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顔のドアップ、目線を合わせて低い姿勢で撮影でいいの? 写真家が教える子どもの写真を撮るときに気をつけたい意外なこと「子どもにカメラを渡してみて」

集英社オンライン / 2024年2月9日 18時1分

カメラを購入するときの理由の上位に必ず入るのが、「子どもを撮りたい」という動機だ。そして多くの親が子どもの顔のドアップを撮ったり、低い目線で撮影をしがちだという。写真家・幡野広志氏の新著『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より、子どもを緊張させずに自然に撮影する方法を伝授する。何が正しいかは人それぞれだが、よく語られる原則に従う必要は必ずしもなさそうだ。

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子どもと写真

ちいさいお子さんがいる人は子どもを撮りたいと思うんです。昔からカメラを購入する理由の上位は「子どもの成長記録を撮りたい」です。

子どもの撮り方のコツってたくさんあると思います。だけど安易に勉強すると、情報だけが一人歩きしてしまうと思うんです。たとえばありがちなのはカメラを子どもの目線の高さまで下げること。カメラを下げるなら子どもの目線じゃなくて、腰ぐらいまで下ろしたほうがいいと思うんだけど、そもそもこれってどうなんだろうってぼくは疑問に感じます。



アパレルメーカーの撮影で子どものタレントさんを撮るときは、もちろんカメラの高さを下げます。いわゆるプロのコツみたいなことかもしれないけど、日常的な写真で親が子どもを撮るのにそこまでする必要があるかといえば疑問です。

親が立ったまま子どもを撮ったときの写真がダメかっていうとぼくはまったくそうは思わなくて、むしろ子どもと親との身長差が反映されてていいなって思うんです。

うまい写真かヘタな写真かでいえば、カメラを子どもの腰ぐらいまで下げたほうがうまいとは思うけど、いい写真なのかダメな写真なのかはまったく別の話です。

別にカメラを下げる写真がダメってわけじゃなくてむしろ正しいです。だけど親が立ったまま撮ることもダメじゃないしむしろ正しいです。だけど「子どもの目線までカメラを下げる」みたいな情報を聞きかじって信じちゃうと、前者だけが正しいと思ってしまい写真ってどんどんダメになっていくんだよね。

安易に教えられてる情報ってあまり信じないほうがいいですよ。そんな情報はプロからすればコツというレベルですらないし。教えている人も三次情報で教えている可能性が高いし。

最近はスマホで写真を撮るときに「スマホを逆さまにする」ってコツがあるけど、スマホを逆さまにしてカメラを10㎝低く下げて30㎝先にある被写体を撮るなら効果はあるかもしれないけど、30m先の被写体を撮るのには効果がないよね。だけど「スマホを逆さまにする」だけを信じちゃうと意味がないことをやっちゃうんだよね。

子どもに声をかけてこっち向かせて笑顔の写真にしようって気持ちもわかるんだけど、子どもからすれば疲れちゃうし緊張しちゃうよね。かわいいからドアップで撮りがちなんだけど、自分が親におなじことされたら嫌じゃない?

親が声をかけたらたのしさにブレーキがかかる。子どものたのしさを写真で邪魔しない。

子どもにもカメラを渡しましょう

自分の顔のドアップ写真って成長しても見返せないですよ。卒業アルバムの個人写真から目をそらしちゃうのと一緒です。ぼくは子どもを撮るときにいちばん意識してるのは、絶対に声をかけないということ。それから離れて撮る。身長差も気にしないしうまく撮ろうとしないです。

子どもがたのしんでいるところを撮ればいいだけ。撮るときに声はかけない。

それからちょっと考えてほしいんですけど、子どもはちいさいときから親からスマホやカメラを向けられているわけです。子どもって何かと親のマネをしたいじゃないですか。勝手に化粧品をいじってみたりパソコンをいじってみたり。

子どもからするとやっぱりカメラもいじってみたいんですよ。親のマネして撮りたいんです。子どもの写真を撮るなら、子どもにもカメラを渡して撮らせたほうがいいですよ。子どもの写真っていいものです。子どもの視点がわかるのがいいです。子どもが描いてくれたヘタな似顔絵や、つたない手紙って親にとっては宝物じゃないですか。子どもが撮った写真も一緒。宝物になります。

子どもと家族を撮ったら、自分は写真にうつらないじゃないですか。だから子どもができると夫婦の写真って少なくなるんですよ。子どもがいないときはいろんなところで二人で写真を撮ってたのに。子どもに夫婦の写真を撮ってもらえばいいんですよ。

ちいさい子どもをいちばん良く撮れるのは親。親をいちばん良く撮れるのはちいさい子ども。子どもに撮られることで「こっち向いて笑って」と顔ドアップのストレスも感じましょう。だから子どもにもしない。

子どもにもカメラを渡しましょう。壊れるって思うなら壊れないよう対策をすりゃいいでしょう。壊れたら修理すればいいじゃん。しっかりRAWで撮影して親が写真を現像してあげればいいです。

子どもにはカメラを渡したくない。自分は写真を撮られたくない。だけど子どもを撮りたいという人。身勝手さが撮影に反映されて写真にうつるだけです。


文・写真/幡野広志 (すべて書籍『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』より)

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真(ポプラ社)

幡野広志

2023/11/15

1650円

271ページ

ISBN:

978-4591179307

ほとんどの人に写真の才能がある。でも、多くの人が写真を誤解している――即完売の大人気ワークショップをベースに幡野広志が書き下ろす、できれば触れたくなかった「写真の話」。いい写真とうまい写真はちがう。だめな写真とへたな写真も同じ意味じゃない。うまくてだめな写真もあるし、ヘタだけどいい写真もある。「いい写真」を知り、「いい写真」を撮ろう。写真の価値観が変わる、写真初心者必読の1冊。

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