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【童貞大国ニッポン】20代男性の性交渉未経験率が4割超え「女性から見下されているようでとてもつらい…」現役童貞の悩みと独身研究家が指摘するこれからの不安

集英社オンライン / 2024年1月30日 17時1分

現在の20代男性の性交渉未経験率が4割を超えるというデータがあり、人口減少に拍車がかかる「2024年問題」として、真剣に考えるべきだと主張する声がある。今回はそんな問題にからめて、独身研究家・荒川和久氏に現在の童貞実情、リアル童貞の某20代男性に話を聞いた。

20代男性の性交渉未経験率は43%

2022年7月、東京大学の研究者が20~49歳の男女8000人に行なったオンライン調査によれば、20代男性の性交渉未経験率は43%だった。

この調査結果に対し、中年男性たちからは「一昔前の童貞率はもっと低かった」、「最近の若い者はだらしない」なんて苦言を呈す声も聞こえてきそうだ。



かつては「男からガツガツとアプローチをかけるのは当たり前」、「セックスを経験してこそ甲斐性のある男」といった肉食系的な恋愛論・セックス論を掲げる男性が多かったからだ。だが、令和の今、そういった既存の概念に辟易としている若者も多いだろう。

しかし、「実際のところ、今も昔も童貞率は変わらない」と独身研究家・荒川和久氏はいう。

実は、童貞率は30~40年前と変わらない

「実は現代の童貞率は、80年代後半の数値とほぼ変わらないんです。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の『出生動向基本調査』にある、18~34歳の独身男性の性体験未経験率を見てみると、2021年が44.2%なのに対して、1987年は43.1%とほぼ同じ程度。

今の若者にふがいないと文句を言っているであろう50~60代ぐらいの男性も、若いころは今の若者と大差はなかったワケです。しかも80年代は“恋愛至上主義”という価値観が浸透しており、男女の恋愛が盛んだった時代。にもかかわらず、草食化が進んだといわれる現代と未経験率は変わってないのが事実です」(荒川氏、以下同)

では昔とさほど未経験率が変わらないにもかかわらず、なぜ童貞が増えたと騒がれるようになったのだろうか?

「原因はデータの切り取り方にあります。前出の社人研のデータによれば多くの年代で2005年が最も低く、18~34歳の男性の性体験未経験率は31.9%という調査結果が出ています。2021年や1987年と比べると、その時期だけ総じて10%以上も童貞率が低かったわけです。

つまり、1987年から2005年にかけて未経験率が一旦下がり、2005年を“底”にして再び上がってきて、現代は80年代後半程度の数値にまで戻った状況ということです。ですから童貞数増加を叫ぶ論者やメディアは、2005年のデータを基軸に未経験率が上がっていると主張しているだけ。

ちなみに2005年は携帯電話の普及や出会い系サイトの増加に伴い、むしろ男女の性の乱れが問題視されていた時代ですので未経験率が低いのもうなずけます。

もちろん2005年と比べれば未経験率が上がったのは間違いありませんが、長期的なスパンで考えると童貞の数は今も昔も変わっていないというのが事実なんです」

昔は恋愛できない人でも結婚できていた

長期的に見ると童貞の割合は変わっていないとのことだが、荒川氏によると80~90年代に比べて童貞の“中身”は変化しているのだという。

「前提として80~90年代ぐらいまでは、“結婚するのが当たり前”という社会的な圧力が大きかった。そのためお見合いなどの社会的な結婚お膳立てシステムも機能していましたし、上司が結婚できない部下の仲人を買って出るといった善意のお節介もよく見られ、結婚がしやすかったのです。

そのころまでは結婚するまで性体験なしの割合も少なくなく、未経験率は皆婚という状態によって解消されていたといえます。

しかし、時代が進むにつれて自由恋愛が主流に。そして職場で恋愛や結婚の話をすることはハラスメントに該当するとしてだんだんタブーになり、上司が世話をする文化も廃れていきました。

