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日本酒を飲んでみたらオイシイことだらけだった 第2回〜日本酒と料理のオイシイ関係〜

集英社オンライン / 2022年5月31日 15時1分

日本酒をほとんど飲んだことのない人でも、「飲んでみたら意外とおいしい!」という体験をする人が増えている。日本酒初心者のヨウコもその一人。初めて日本酒を飲んで興味を持ったヨウコは、新たな日本酒に出会うべく、先輩のマスミと二人で飲みにいくことに。

日本酒をほとんど飲んだことのない人でも、「飲んでみたら意外とおいしい!」という体験をする人が増えている。日本酒初心者のヨウコもその一人。初めて日本酒を飲んで興味を持ったヨウコは、新たな日本酒に出会うべく、先輩のマスミと二人で飲みにいくことに。

一、 日本酒に合うのは和食だけにあらず

同じ部内の先輩・能見(のみ)マスミ(33)に連れられていったお店で、
日本酒デビューを果たした須玖(すぐ)ヨウコ(24)。


初めて飲んだ日本酒は、甘酸っぱくフルーティな香りで思った以上に飲みやすく、
すっかり気に入ってしまった。
しかし一人では相変わらず、何を飲んでいいのかわからない。
マスミ先輩に相談したところ、行きつけのお店に誘ってくれた。
カウンターがメインで、10人も入ればいっぱいのこぢんまりとしたお店。
店主らしき人が一人で切り盛りしていて、アットホームな雰囲気だ。

マスミ ここはね、毎日来ても飽きないくらいおつまみのバリエーションがあるの。
ヨウコ ほんとですね。定番のお刺身に煮物…麻婆豆腐にグラタン、え、レバーパテ!?
マスミ そう。和洋中、なんでもあり。しかも全部美味しいの。日本酒も種類がたくさんあって最高!
ヨウコ 先輩嬉しそうですね(笑)。おでんやお刺身に日本酒はわかりますけど、中華や洋食にも日本酒合わせるんですか?
マスミ 意外となんでも合うよ。海外ではライスワインって言われていて、本場のフレンチレストランでも提供されているし。
ヨウコ たしかにこの間飲んだ日本酒は、フルーティでワインっぽい感じがありました。
マスミ でしょ? それに、日本酒ってさ、言ってしまえばお米なわけじゃない?
ヨウコ はい…?
マスミ お米って大抵のものに合うでしょう。麻婆豆腐定食に、とんかつ定食…。合わせてみると意外とイケることが多いのよ。米、最強。

ヨウコは半信半疑の視線を先輩に向ける。マスミはどこ吹く風だ。

マスミ とはいえ、まずはさっぱり系で白和えともずく酢と…ヨウコは何食べたい?
ヨウコ じゃあ、唐揚げ食べたいです! …日本酒なのに唐揚げでもいいですか?
マスミ もちろん。好きなもの頼んで! いろいろ日本酒に合わせてみようよ。お酒は何にしようかなぁ。

味のバリエーションが豊かな日本酒は、いろいろな料理との相性も良し

ニ、夏限定の日本酒あれこれ

マスミ せっかくだから、それぞれ選んで、シェアしながら飲もう。
ヨウコ ぜひ! 私何にしようかなぁ。自分で選んでみてもいいですか?
マスミ もちろん。わからなかったら聞いてね。

ヨウコは、オススメの日本酒が書かれたホワイトボードに注目する。

ヨウコ “吟醸”って書いてあるのが飲みやすいんですよね。先輩、あのボードに書いてある、“夏純吟”? あれも吟醸の一種ですか?
マスミ うん。純吟は純米吟醸の略ね。夏にピッタリの純米吟醸ってこと。
ヨウコ いくつかありますね。お酒の名前ってやっぱり読むのが難しい~。
えっと、文…人…おばけラベル? Ci…アルファベットのはなんですかあれ!???
マスミ おばけラベルは、文佳人(ぶんかじん)っていう日本酒の夏酒専用のラベルで、おばけラベルが出ると、「ああ、夏がくるな」って思うワケ。
夏酒といっても、早いものだとゴールデンウィーク頃から出回るけど。
ヨウコ まあ夏物の服も早いところは早いですもんね。あのアルファベットの方は?
マスミ アルファベットの方は、Cicalaって書いて“チカーラ”って読むのよ。イタリア語で蝉のこと。
ヨウコ イタリア語! 何それオシャレですね!
マスミ Cicalaは「三井の寿」(株式会社みいの寿)で知られる福岡県の日本酒で、あの有名なバスケ漫画『スラムダンク』風ラベルのお酒もあるのよ。
ヨウコ へええ、見てみたいですね…! おばけも蝉も夏らしくて面白い! “ひと夏の恋”なんてお酒もあるんですね(笑)。
マスミ それが、ちょっぴり甘味のある爽やかな味なの(笑)。
ヨウコ 迷っちゃうな。じゃあ、おばけラベルの文佳人にしてみます!
マスミ ひと夏の恋にするかと思った(笑)。
ヨウコ 最初は、ひと夏じゃない恋がいいです(笑)。
マスミ おばけに化かされるのとどっちがいいのかなぁ(笑)。
ヨウコ もー、先輩!
マスミ ええと、じゃあ私は磯自慢の吟醸にしよう。
ヨウコ どんなお酒なんですか?
マスミ 透明感のある甘味があって、口当たりがやさしいの。着心地の良い定番の白シャツみたいなイメージ。
ヨウコ ところで、純米がついてるのとついてないのでは、何か違いがあるんですか?
マスミ いいとこついてくるなぁ。これ説明が難しいんだけど…。

