東京・豊洲市場に至近の新施設『豊洲 千客万来』が今月オープンした。
東京湾を望む露天風呂を完備するなど充実した温浴施設が併設されるなど、ベイサイドエリアのまちづくりや活性化につながる新たな名所としての期待がかかる。なかでも話題なのが、超強気に価格設定された通称「インバウン丼」と呼ばれる「海鮮丼」などのインバウンド向けのグルメだ。
「日本人にはムリ!」「いくらなんでも高すぎる」…海鮮丼1食約7000円、豊洲で話題の「インバウン丼」は中国人の“爆食い”で日本の観光新境地を切り拓けるか
集英社オンライン / 2024年2月10日 12時1分
2月1日にオープンした、江戸グルメを堪能できる新施設「豊洲 千客万来」がにぎわっている。なかでも1食約7000円の海鮮丼は完全インバウンド向けの価格設定で「インバウン丼」として大注目の存在となった。
「日本人にはムリ!」「いくらなんでも高すぎる」
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海鮮丼店『江戸辻屋』では、「本マグロ丼」(6980円)、「海鮮ちらし丼」(6400円)、「世界で人気の3種丼」(5200円)といったメニューがいずれも目を見張る価格で提供されている。
「今のところ、インバウンドのお客さまと日本人のお客さまと半々くらい。インバウンドはアジア圏の方が多いですね」(江戸辻屋スタッフ)
日本人の来店客が半分もいることにも驚かされるが、こうした高価格帯の海鮮丼は圧倒的にインバウンドの需要が多く、日本人はリーズナブルなミニ海鮮丼などを購入する人が多いという。
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他の飲食店でも、コロッケ1個800円やバーガー1個1500円をはじめ、九州産の特選A4ランク黒毛和牛を使った「牛串」は1本3300円。北海道産の厳選された6種類のウニをふんだんに使った「ウニ丼」は、なんと1食1万5000円。
「日本人にはムリ!」「いくらなんでも高すぎる」
そう思わずにはいられない価格設定だが、意外にもこうした店舗にはインバウンドだけではなく、日本人客も少なくないという。もちろん、強気の価格設定のお店は一部の店舗だけで、リーズナブルな価格設定の飲食店も多数並ぶ。そうしたなかで、高価格の海鮮丼を食べる外国人や日本人はいったいどんな人たちなのだろうか。
実際に施設で食事を楽しむ人たちの話を聞いてみた。
中国人の“爆食い”に戦々恐々
まず最初は、日本には観光で2週間ほど滞在予定で、1本3300円の牛串を食べ歩きしていたドイツ出身のガミッシュさん(37歳)。
「これが高いかって聞かれると、安くはないかもね。でも、日本のレストランはサービスがいいし、接客も親切だし、エンターテインメントの要素もある。単純に料理だけの値段じゃない。それにせっかくの旅行中くらいちょっとは贅沢してもいいと思ってる。日本人だってイタリアに行ったら、5000円のカルボナーラを食べたりすることもあるでしょ(笑)」
5000円のカルボナーラはともかく、たしかに海外旅行に出かけるときは、それなりの出費は覚悟するもの。「安くはない」と思いつつも、満足している様子だった。しかも、円安で日本を訪れやすい今、やはり日本人と外国人とでは金銭感覚が少し違うのかもしれない。
では、日本人はどう思っているのだろうか。
「本まぐろ100%のネギトロが主役の3色丼」(6400円)を食べていた小池秀道さん(41歳)は大阪から東京観光で来たついでに立ち寄ったという。
「めっちゃ高いですね。味は普通においしいですけど、なんせ高いです。さっき地元の友達のグループLINEで写真を撮って送ったんですけど、値段を言ったらみんなびっくりしてツッコんできました。『東京怖いわ』『欧米かっ!』とか(笑)。確かに高すぎるけど、おもしろい土産話ができたんで、それも込みでよしとします」
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「本まぐろ100%のネギトロが主役の3色丼」(6400円)
他にもカップルで食べていた韓国人のふたりは「映え」を意識して丼を何度も撮影し、インスタにアップするのだと張り切っていた。ただ、ご飯を食べるということ以外の付加価値が「インバウン丼」にはあるのかもしれない。
今年の2月10日~17日は中国の春節に当たり、「旧正月で財布のヒモがゆるんだ中国人がツアーで爆買いならぬ“爆食い”に来るかもしれない」と同施設で働くスタッフは戦々恐々としていた。実際、リーズナブルな価格帯の飲食店にはすでに長蛇の列ができている。
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2024年に誕生したこの新スポットが、もの珍しい観光地として終わってしまうか、東京の名所のひとつとして新境地を切り拓くか、オープンして最初の勝負どころが今から始まる。
取材・撮影・文/集英社オンライン編集部
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