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「超大物投資家」から「六本木キャバ嬢」インタビューまで…メルマガ会員48万人「みんかぶマガジン」メディアジャックの裏側

集英社オンライン / 2024年2月5日 8時1分

最近、Yahoo!ニュースやスマートニュースで見かけることが多くなった「みんかぶマガジン」。投資家たちをターゲットにした経済専門メディアかと思いきや、政治や時事ニュース、はては六本木キャバ嬢インタビューまで、その守備範囲は幅広い。いったいどんなメディアなのか。編集長を直撃した。

メルマガ会員は48万人

――まず最初に「みんかぶマガジン」とはどういうメディアですか?

鈴木(以下、同)「資産形成に興味を持っている人が読むメディア」と思われがちなんですが…違うんですよ。正確に言うと、それが回答のすべてではなくて、「読まずにはいられない」と思えるようなコンテンツにこだわっているメディアなんです。

「みんかぶマガジン」は2021年秋にスタートした有料メディアで、課金サービスである「みんかぶプレミアム」の1コンテンツになります。私は2022年5月より編集長に着任し、みんかぶプレミアムの累計契約者数は1万6000人。メルマガ会員は48万人に上ります。主な想定読者はたしかに「資産形成に興味を持っている人」なのですが、これまでの資産形成メディアとは一線を画す形で、マネー記事は主力コンテンツではあるものの、全体の40%に抑えています。



そもそも記事が楽しくなければわざわざサブスクしてまで読みたいとは思ってもらえません。なので媒体の持続可能性を高めるという観点からも、「資産形成とはこういうものです」と一方的に読者に押し付けるのではなく、資産形成とゆるくつながりながら読者が「もっと読みたい」と思えるようなコンテンツをつくるように心掛けています。

無料メディアは構造的不況に陥っている

――なぜ無料ではなく有料なのですか。

無料メディアは構造的不況に陥っているように思いますし、紙媒体出身者としては無料で情報を流すことにかねて違和感を覚えていました。「みんかぶ」全体としては多くのサービスを無料で利用できますが、その中でもお金を払っていただける人には特別な付加価値を提供したいと思っています。

その背景には昨今のネットワーク広告環境の変化の大きさもあります。電通などが発表している「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、インターネット広告市場は前年比115.0%の2兆4,801億円と未だに大きく成長していますが、そのけん引役となっているのは前年比122.2%の検索連動型広告、前年比112.5%のソーシャル広告です。

一方で、多くの無料オンラインメディアが導入しているアドネットワーク広告については、広告単価の下落の情報が各メディアから寄せられています。とある芸能ニュースサイトでは単価がピーク時の半分以下に落ち込んだといいます。

株式会社ファンコミュニケーションズが提供しているアドネットワーク「nend」を巡っては、2023年7~9月の売上高が前年同期比でマイナス41.7%になり、同社はnendのサービス終了を発表しました。アドネットワーク全般の話として、広告出稿側からは広告効果を疑問視する声もあがってきています。

専門家の分析よりも”本物”の声を求める読者

――その一方でアドネットワークを扱うメディアの数は増えていますよね。

2018年発表の古いデータにはなりますが、内外切抜通信社によれば2009年から2018年の10年間にかけてニュースサイト数は2.7倍に爆増しました。また広告単価減に直面したメディアはネットワーク広告の設置数を増やすなどして対策していますが、結果としてさらなる下落を招いています。「単価が以前の状態まで戻るのは考えにくいのではないか」との意見も出てきています。

個人的な意見としても、雑誌・新聞のオンラインメディアが紙では有料で売っている情報をネットでは無料にして配信することへの違和感はあります。そもそも、取材・記事制作には結構なお金がかかります。良質なコンテンツに対してはそれ相応の対価を読者のみなさまからもらってもいいのではないかと思っています。

みんかぶの鈴木聖也編集長。1988年、前橋市生まれ。慶應義塾大学卒。共同通信、プレジデント社などを経て2022年5月より現職。2019年雑誌ジャーナリズム大賞デジタル賞受賞

