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日本一高いレンタル彼女が遭遇した“あてがい飲み”の地獄「飲み会に“素人女性”を求めるうえに“接待”を強要し、自分に好意があると勘違いまでされるのだから女性としては“地獄”でしかない」

集英社オンライン / 2024年1月23日 20時1分

「週刊文春」による報道の影響で、「女衒」「あてがい」が早くも2024年最初の流行語になりつつある。そもそも女衒とは何者で、どんな役割なのだろうか? 「日本一高いレンタル彼女」を自称し、これまで2000人以上の依頼者たちと関わってきた、よもぎちゃんが独自の経験から解説する。

「日本一高いレンタル彼女」が遭遇した“あてがい飲み”

「女衒」「あてがい」誰が2024年、最初の流行語がこんな言葉になると予想しただろうか。世も末だ、と思うと同時にこうした問題が表面化してよかったなとも思う。

今回問題になっているのは、昨年12月に「週刊文春」が報じた、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志氏による都内高級ホテルでの性加害疑惑だ。そのなかで印象に残るフレーズとして、「女衒」「あてがい」が挙げられている。


「日本一高いレンタル彼女」として活動する、よもぎちゃん

しかしこういった飲み会は、なにも芸能界だけの話ではない。一般人の中でも似たようなものは割とよくあるように思える。

「先輩と飲んでるんだけど来てくれない?」
「上司と飲むんだけど来れたりしない?」

こんな誘いを受けたことのある女性は結構いるのではないだろうか。別にホテルに誘われて性行為を強要されるまではないにしても、当然のように「はい、じゃあ、そこ座って!」と、先輩や上司の横に配置され、無料コンパニオンの役割を求められる。

ふだん「日本一高いレンタル彼女」として活動している私も、一通り似た経験をしたことがある。

「今から飲めたりしない? 可愛い後輩とか一緒に連れてきてくれると嬉しい!」「上司に面白い子呼べって言われたんだけど来れない?」と、毎度断っているのに何度も誘ってきた男友達とは結果、疎遠になってしまった。(しれっと後輩まで要求するな)

とはいえ、友人からの頼みなので実際に参加したこともある。多少警戒したものの男性陣は優しく「これなら平和な飲みかも」と思ったのも束の間、自己紹介タイムで事態は一変した。名前と年齢を言った途端「え!? なんだよ!! 23、4くらいだと思ったから優しくしてたのに!? それなら気を使わなくてもいいよね? 下ネタもいけるっしょ(笑)」と大騒ぎされた。

当時、私は28歳。「23、4に見えたならよくないか?」とも思ったが、彼らにとっては何より年齢という“数字”が大事なのだ。

しかし、遅れてきた24歳の子が、猫撫で声で根掘り葉掘りプライベートを聞かれ困っているのを見ると「28歳でよかったな…」とも思った。

24歳と25歳なんて微々たる誤差の範囲じゃないか、と私は思うが権力おじさんいわく「オリコン10位と11位を誤差と言わないのと同じ。トップ10に入ることが大事なように、”若い女性”というカテゴライズにいることが大事なんだ」。わかるようなわからないような…。

なぜおじさんたちは“若い女性”を求めるのか

合コン場所を、飲食店から直前にホテルへ変更され「先輩がいるからドタキャンは勘弁してくれ」と念押しされたことがある。おそらく合コンという皮を被せた先輩への“あてがい”だったのだろう。この誘いを断ったときのLINEをX(旧Twitter)で投稿したところバズった。

実際のLINEでのやり取りの様子

私はこの誘いをはっきりと断ることができた。それは私が飲み会の場数を踏んでいるからであって、正直、全ての女性にできることではないだろう。

私の体感では、特に40歳以上の男性にこういった「飲み会に若い女性を求める人」が多く、それだけでも面倒なのに、キャバクラやガールズバーといったお店に行くのではなく、部下が呼んだ“素人女性“を求めるのだからタチが悪い。素人とはいえ「接待」をさせられているにもかかわらず、「仕事じゃないのにこんなよくしてくれるのだから、自分に好意があるに違いない」といらぬ勘違いまで起こされるのだから、女性としては地獄でしかない。