結果、何が起こったかというと、結婚も性交渉もほぼ自助努力にかかっているという社会になったのです。いわゆる『恋愛できるもできないも自己責任化』ということです。

したがって、かつてはお見合い結婚などを機に童貞を捨てることができた男性たちが、性交渉未経験層の中心に移り変わりつつあるのです」

80年代より本格化した自由恋愛市場とコンプライアンスの厳格化の流れを受け、現在は80~90年代よりも性交渉に及ぶのが難しくなっているということか。

だとすれば、楽観的に解釈した場合、現代の若者たちは80~90年代よりも性交渉までの難易度が上がっているにもかかわらず、同水準の童貞率をキープできているということなので、十分健闘しているとも考えられる。

今の童貞には“捨てる”チャンスが減少?

だが悲観的に考えてみれば、80~90年代よりも性交渉までの難易度が上がっているということは、今後さらに童貞率が上がっていってしまう懸念へとつながる。

「私はいつの時代も“恋愛強者3割の法則”があると言っていますが、自由恋愛という市場においては、常にモテる男性上位3割だけが自由に恋愛を謳歌するという『勝者総取り』パターンが発生します。

再び先の社人件のデータを参考にすると、1987~2021年までの25歳以上の未経験率は基本的には20~30%台で推移しています。これは25歳まで童貞のままでいると、その後も童貞であり続ける可能性が高くなることを意味しています。

今は男性の3割が生涯未婚、将来的に5割の男性が生涯無子になると推計されています。結婚を機に童貞とサヨナラできた時代と違って、今後はますます性交渉のきっかけを得られない人も増えるんじゃないでしょうか」

一方で、現代では性交渉をせずとも性的快楽を満たせるアイテムやコンテンツが増えたことにより、リアルの女性に固執する必要がなくなったという指摘もある。

「ITが発達していない昔に比べて、スマホなどでアダルトビデオや2次元キャラなどのそういったコンテンツを手軽に見られることにより、リアル女性が必要なくなった男性も少なくない。性欲を処理するハードルが下がった時代になったことで、童貞のままの現状でも満足できる、と考えるようになった人は多いでしょう」

いずれにしても、やはりこのままでは未婚率の上昇、そして人口の減少に歯止めがかからなくなる要因になる可能性は否めない。

童貞のままでもいいが…“現役童貞”の本音

ところで「童貞のままは嫌だ!」という男性ももちろんいるだろうが、反対に「童貞のままでもべつにかまわない」と考える人が増えているのかもしれない。昨今は、よくも悪くも童貞に対する偏見といったネガティブな印象が薄まってきているため、これからさらに童貞率が上がっていく可能性もあるだろう。

では実際の“現役童貞”は、恋愛・性交渉についてどう感じているのだろうか。ある20代後半の童貞男性はこう語る。

「マッチングアプリをやっていても女性からアプローチされることがない。恋愛にかける時間・コストが無駄に感じてきて、意味がないと思ってきた。セックスも別に女性と付き合ってまでしたいと思わないし、何なら風俗でひとまず童貞を捨てても構わない。とにかく恋愛に対して億劫になっています」(20代男性、以下同)

恋愛や性交渉で得られるメリットよりも、実現するまでにかかる時間や労力というデメリットのほうが、圧倒的に上回っているということなのか。

「……ただ、仕事やプライベートで女性と話していると、僕の話しぶりや態度から『あ、こいつ童貞だな』と勘づかれることもあり、童貞でもかまわないと思うのですが、それに気付かれてしまうと、見下されているようでとてもつらいです。童貞のままだとしても、そっとしておいてほしいのが本音ですね」

――性交渉をする・しない、結婚をする・しないというのは個人の自由だし、その価値観が尊重されるべきであるというのが大前提だ。しかし、我が国の人口減少に歯止めをかけるというマクロの視点で議論した場合、もし今後さらに童貞率が上がっていくとしたら、看過できない社会問題となっていくのかもしれない。

取材・文/文月/A4studio

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