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「自分の人生はもっと幸せになったはず」と嘆く人が幸せにたどり着けない理由「過去の成功に頼る人は行き詰まる」

集英社オンライン / 2024年2月4日 19時1分

自分の人生はもっと幸せなはずだったのに、と嘆く人は多い。だが、幸せは、どれだけの社会的成功を手にしたかで決まるのではない。勝ち組人生を送ってきた人でも、不満と後悔にまみれて死んでいく人もいる。自分のいまの生活姿勢を改める気づきを与えてくれるのが、書籍『「人生、こんなはずじゃなかった」の嘆き』である。年をとった人だけでなく、自分の人生に悩むすべての人に贈りたい思考の変換方法を一部抜粋してお届けする。

過去の成功に頼る人は行き詰まる

不安な人は怒ることで優位に立ち、そのことで不安を解消しようとする。怒りっぽい高齢者は、小さい頃からの心理的未解決な問題が心の底に山積している。

企業なら粉飾決算で、債務超過で倒産しているところである。心の借金で闇金にまで手を出す。



解決の一つの方法は正直に心の履歴書を書くことである。学ぶことに年齢の制限はない。

そして何事にも「ハイ、ハイ」と従順に賛成することで良い人間関係を保とうとする。したがって人間関係のもつれに対して周囲の人が「こうしたらいい」と提案しても、それを実行しようとしない。

そして、一生苛められるという間違った行動をとり続ける。だから迎合だけして無理をして、犠牲を払って、その上で不幸な一生を送るのである。

人と仲良くなるには無理しない方がいいのに、苛められる人は気に入られようとして無理をする。それは昔そうした方法で親との関係が成功しているからである。いつも不機嫌な親に育てられた人は、大人になってから、素直に自分の感情を出した方が好かれるのに、自分の感情を抑える。人に好かれようとして逆に嫌われる態度をとる。

そして一生間違った行動をとり続ける。だから努力だけして無理をして迎合して、犠牲を払って、その上で不幸な一生を送るのである。

人間関係で何かに行き詰まったときに、大切なことは「昔成功した方法に今も頼っていないか?」と反省することである。「こうでなければならない」などということは人生にほとんどない。

