「頑張ったご褒美」が毎日を「無駄遣いOKデー」にしている。「これが普通」がつくる浪費メンタルを貯蓄メンタルにするには
集英社オンライン / 2024年2月9日 11時1分
「今日は疲れたし、カフェで好きなドリンクでも飲んで癒やされよう」「こんなに頑張っているんだから、服くらい買ってもいいよね」…そんなふうに、ストレス緩和を最優先にしていると浪費メンタルになり、貯蓄することが苦痛になってしまうという。なぜ人は浪費メンタルに陥りやすいのか。節約系YouTuberの節約オタクふゆこ氏の『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
「他人軸」を卒業して「自分軸」で生きていく
● 社会人ならデートはいいお店に行くべき→安くてもおいしいお店はたくさんある
● 大人ならスーツはそれなりのものを着ないと→見方によっては毎日着る作業着なのに
● 腕時計や靴は品格を表す→モノと品格ってそんなに関係ある?
●女子会はホテルのアフタヌーンティー→仲のいい友だちとならどんな場所でも楽しい
● ○歳を過ぎたら○○にはお金をかけるべき→年齢で区切ることに意味はある?
このような「○○すべき」や「普通は○○」は、〝世間の声〟を装った企業や広告が、巧みにわたしたちにお金を使わせようとしているだけなのです。
こういった考え方に支配されたままだと、どこまでいっても他人軸でしか生きられません。
「みんな持っているもの」「○代の女性なら(男性なら)買うべきもの」「一人前の大
人なら当然のたしなみ」という視点で考えてしまうから、「それができない自分」に
劣等感を抱いてしまうのです。
もちろん、「それなりのスーツ」や「いい腕時計や靴」を自分の意思で選んでいる
のであれば、なんの問題もありません。
また、営業職の人であれば、服装や身だしなみにお金をかけることは、成績アップ・収入アップのための投資になる場合もあります。ここでは、おもに貯金や節約について書いていきますが、一方で、このような収入を増やすための自己投資にお金を使うのも、とても大事なことでしょう。
問題は、そういった明確な目的のある買い物ではなく、単なる見栄や広告に乗せられて「なんとなく」お金を使ってしまうパターンです。
このあとお伝えしていく「自分軸」や「人生のなかでの優先順位」が明確になっていて、自分が本当に大切にしたいこと、お金や時間を費やしたいものが決まっていのであれば、それを大事にしていけばいいでしょう。
しかし、「お金を使わせよう」とする広告やマーケティングはとても巧妙です。「これが普通」「これをやるべき」という固定観念は、知らず知らずのうちに、わたしたちの思考のなかに深く刷り込まれているのではないかと思います。
「お金を使おう」としているとき、それが本当に自分の意思によるものなのか、それとも世間の「普通」や「流行り」に流されているだけなのかを見極める作業は、わたしにとってはなかなか難しいものでした。
「自分が本当にほしいものってなんだろう?」
「わたしが一番大切にしたいものはなに?」
こうやって、お金の使い方に疑問を感じられるようになったのは、転職によって仕事のストレスが改善され、自分と向き合う時間と心の余裕ができたからでした。
「これって、本当に自分にとって必要なものかな?」
この問いかけにはっきりと答えられない買い物であれば、いちど財布はバッグのなかにしまいましょう。その物欲は、世間体や固定観念に流されているだけなのかもしれません。
それに気づくことさえできれば、「本当に必要なもの」以外はほしいと思わなくなるので、「我慢」の必要すらなくなるのです。
「頑張ったご褒美」が毎日を「無駄遣いOKデー」にしている
「本当に自分にとって必要なものか」をちゃんと考えよう―。
そうはいったものの、日常がストレスに溢れていると「考えること」さえも面倒になってきます。わたしが実際にそうでした。
「今日は疲れたし、スタバで好きなドリンクでも飲んで癒やされよう」「こんなに頑張っているんだから、服くらい買ってもいいよね」 そんなふうに、ストレスの緩和を最優先にする思考回路に陥るのです。仕事帰りに外食することも、ちょっと高い買い物をすることも、「頑張っているのだから」と歯止めが利かなくなります。
さらに、外からのプラスアルファの提案にも弱くなります。
「その服でしたら、このアクセサリーを合わせると着こなしの幅が広がりますよ!」
そのようにアパレルショップの店員さんにいわれれば、「かわいいな。でもお金が……まあ、いっか!」と流れで購入。
ランチの際に、「セットでサイドメニューもつけることができます。ドリンクはいかがなさいますか?」とホール担当の店員さんにいわれれば、「じゃあ、お願いしまーす」と即答です。
ストレスによって疲弊したメンタルでは、買い物でさえ「これ以上、悩みたくない」「考えたくない」と怠惰になり、一時の感情や欲望に飲み込まれてしまうのです。
「自分へのご褒美」も年に数回くらいであれば、やる気につながるよいことだと思いますが、それが日常になれば単なる浪費の言い訳です。
仕事の忙しさやストレスなんて毎日のことですから、結局は、毎日が無駄遣いをしてもいい日になり、貯金メンタルとは真逆の浪費メンタルが根づいてしまうわけです。
浪費習慣がやめられないのはストレスのせいだった
