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冷めてからがおいしい、唐揚げとおむすび。 ファッション業界人に愛された『ネコメシ。』熊谷典子さんの食卓の作り方。(後編)

集英社オンライン / 2022年6月2日 11時1分

熊谷典子さんが主宰する「ネコメシ。」は、ファッション業界で愛されたお弁当屋さんだ。惜しまれつつ2022年に閉業したが、そのお弁当やケータリングは、華やかな見た目で個性豊かでありながら、どこかほっと安心できる味わい。モデルや俳優、カメラマンなど多種多様な業界人を虜にし、編集者から圧倒的な支持を得ていた。今回は「ネコメシ。」のメニューの中でも、スタッフに大人気、もちろん家庭でもウケること間違いなしの「唐揚げ」「味付け卵」「ハーブご飯おむすび」「キャベツの浅漬け」のレシピを特別に公開する

「ネコメシ。」の唐揚げで、疲れた現場も思わず笑顔に

今回は『ネコメシ。』人気メニューの中から、家庭でも簡単においしく作れるメニューのレシピを熊谷さんが特別に教えてくれた。まずは唐揚げ。しっかりと食べ応えあるボリュームで、冷えてもからりとした衣が好評を集めたメニューだ。



「編集者の仕事にもいろいろありますが、『撮影時のお弁当手配』はセンスが試されるものなんです。長丁場の撮影や、緊張感が強いられる現場だったりすると、食事の時間だけが唯一の楽しみでもあるわけで、けっこう責任重大。そんな私にとっての最強カードが『ネコメシ。』さんのお弁当でした。よ~く味の染みたからあげや味付け卵を頬張るやいなや、笑顔になった大御所俳優、こだわり強めのメイクアップアーティストは数知れず。会心の出来と思える誌面の裏には、いつも『ネコメシ。』さんの存在がありました。」 ーー伊藤かおり MAQUIA編集部ブランド統括

唐揚げを食べた満足感を感じるために、鶏は大きめにカット。1つ1つ丁寧に油の中へ入れていく

「中までしっかり火が通るように、最初は火のついてない状態の油に鶏を入れます。こうすることで、じっくり中まで温まるように。火力はずっと変えずに中〜やや強火ですね」

揚げどきは、音で判断する。最初は「ぼこぼこ」と荒い音だが、段々と水分が抜けてきめの細かい音になるという。

唐揚げと言えば、衣のサクサクとした食感が好きな人も多いはず。時間が経っても食感が残るように、揚げたあとは、しっかり冷ますのがポイント。

「温かいままでお弁当箱に詰めると、衣が水蒸気でへたってしまうんです。くっつかないように間隔を空けてバットに並べます。夏場の暑い時期は、クーラーの下でなるべく早く冷ましましょう」

<唐揚げ>
鶏もも肉・・・1枚(約300〜400g)
漬け汁・・・正油大さじ2、片栗粉大さじ1、砂糖小さじ2、すりおろし生姜大さじ2、塩小さじ2分の1、卵1個、コショウ、ガーリックパウダー又はニンニクを適量。
米粉・・・適量
揚げ油・・・適量

①鶏肉を6〜7個に切る。
②鶏肉を漬け汁に45分〜1時間ほど漬ける。(漬けてから時間を置かずに、冷凍保存も可能)
③米粉をつけ、少し落ち着かせる。低音の油に皮を下にした鶏肉を入れ、中火〜やや強火で揚げる。
④片面が揚がるまではなるべく触らず、色がついたらひっくり返す。
⑤両面揚がったら、間隔をあけてバットに並べ、なるべく早く冷ます。

定番でありながら、ひと匙のユーモアを感じるネコメシ。おむすび

今回コメントをもらったなかでも、特に女性スタッフから大人気だったのがハーブご飯のおむすび。今回は鮭とディルのおむすびを作っていただいた。

「『ネコメシ。』の料理にはユーモアがある。みんなが知っている定番のおかずなのに、食べてみるとどこか異国の味がしたり、意外性のあるスパイスが効かせてあったり。個性強めなのに食べ飽きず、また食べたくなる、そんな魅力があります。味も見た目も華やかなので、舌が肥えている人が多い撮影の現場でも大好評でした。個人的に、これぞ、ネコメシ。だと思うお気に入りのメニューはおむすび! とくに魚介にディルやミントなどのハーブを合わせた混ぜご飯は絶品で、ほかでは出合えない味です。大好きな実山椒のおむすびがあるときは、こっそり自分用にひとつキープしていたというのはここだけの話」ーー山本香織さん Harper`s BAZAAR編集