多くの人は無理をする

人と仲良くなるには無理しない方がいいのに多くの人は無理をする。

無理している人は迎合して悩んでいる。

無理している人は愛を求めている。

無理している人は頑張っているつもりであるが、自分自身であることから逃げている。

自分の心の葛藤に直面することから逃げている。

愛は無理のない生き方をしているときに、静かに訪れるものである。

無理のない生き方とは、決して迎合しない生き方である。自分の今を信じる生き方である。一日を大事に送る生き方である。

人と親しくなっていく過程でどうしても必要なことが二つある。

一つは自己開示である。

もう一つは自分が自分を知ることである。自己認識である。自己認識とは自己執着の反対の気持ちである。

自己開示といっても、まず自分が本当の自分の感情を知っていなければならない。

理想の自我像を実現して好かれようと無理する人はどうしても視点が限られてくる。多面的視点で物事を解釈できない。

目的が、自分自身が人から「気に入られ認められること」であるから、視点が限られてくるのは当たり前のことである。

相手から見るとこのことがどう感じられるかという視点がない。

視点は常に、他者から見た自分ではなく「自分がどうしたら気に入られるか?」という自己執着の視点だけである。自分を離れた相手からの視点というのが全くない。

無理な迎合は、後で「隠された怒り」という反動が来る。

迎合しなくてもいいのに無理をする。それは昔そうした方法が親との関係で成功しているからである。

日常生活で何かに行き詰まったときに、大切なことは「昔成功した方法に今も頼っていないか?」という反省である。これは人間関係で心にとめておくべきことである。

人は相手の無意識に反応する。

隠された怒りで、自分が自分をコントロールできなくなっている。

苛めは劣等感と劣等感のぶつかり合い

良い人間関係は、お互いに自然なコミュニケーションができている関係である。

つまり両者ともに意識と無意識の乖離が深刻ではない。

良い人間関係を持っている人は、自分が意識している自分と、「実際の自分」との乖離が深刻ではない。ということは別の言葉で言うと、自分がわかっているということである。

自分が意識している自分と、「実際の自分」との乖離が深刻なら、お互いに心の底では話が通じない。

良い人間関係がない人は、お互いに自分の心の底にあるものを意識できていない。

幸せな人は良い人間関係を持っているということは間違いのないことであるが、同時に逆も言える。

幸せな人は良い人間関係の中で成長している。良い人間関係の中で成長できたから幸せになれたのである。

幸せな人は自然なコミュニケーションの中で成長できている。

幸せになれるかどうかは、心の葛藤に振りまわされるのではなく、自我が心の葛藤に直面できるかどうかである。

本当の自信とは自我の確立でしかない。どんな社会的成功も自信を与えない。どんな業績も自信を与えない。

親に依存心がある限り、自我の確立はない。

それは親に気に入られたいという気持ちが強いからである。親に認められたいという気持ちが強いからである。親に称賛されたいという気持ちが強いからである。

自我の確立がないままに、社会的に活動を始めるから人生はトラブル続きになる。人間関係は努力しても偽りの関係ならうまくいかない。人は相手の無意識に反応する。

自己犠牲的献身は強度の依存性の表れだという。孤独だから関係を作ろうとする。そこで迎合する。関係ができると親しいという幻想を持つ。

自己犠牲的献身は強度の依存性の表れ、それは人間関係のトラブルの自己消滅型解決の典型である。

マゾヒストが自分はマゾヒストと自覚しないで、愛の人と意識している。ナチス親衛隊がヒトラーに忠誠を誓う。親衛隊のモットーは「我が名誉、それは忠誠」である。

現代人は「我が名誉、それはあなたへの忠誠」である。それが非生産的いい人である。

愛されようとして上司に忠誠を誓う。

あるギャンブル依存症の人の話である。彼は少年の頃、いつも愛に飢えていた。

「ギャンブルは私の精神的能力、肉体を破壊した」という。

少年の頃、彼は恥ずかしがり屋だったという。リーダーとして行動することで、「本来の自分」を隠した。

13歳のときに、ポーカーを始めた。参加するたびに、自分は受け入れられていると感じた。

勝った後、学校に行くとき自信があった。

それが人生初めての幸せな日であった。

ギャンブルで得た金で友達にピザをご馳走した。愛されるためにいつも自分が支払った。基本的にこれが非生産的いい人である。

「友達にピザをご馳走した」のが、愛されるための迎合である。ずるい人は、おごる人を餌食にする。ずるさは弱さに敏感である。パワー・ハラスメントするような人は、いつもおごるような迎合タイプの人を見逃さない。

人は相手の無意識に反応する。苛められる人間の無意識の憎しみが相手を不安にしている。

苛められる人間は、自分の無意識にある憎しみに気がついていない。

欲求不満な人は、こういう人を苛めたくなる。苛めは劣等感と劣等感のぶつかり合いである。

弱肉強食ではなく、お互いに心の空洞を埋めあっている。

苛める側もかまってもらいたい。でもふれあい方がわからない。


写真/shutterstock

「人生、こんなはずじゃなかった」の嘆き (幻冬舎新書)

加藤諦三

2023年11月29日

1034円

224ページ

ISBN:

978-4344987128

「老いても幼稚な人」「晩節を汚す人」にはなりたくない!
「我が人生に悔いなし」と言える人と言えない人、どこが違うのか?
――老いと成熟の心理学

自分の人生はもっと幸せなはずだったのに、と嘆く老人は多い。最後に「我が人生に悔いなし」と言えるかどうかは、どれだけの社会的成功を手にしたかで決まるのではない。

勝ち組人生を送ってきた人でも、いつまでも自分が「すごい人間だ」と思い込んでいたら「裸の王様」になって孤立し、不満と後悔のうちに死んでいくことになる。

人生を最後まで生き抜くのは大変な難事である。普通の暮らしに感謝する。他者との比較をやめ、執着しない――。人生の見方を変え、老いを輝かせて幸福を引き寄せる、高齢者とその家族必読の書。


「老いを認められる人」は若い!

●恨みで一生を終えるのですか
●失敗は人生を意味あるものにする
●老化に失敗すると孤独になる
●老いてなお生きるのは恥ずかしいのか?
●高齢者は本来幸せで、健康で、活動的である
●「英雄末路哀れなり」の意味
●なんであんなことで、あんなに怒るのか?
●過去の成功に頼る人は行き詰まる
●完璧な健康を求めてはいけない
●幸せな人は不幸を受け入れている ……ほか

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