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《災害時に備えたい暮らしのヒント》通帳、カード、保険証、印鑑、家の権利証、なくなって困るものは? なくしたらどうすればいい?

集英社オンライン / 2024年1月15日 13時1分

「災害に備えて貴重品は手元に置いておけ」という防災ルールがある。しかし、貴重品がいつもそばにあるとは限らず、今月起きた能登半島地震をはじめ、災害時には貴重品より避難行動が優先される。では、通帳やカードといった貴重品を災害で紛失した場合の救済策はあるのか、災害復興法学の創設者であり、弁護士の岡本正先生が解説する。

通帳・カードがなくても預貯金は引き出せる

能登半島地震発生から2週間経った。広範囲で甚大な被害が報告されているが、通帳やカード、保険証といった、貴重品を持ち出せず避難行動された人も多いだろう。こうした貴重品を紛失した場合の支援や対策はどうなっているのだろうか?

●通帳・カード
「能登半島地震において、災害救助法が適用されていますので、金融庁や財務局から『災害等に対する金融上の措置』が発表されています。これによれば、通帳の紛失に関しては、本人であることが確認できる書類の提示により預金の払い戻しができる、また本人確認書類がなくても、氏名や住所などの登録されている情報と一致すれば預金を引き出すことができるなど記述されています。」(岡本先生、以下同)



通帳やカードがなく、運転免許証などの本人確認書類がなくても、窓口で本人確認の上、預貯金を引き出せるということだ。

「ただし、このような対応について、金融機関が全契約者に直接知らせてくれるとは限りません。自ら問い合わせするか、弁護士会などの無料法律相談を利用するなどしてください。今回の災害の場合、通帳やカードは無料で発行してくれることがほとんどです。紛失したから権利がなくなるということではありません。」

令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(新潟県)/関東財務局
https://lfb.mof.go.jp/kantou/kinyuu/pagekthp031000102.html


北陸財務局
令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(石川県)(PDF形式:76.7KB)
令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(富山県)(PDF形式:75.5KB)
令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について(福井県)(PDF形式:75.8KB)

●健康保険証
大災害では、健康保険証が手元になくなってしまう人も多い。健康保険証がなくて、治療を受けた場合は10割負担になってしまうのだろうか?

「大災害時は、医療機関や福祉施設などで健康保険証の提示ができなくても、氏名、住所、生年月日を告げることで、健康保険証を提示したときと同様に自己負担分だけ支払って、医療や福祉サービスを受けることができます。ですから健康保険証がないという理由で、本来受けるべき治療を控えることがないようにしてください。」

保険証がなくても医療機関等を受診できます/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06756.html

家の権利証は紛失しても、不動産売買はできる

●家の権利証
家の権利証が紛失してしまうと、不動産会社売買はできなくなるのだろうか? また誰かが拾って悪用されないか心配という声もある。

「一般に『権利証』と呼ばれているものには2種類あります。ひとつは「登記済証」といって、不動産登記が完了した際に、登記所が登記名義人に交付する書面です。次に売買や抵当権設定をしたりするときに使います。よくイメージされる権利証はこちらかと思われます。もうひとつは「登記識別情報」です。登記済証にかわって、新しく発行されるようになった英数字による12桁の番号情報(パスワード)のことです。
権利証は、登記の申請をする際に、権利証のほかに、所有者の印鑑証明書などの本人確認資料も必要となりますので、権利証を紛失しただけで、土地や所有権の権利を失うことはありません。

そのため、誰かが権利証を拾って悪用し、勝手に登記が変更されるリスクは少ないので安心してください。
また、権利証を紛失しても不動産の売買は司法書士など資格者に依頼して手続きは可能です。」

令和6年能登半島地震により土地・建物の権利証 (登記済証・登記識別情報通知書)を紛失した場合について/法務省
https://www.moj.go.jp/content/001409548.pdf

●実印、印鑑登録証
「どちらも、紛失したとしてもそれだけで権利関係に影響があるわけではありません。
実印を紛失した場合は印鑑登録証の廃止手続きを、印鑑登録証は亡失手続きを自治体の窓口で行ってください。
廃止手続きを行ったのち、必要であれば、改めて実印を登録することで新しい印鑑証明をとることができます。」


「こうした貴重品は失っても対策はあるので、倒壊の危険がある自宅に取りに戻ったり、危険が迫っているのに無理に持ち出したりする必要はありません。
今後も、災害が起こったときは貴重品を持ち出すより、命を最優先に行動してほしいですね」


※参考文献/『被災したあなたを助けるお金と暮らしの話 増補版』(弘文堂) /岡本正

※リンク先の情報は1月14日現在のものです。

取材・文/百田なつき

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