女性側からすると、知らないおじさんにふりまいた愛想の対価が食事代とマンスプ(マンスプレイニングの略)なのだから、まったく割に合わない。しかも飲み会後は、「何か罰を受けなければならないような悪いことしたっけ…」と、思わず己の行動を振り返ってしまい、自己肯定感まで下げさせられる。

私はレンタル彼女として多くの男性とお話する立場なので、このことに関して依頼者さんに意見を聞いたことがある。

「どうして男性って、飲み会に女の子を呼びたがるの?」

「だってほら、女の子って笑顔で相槌打ってくれたり、質問してくれたりするでしょ? だから話しやすい雰囲気になって、楽しくなるんだよね。『すごーい!』とか言われたら、男は単純だからすぐうれしくなっちゃうしね(笑)」

なるほど。たしかに女性のほうが聞き上手は多いのかもしれない。しかしそれなら後輩力の高い聞き上手な男性を連れていくか、上司自ら飲み会の作法を部下に教育すればいいのに、と思った。

しかし、理由はそれだけではないようだ。別の依頼者さんと話していたときに判明した。

「『今日、お持ち帰りできるかもしれない』という状況が楽しくて大好きな男って多いんだよ。腕の見せどころだ、って思っていたり」

あれか?お得意の「男には狩猟本能が〜」的なやつか? 実に迷惑な話である。

一番の地獄は誰なのか?

さて、私は強制的に女衒を担わされた男性の話も聞いたことがある。

そしてこの立場が実は本物の地獄ではないかとも思っている。加害者であり被害者であるからだ。

女性には簡単ではないものの「断る」という選択肢がある。しかしこの女衒には、「断る」という選択肢がないに等しい。

力のある上司に「女の子を用意しろ」と言われ、毅然とした態度で断れる人がどれだけいるだろうか。先の「週刊文春」の報道では、女衒はVIPの名前を隠し、流出を防ぐために、スマホを直前に取り上げたそうだ。それだけ女性に逃げられないように、事前に彼女たちの行動・思考経路を予測し、それを封じるために姑息な手を使う必要があるのだ。

写真はイメージです 写真/Shutterstock.

女衒経験者の依頼者さんや男友達に話を聞くと、

「“女の子が集まるまで帰ってくるな”と、1時間以上路上でナンパさせられ続けた」

「“一緒に歌ってくれる子探してこい”と、カラオケで言われた」
女の子だけの部屋や1人カラオケをしている女の子の部屋にとにかく突撃して回ることもあったそうだ。

当然女の子からはキレられ、怯えられ、やりたくもない突撃に彼自身の心にも大きな負担だったという。

「本当にこの子たちしかいけなかったわけ?」と、どうにか集めた女の子にも満足できず、露骨に不機嫌な態度をとられることも。状況のよくわかっていない女の子と不機嫌な上司、両方の機嫌をとりながらその場をなんとかやりくりする。

しかも権力を持った上司たちは、女性をあてがわれるだけでなく、自分の命令で若い男性が苦労していることにも楽しさを見出している。我々女性は限られた時間を耐えればいいものの、男性は職場を離れない限り関係が続くから下手なことも出来ない。あまりにも逃げられない環境に置かれている。

女性には疎まれ、上司のご機嫌は窺い続ける板挟み状態。女衒は地獄の中間管理職なの?

最近では、こっそりギャラ飲みアプリを用いて、女の子を調達している女衒がいる。彼らはその存在に大層感謝していた。しかし最初から堂々とギャラ飲みアプリを使えたらいいのだが、それでは納得しないのが、権力おじさんだ。

彼らは素人女性が大好きだが、ギャラ飲み女子や港区女子を“素人”とは判定しない。“お金を出したり気を使ったりせずとも自分を尊敬し好いてくれる、若くて可愛くて素直な完全素人女性“というファンタジーな存在を求めているのだ。

登場人物で楽しいのは権力おじさんだけ。若い女性と若い男性、その両者が今のシステムの中で圧倒的搾取をされ、疲弊している。

権力おじさん、いいですか? あなたの部下や後輩が用意した女性があなたに好意を抱くことはまずありえない。「こいつのせいで無料コンパニオンをする羽目に…」とうすら嫌われてすらいると肝に銘じておいてほしい。

写真・文/よもぎちゃん

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