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古川琴音「逃げて、叫んで、怒って、泣いて」演じた日本ホラーの新たな傑作『みなに幸あれ』で知った“幸せは誰かの不幸の上に成り立っている”恐怖

集英社オンライン / 2024年1月27日 11時1分

日本で唯一のホラーにしぼったフィルムコンペティション、「日本ホラー映画大賞」の第一回受賞作を長編として映画化した下津優太監督の『みなに幸あれ』で主演を務めた古川琴音。話題作への出演が相次ぐ実力派俳優を突き動かす、ホラー映画への愛と仕事への好奇心に迫った。

見たくないのに見てしまうホラー映画の中毒性

──ベルリン国際映画祭の銀熊賞を受賞した『偶然と想像』(2021)やNetflixで配信中の『幽☆遊☆白書』(2023)、大河ドラマ『どうする家康』(2023)など、話題作に多数出演されていますね。ジャンルも役柄も本当に幅広いと感じますが、作品選びにこだわりはありますか?

古川琴音(以下、同)
自分の興味が湧くものや、演じるイメージが湧くものだけだとどうしても偏ってしまうので、より広い視野で選べるよう、事務所が薦めてくれる作品にもチャレンジしています。だから今まで演じてきた役に、あまり偏りがないのかもしれません。


古川琴音さん

──映画『みなに幸あれ』(2024)では初めてホラーに挑戦されました。この作品は演じるイメージができたのでしょうか?

はい。今回は役名が「孫」だったので、自分もハマるけど、違う人が演じてもきっとハマったはず。みんなに共通する普遍性のある役柄を任されたことはありがたかったです。それと、ホラー映画はよく見ていたので、お話をいただいたときは純粋にうれしかったですね。

──ホラーは好き嫌いがわかれるジャンルだと思います。古川さんが惹かれる理由は?

わからないことや不思議なこと、理解できないことが怖さにつながると思っていて。その刺激は中毒性があるし、見たくないのになぜか見てしまう。好奇心が止まらない感じが好きなんです。

今思い浮かぶ好きなホラーは『パラノーマル・アクティビティ』(2007)、『コンジアム』(2018)、『呪怨』(2002)……。人が人じゃない動きをしている作品や、理解できない内容の作品が怖いですね。

映画『みなに幸あれ』より

──『みなに幸あれ』は、「誰かの不幸の上に誰かの幸せが成り立っている」ことをテーマにした物語です。この作品に感じた怖さは?

必ずしもフィクションと言いきれない部分です。それこそ昔の日本でも生贄を供える文化があったというし、私たちの生活を支える畜産だってそう。普通に暮らしていたら見えないだけで、見ようとすればいくらでも映画のテーマに通じる現実はあると思います。

『みなに幸あれ』というタイトルがすごく皮肉で意地悪だと思いましたし、今までにないホラー映画になると思いました。

逃げて、叫んで、怒って、泣いて

──ホラー映画ならではの難しさはありましたか?

私は基本、逃げて、叫んで、怒って、泣いているキャラクターだったので、すべての感情表現に体力が必要で。今まで出演した作品の中で一番疲れました(笑)。

部屋のカーテンを剥がした瞬間、“何か”が現れる場面があるのですが、スタッフの方がだいぶこだわって作ってくれていて。何があるかを教えてもらっていなかったので、本番で初めて見た瞬間、それが何かを理解するよりも先に叫び声が出ていました。監督が演出を工夫してくださったおかげで、自分の想像を超える反応が出せたと思います。

初のホラー出演となった古川さん

──完成した作品を見た感想は?

