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【漫画あり】「受刑者とそこで働く刑務官の存在を知るだけでも考え方が大きく変わるはず」漫画『刑務官が明かす死刑の話』で描かれる“塀の中”のリアル

集英社オンライン / 2024年1月29日 19時0分

国連加盟国193か国中、死刑を廃止しているのは108か国といわれている。世界的に死刑制度廃止が進む今、存置国である日本の死刑制度の実態をリアルに描く漫画『刑務官が明かす死刑の話』をはじめ「刑務官」シリーズについて、作者の一之瀬はちさんに話を聞いた。(全3回の2回目)

#1
#3

刑務所見学で食べた「監獄カレー」

−−実際に漫画を描く上で、刑務官とのコミュニケーションによる取材のほかに、漫画のネタ集めとしてしていることはありますか?

一之瀬(以下、同) 一番ネタになるのはやはり実際に働く刑務官の生の声ですが、刑務所内の見学会に参加したこともあります。

−−刑務所の見学会があるんですか⁉︎

そうなんです。一般の方々を招く会が稀にあるんですよ。といっても広く参加者を募集するようなものではないので、開催されるとなっても、刑務官の知り合いがいないと参加するのはかなり難しいかもしれません。そもそも情報が入ってこないので。



−− 一般の日本人にも開放される米軍基地で行われるお祭りのようなものをイメージしていたのですが、それとはまた違うのですね。

そうですね。たとえば刑務所内がリフォームされたときとかに、安全性をアピールする意味でも近隣住民が招かれたり…といったことがあるようです。ただ、おっしゃるような祭り的な催しもあります。塀の中には入れませんが、その手前まで開放されて、所内で出されているご飯が食べられたりします。

−−先生も何か召し上がりましたか?

カレーを食べました。たしか、「監獄カレー」とかキャッチーな名前がついていたような(笑)。普通に美味しかったです。食事以外にも、受刑者の方が作ったタンスや雑貨、小物なども販売されていたと思います。

刑務所見学で感じた塀の中のリアル

−−これまで先生が行った刑務所や拘置所で、特に印象的だったところはどこですか?

あまりたくさんの場所に行けているわけではありませんが、ある地方刑務所の見学会では、価値観が大きく変わりました。見学会で刑務所の中に入れるといっても、当然受刑者の人には会えません。でも、廊下を歩いていると奥のほうからラジオやテレビの音、話し声が聞こえてきたことがあるんです。
そのときまでは正直、“塀の中にいる人”をどこか遠い世界の存在、言ってしまえば現実的なものとしてイメージできていなかったのですが、急にリアリティを感じました。本当にいるんだ…と。

−−非常に興味深いのですが、もし機会があるとしたら、先生はほかの人にも見学会への参加をおすすめしますか?

機会があるならぜひ行ったほうがいいと思います。受刑者と、そこで働く刑務官の存在を知るだけでも、生きる上での考え方が大きく変わるはずです。犯罪を犯して入るのはよくないですしね(笑)。

−−テーマ的にかなりハードな内容も含まれる本作ですが、漫画として読者に読んでもらうために意識していることはありますか?

犯罪が絡むので、どうしてもつらかったり重かったりするのは避けられません。ただ、読者を暗い気持ちにしたり、気持ち悪くしたりしたいわけではないので、スッと入ってくるように、絵柄を明るめにするなど工夫はしています。あとは、人が亡くなるシーンなど、センシティブなところはなるべく直接描写しないこととかです。

漫画「刑務官が明かす死刑の話」の試し読みを読む

【漫画】「刑務官が明かす死刑の話」第2話を読む(漫画を読むをクリック)

取材・文/関口大起

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#3【漫画あり】受刑者、死刑囚と対峙する刑務官の悩み、苦しみ、そして受刑者たちとの不思議な関係性…特殊で苦難に満ちた刑務官の世界

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