうことが多いですね。読後感をよくするのって、問題を完全に解決させなくてもいいんですよ。その場とか、そこにいる人たちが「よかった」と納得していればいいというか。
たとえば『ラーメン赤猫』でいうと、佐々木が炎天下の中を歩く赤ちゃん連れのお母さんを見つけて、店に招き入れてラーメンを提供する話があるんですが、あれも今後のことを考えると課題がたくさんありますよね。「いつでもできることじゃない」とか、「今後もそれを期待されたら困る」とか。
でも、佐々木の明るい反応と、文蔵が「無理のない範囲でな」と言ったことで、その場は丸く収まっている。それでいいんだと。