すごくカオスでした(笑)。この映画を見て笑うとは思わなかったです。とにかく、おばあちゃんがおかしくて。

──食事中に突然、豚のように鼻を鳴らしたり、おじいちゃんの指をしゃぶったり、謎の行動が目立ちますよね。祖父母や両親が不思議な儀式を行うなど、奇妙なシーンも多かったです。

明らかにおかしい状況なのに、みんなが普通でいることの怖さがありますよね。こういう悪夢もあるなと思いました。共演したみなさんは演技経験のない方もたくさんいたのですが、撮影現場では「こうやったらもっとおかしいんじゃないか?」など、監督と一緒にアイデアを出していました。プロの役者が作り出す怖さではなく、自然とにじみ出る不気味さや怖さがあったと思います。

──もしも劇中のような状況に直面したら、演じた「孫」のように行動を起こすと思いますか?

できないです。ホラー映画のように安全圏から見るのは全然いい んですけど、自分が巻き込まれるのは嫌ですね(笑)。

──ちなみに、何度も登場する「幸せ?」という問いかけが不気味でした。古川さんは今、幸せですか?

はい! 幸せです(笑)。

「幸せですか?」の質問に即答した古川さん

俳優として活動する原動力は好奇心

──話題作への出演が相次ぎ、注目度も高まっています。デビューして6年、キャリアを重ねる中で変化したことはありますか?

仕事の取り組み方や私生活は、お仕事を始めたころからあまり変わっていないんです。ただ、共演者や友達、学生時代の演劇部の仲間から「あの作品出てたね」と言ってもらうことは増えてきたと思います。

「『みなに幸あれ』を見たいと思っていたら琴音が出てた」と言われたり、「『幽☆遊☆白書』に出てると知らなかったから、びっくりした!」と言ってもらえたり。

母の職場の同僚のお子さんなど、直接知らない方から感想をもらうことも増えてきて。参加した作品の評判がいいと、やっぱりうれしいです。

最近では友人や知り合いからも見たとの報告が

──古川琴音さんといえば、特徴的な声や話し方が魅力のひとつだと思います。ご自身が考える、俳優としての武器は?

声ももちろんそうだと思いますし、どんな作品に出演しても、「印象に残る見た目だね」と言っていただくことがあるので、そこは親に感謝だなって思います。

──中学・高校、大学で演劇をされてきましたが、プロの俳優として活動する原動力は?

好奇心です。役を通して自分が知らない世界をたくさん知りたいという気持ちが強いんです。お芝居なので役そのものにはなれないけれど、自分が演じた役に近しい環境にいる人たちに、少しでも共感してもらえる俳優になりたいです。

──最後に、2024年の目標は?

大谷翔平選手が高校生のときにやっていた「マンダラチャート」を、大晦日に友達とやってみたんです。でも結局あまり書けなくて……。

ただ、大谷選手のチャートを見て大事にしなきゃいけないと思ったことは継続力。経験を積むにつれてだんだんセリフを覚えるスピードも早くなってくるけど、そこに慢心せず、ちゃんと体に染み込むまでやるべきだと思っています。

仕事が立て込むと部屋がすぐにぐちゃぐちゃになっちゃうけど、そこはやっぱり、きれいにしておくべきですしね(笑)。地味なことをちゃんと続けていくことが、今年の目標です。

今後の活躍に目が離せない

取材・文/松山梢 撮影/杉山慶伍 スタイリング/藤井牧子 ヘアメイク/伏屋陽子(ESPER)

【衣装クレジット】
黒ドレス△税込△¥99000
ブーツ△税込△¥165000
/sacai
掲載問い合わせ先
sacai.jp

アクセサリーにつきまして
mamelon
@mamelon


『みなに幸あれ』(2023) 上映時間:1時間29分/日本
全国公開中!

看護学生の孫(古川琴音)はある日、田舎に住む祖父母に会いにいくことに。久しぶりの再会で幸せな時間を過ごしていたものの、祖父母の家に「何か」がいるように感じる。そしてあるときから、人間の存在自体を揺るがすような、根源的な恐怖が迫ってくる……。

配給:KADOKAWA
©️2023「みなに幸あれ」製作委員会
公式サイト

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