当時、テレビドラマのヒットメーカーとして知られていたTBSの演出家でプロデューサーの久世光彦は、グループ・サウンズのザ・タイガースからソロになって成功した沢田研二にすっかり惚れ込んでいた。
だからこそ時代の寵児として輝いている時に、それまでにないドラマを制作して、映像作品を後世に残そうとしたのである。
そこで飛ぶ鳥を落とす勢いがあった人気作詞家の阿久悠の力を借りて、バイセクシュアルな魅力を最大限に引き出すために、それまでにない挑戦的なドラマを企画した。
1975年末に時効を迎える「三億円事件」の犯人が、もしも沢田研二だったら? そんな発想から始まった『悪魔のようなあいつ』(1975年6月〜9月放映)である。
ここで阿久悠は初めて沢田研二のための最初の歌詞となった『時の過ぎゆくままに』を書くことが出来た。