だから、以前のわたしは、お昼休みや帰り道に間食のお菓子をコンビニで買うこともやめられませんでした。コンビニの商品は決して安くありませんし、お菓子の食べ過ぎは太るだけなのに、「毎日200円〜300円の出費で仕事を頑張れるならいいじゃないか」と正当化していたのです。 同じように、休憩時間になれば自動販売機に行って、1日に2本〜3本の缶コーヒーやペットボトル飲料を買って飲んでいました。「節約するなら水筒持参がいいはずだけど、忙しくて時間もないし!」と、〝頑張るための必要経費〞にする毎日でした。これは本当に〝便利な正当化〞です。
1日あたりでは数百円の少ない経費でも、実際に家計簿をつけてみれば、月に1万円〜1万5000円ほども使っていることになり、びっくりする金額です。
そこで、「少しは我慢してみよう」と思ってはみたものの、今度は「買わないこと」にモヤモヤしたストレスを感じてしまうのです。
「この苦痛はなんだろう? きっと理由があるはずだ」
そこで金融や節約の知識を学ぶとともに、人間の心理や脳の仕組みについても本で勉強をしてみたところ、人間は、「習慣化された行動をやめることに苦痛を感じる」というのです。
その理由は、浪費習慣がストレスコーピング(ストレスのはけ口)になっているから。「イライラしたらお菓子を食べる」「ストレスが溜まったら缶コーヒーを買って飲む」といった日々のなにげない浪費が、わたしにとって、毎日のストレスコーピングだったのです。
同じように、「週末にほしい服を買う」「高いコスメを買う」という行為も、興奮を伴って脳がドーパミン(快感をもたらす脳内ホルモン)を分泌させることでストレスコーピングになり、浪費が自分のメンタルを守る手段になっていました。
だから、「節約しよう!」と意気込んで浪費をやめたところで、最初のうちは我慢できても、だんだんとつらくなってしまうわけです。間食のお菓子のような毎日の習慣になっている行動なら、2日〜3日ですぐにイライラが募ります。
でも、それは当然です。溜まったストレスがはけ口をなくして行き場がなくなり、自分のなかに蓄積されてしまうのですから。
まして、すでに仕事のストレスでメンタルが失調気味であれば、買い物を我慢しただけで悲しくなってしまったり、イライラが自分に向かって自己嫌悪になったり、体に不調が現れてしまったりすることもあるかもしれません。
これでは、「節約」という行為が「苦痛」なものだということを、自分の心と体刻むばかりで、その先にある貯金やお金の不安解消にはたどり着けません。
最良の手段は、日常的なストレスを、できる限りなくすことです。
わたしの場合は転職がその一助となりました。すべてのストレスがきれいさっぱりなくなったわけではありませんが、少なくとも理不尽な残業や、人間関係のモヤモヤ、そしてセクハラやパワハラなどもなくなり、ストレスの総量が一気に下がっていったのです。
心に余裕ができればストレスコーピングの必要性は少なくなるので、浪費習慣をストップして節約生活をはじめても持続しやすいことを、身をもって経験することができました。
節約生活が習慣化すれば、「なにかを我慢するのがつらい」といった思考に陥ることもなくなっていきます。
『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)
節約オタクふゆこ
2023年12月20日
1,540円(税込)
単行本(ソフトカバー) : 268ページ
4776213109
借金450万円、貯金40万円➡4年で資産1000万円達成!
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「贅沢はしていないのに、お金が全然貯まらない」「給料日前になると、いつも生活がカツカツになってしまう」そんな「お金が貯められない」普通の会社員だった著者は、「浪費メンタル」から「貯金メンタル」にチェンジしたことで、わずか4年で資産1000万円を達成することができました。
「お金を貯めよう!」と考えたとき、一番大事なのは自分と向き合い、心を整えて「貯金メンタル」をつくることです。自分と向き合うことをせず、節約テクニックや貯金のコツの上辺だけをマネしても、成果を出すことは難しいでしょう。
お金の使い方は、その人のメンタル、つまり心と連動しています。ですので、まず心を整えてから、テクニックを学ぶという順番が重要です。
浪費や無駄遣いをしてしまう傾向にある人は、感情に流されやすく、ストレスを理由に浪費を正当化する、「浪費メンタル」になってしまっています。
「浪費メンタル」から「貯金メンタル」にチェンジするためには、
●自分らしいお金の使い方とは何か?
●人生の中で本当に大事にしたいこと、お金や時間を費やしたいものは何か?
という、自分軸を持つ必要があります。この自分軸が明確になれば、
●衝動買いや無駄遣いがなくなる
●お金がしっかり貯められる
●本当に大事にしたいモノやコトにお金や時間が使える
●人生の満足度が上がる
という、嬉しい結果を得ることができるのです。
本書では、借金あり・浪費癖あり・貯金なしだった著者が、浪費メンタルから貯金メンタルにチェンジし、資産1000万円を達成した思考法、そして数々の節約法を試してきた中から、無理なく「お金を使わない仕組み」ができる、本当に使える節約テクニックをお伝えします。「貯金メンタル」+「使わない仕組み」ができれば、あなたの貯金はどんどん増えていくはずです。本書でお金の悩みや不安から自由になり、より楽しく充実した人生を手に入れましょう!
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