――どういったコンテンツが人気ですか。

専門家の分析よりも”本物”の声です。お金に関するコンテンツでいうと投資家のインタビューです。経済アナリストや金融専門家が発する分析よりも、実際に稼いでいる投資家が「何を考えているのか」「どんなマイルールを持っているのか」「どうやって銘柄を選んでいるのか」という情報に需要があります。日本は諸外国に比べて「超大物」の投資家が少ないでからこそ、数少ない「超大物」の生の声はコンテンツとしては貴重なのです。

マネー以外では「婚活」「不動産」「教育」といったテーマの特集が多くの会員を獲得します。これらはいずれもライフイベントで、人々が資産形成に励む動機でもあります。ただ「お金が好き」で投資をする人は少数です。

その情報も専門家より各領域の実践者から聞くようにしています。マネーコンテンツか、ライフイベントのコンテンツか、更に柔らかい芸能コンテンツか……。そのどれかを読みたくて一度入会した人が、他のコンテンツを見て「今後も継続したい」と思えるようなラインアップにしようとは思っています。

突拍子のなさを求め、編集方針・企画会議はなし

――どのように記事を企画していますか。

突拍子のなさを大切にするため、編集方針は決めていませんし、企画会議もしません。編集者たちとの日々の会話の中で決めています。

その際、Yahoo!ニュースランキング、X(旧ツイッター)のトレンド、グーグルトレンド、大手ウェブメディアのランキングなど、「世の中は今何に関心があるのか」を分析できるツールはすべて使います。その上で、その関心事に対して、「誰に語らせたら」「どういう切り口なら」お金を払ってでも読みたいか、を思いつきベースで決めてきます。

例えばジャニーズ問題ではサムソン高橋さんにゲイライターの視点で語ってもらったり、松本人志さんの問題ではプロインタビュアーの吉田豪さんに語ってもらったり。

新宿よりも六本木のキャバ嬢インタビューが読まれる

大手経済誌の年末恒例「日本経済大予測」特集をみんかぶマガジンでも挑戦しましたが、業界別の予測などは一切せず、「中学受験」「アイドル」「タワマン」「増税」という読者のニーズが高い話題について各界インフルエンサーに語ってもらうという座組でやりました。

思いつきベースで決めてはいますが、記事を配信した際にどれくらい読まれたかという結果はデータとして蓄積しており、それを次の企画に生かしています。例えば、婚活特集で、キャバクラ・クラブ勤務の女性に「モテる男性の特徴を聞く」という企画にしても、女性の勤務地によって会員獲得率(CVR)は変わります。一番課金される場所は、銀座でも新宿でもなく六本木したが、これに関する明確な理由はわかりません。アルゴリズムの影響なのか、はたまた単純に客単価の違いなのか……。

読者に記事を押しつけたくない

――最近、Yahoo!ニュースやスマートニュースでみんかぶマガジンの記事をよく見かけますが、どんなところにこだわって記事を作っているのでしょうか。

配信本数を抑えているかわりに1記事あたりの平均PVや記事ごとのCVRを上げる努力をしています。その結果がもしかしたら各プラットフォームでよく表示されることにつながっているのかもしれません。ただ、みんかぶマガジンはあくまでも有料メディアですので、プラットフォームで認知度を上げ、そこを入口にプレミアムの登録につなげたいと思っています。

無料メディアで、単価が落ちたことに対して配信本数を増やすことで対応しているメディアも見られます。みんかぶマガジンでこだわっているのは、無料記事なら1記事あたりの平均PV、有料記事ならCVRです。配信本数を増やすほうに舵を切ると、いずれ編集部員が続けられなくなります。

また、読者に押し付けるような記事は配信しないようにしています。「こんなすごいネタがあったから配信したい!」「こんなすごい人がいたからインタビューしたい!」という案が現場から出たとしてもあくまでも読者ニーズを踏まえて検討します。編集部の想いが前に出すぎると読者を置き去りにします。少なくとも現在の成長フェーズでは、あくまでも読者ファーストを大切にしています。

取材・文/集英社オンラインニュース班

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