バリエーション豊かな『ネコメシ。』のおむすびだが、具材によっては失敗したこともあるのだとか。そのエピソードには、お弁当作りのヒントが詰まっている

「お弁当やケータリングとして提供している『ネコメシ。』では出来立てを食べてもらう訳ではないので、おむすびの中の具材も時間が経ってもおいしいものを前提に決めていました。1度、魚醤やイカの肝などの匂いの強い食材を試してみたのですが、時間が経つと癖が出てしまって……。あれは失敗でしたね。塩サバやイワシなどの青魚なら、ミントやバジルの爽やかさとマッチして美味しいです」

<ハーブおむすび>
ご飯・・・一合
鮭フレーク・・・大さじ2〜3
ディル・・・3〜4枝
顆粒類昆布出汁・・・ひとつまみ

①炊き立てのご飯に鮭フレーク、ディル、顆粒類昆布出汁を入れ、混ぜる。
②多めの手塩をし、おむすびを握る。
③通気性を良くし、乾燥しないように冷ます。

<味付け卵>
卵・・・Mサイズ2個
調味液・・・正油大さじ2、みりん大さじ2。水大さじ4。練り中華出汁小さじ8分の1

①冷蔵庫から出したばかりの冷たい卵を沸騰した湯に入れ8分茹でる。
②調味料を煮立たせ、冷ましておく。
③調味料と茹でた卵を密封袋に入れ、冷蔵庫で一晩置く。

おむすびや唐揚げだけでなく、副菜の美味しさも『ネコメシ。』人気要素の1つ。その中でも、キャベツのお漬物には熱烈なファンがいたそう。

「『ネコメシ。』さんのケータリングは、なんだかおつまみのような気軽さと癖になるおいしさがあって、撮影で疲れて少し味の濃いものが食べたいモデルやスタッフにも好評でした。それでいてバランスよくたくさんの食材が入っているので、炭水化物が多くなりがちなロケ撮影の現場でもとても助かっていました!」ーー門名美苗 non-no編集

<キャベツのお漬物>
キャベツ・・・4分の1個(350g)
調味料・・・酢大さじ1、レモン汁小さじ1、ナンプラー大さじ1、砂糖小さじ2

①キャベツを食べやすい大きさに切る。
②密封袋に切ったキャベツと調味料を入れて、揉む。
③袋の空気を抜き、調味料をキャベツに行き渡らせるようにする。
④冷蔵庫で1晩置く。
⑤仕上げにごまを散らす。

お弁当以外の料理を通して、わかったお弁当作りの極意

2016年から2019年にかけては、ケータリング業だけでなく店舗での営業も行っていた。完全予約制の店舗には、『ネコメシ。』の噂を聞きつけたグルメが集まっていたという。

「お弁当のような時間経過を想定した料理だけでなく、出来立てを提供できる料理もやってみたかったんです。最初は小料理屋、次に喫茶店を運営しました」

店舗での営業を始めてから、お弁当作りで気付いたことがあったと熊谷さんは語る。

「喫茶店を始めてから、お弁当とパフェは構造が似ていると気が付きました。パフェは上からスプーンを入れて、徐々に降りていくように食べ進めますよね。パーツの1個1個がおいしくても、縦で組み合わせたときに味がマッチしないとおいしく感じない。お弁当も同じで、パーツも重要ですが、ひと箱で味わいが完成すると考えておかず同士を組み合わせるのが重要なんです。甘味・酸味・辛味・塩味をバランス良く入れるようにしていました」

熊谷さんの料理は、時間差で人を喜ばせるギフトのよう。作り方ひとつひとつに自分の手を離れたあとに、さらにおいしくなる秘訣が込められていた。

「唐揚げもおむすびも出来立てよりも冷めた後の方が味が染む気がしています。ネコメシ。は、時間が経って味が馴染んでやっと完成するんです」

残念ながら「ネコメシ。」は2022年に閉業してしまったが、熊谷さんは次に、手土産用の大福の制作にチャレンジしているそう。その名も「ねこふく。」(仮)。実際に食べられるようになるその日が今から待ちきれない。

写真/猪原悠 取材・文/平井莉生、川端うの(FIUME Inc.)

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