ちょっと思案顔のマスミ先輩。

マスミ “純米”の肩書がつくかどうかは、日本酒を造るときに、醸造アルコールを使用するかしないかでわかれるの。
ヨウコ ふーん、どっちがどっちなんですか?
マスミ “純米”を名乗る日本酒は醸造アルコールを使わないで醸したお酒。“純米”がないのは、醸造用アルコールを使っているお酒。
ヨウコ アルコールを足すってことですか?
マスミ 誤解しないでね。かさまし的な意味で使用するんじゃないの。香りを出しやすくしたり、味のキレをよくするためのものなの。
ヨウコ 掘り下げると、なんだか難しそうですね。
マスミ そうなのよ(笑) まあ、とにかく実際に飲んでみようよ!

ラベルも名前も個性的。爽やかな味わいの夏酒たち。おばけラベルの「文佳人」(株式会社アリサワ)は高知県、「ひと夏の恋」(株式会社新澤醸造店)は宮城県の日本酒だ。

三、味も飲み口もバリエーションが豊富な日本酒

お酌文化も悪くないけど、気の置けない飲み会は自分のペースでそれぞれ手酌がいちばん。
おちょこに注いで、まずは乾杯。
ヨウコはまずは軽く香りを嗅いで、スイッとひと口。

ヨウコ あっ、爽やかで美味しい! 甘味もあって、ほんの~り乳酸菌飲料のような風味?
マスミ こっちはクセがなくてホントにキレイなお酒。ちょっと飲んでみて。
ヨウコ 美味しい! 甘さがベタッとしてなくて、とっても上品です。
マスミ ね、吟醸酒、美味しいでしょう。やさしくて上品で、飲みあきない。日本酒っていっても、味わいも見た目もめちゃくちゃ幅があるから、知れば知るほど面白い。
ヨウコ まだまだ初心者マークです。
マスミ いいのいいの。飲まないとわからないし。
ヨウコ 今のところ、日本酒ってフルーティなのが多いって印象なんですけど、他にはどんな日本酒があるんですか。
マスミ そうだなぁ。もっと米っぽいというか、味わいがしっかりした日本酒もあるよ。玄米みたいというか。
ヨウコ 白米より玄米のほうが味がギュッとしてますもんね。
マスミ そう。味わい深い感じ。私はフルーティな日本酒を飲むと、爽やかで華やぐ気持ちになるけど、しっかりした味わいの日本酒は、しみじみするの。
ヨウコ フルーティな日本酒が華やぐって感じはわかります。
マスミ あとは見た目で言うと、発泡性のシュワッとした日本酒とか、白濁してる日本酒とか。あ、ヨウコの好きそうなピンク色の日本酒なんてのもあるよ。
ヨウコ ピンク色ですか!? それは気分が上がりますね。着色してるんですか…?
マスミ いやいやまさか。自然に出せるんだよ、ピンク色。桜の時季に合わせて、春先に多く出回るから、来年また教えてあげる。
ヨウコ エーッ、どんなマジック!? めちゃ気になります。
マスミ 覚えるなら飲みながらがいいよ。どうせ忘れちゃうから(笑)

そんな話をしていると、
店主がグラスと水の入ったピッチャーを持ってきてくれた。

マスミ 日本酒を飲むときは、お水も飲みながらだと悪酔いしにくいわよ。
ヨウコ ハイ! 飲みます、お水!
マスミ 度数が高い分、悪酔いして日本酒が苦手になっちゃう人もいるから、意識してお水を飲んでほしいな。そうそう。日本酒といっしょに飲むお水は“やわらぎ水”っていうの。
ヨウコ やわらぎ水! 酔いをやわらげてくれるわけですね。

南アルプスの名水を使った「磯自慢」(磯自慢酒造株式会社)は、いろいろな料理に寄り添ってくれる静岡県の日本酒

四、揚げ物に日本酒は本当に合うのか!?

マスミ 次、どうしようかな。さっきは吟醸のキレイ系だったから、さっきよりしっかりした味の醸し人九平次(かもしびとくへいじ)の純米大吟醸にしよう。
ヨウコ へぇ、愛知県の日本酒ですか。これ、大吟醸ってことは…。
マスミ 半分お米を削っちゃうぜいたくなやつ(笑)
ヨウコ それそれ! あの、雄町ってお米の名前でしたよね。
マスミ よく覚えてるじゃない! その通り。
ヨウコ 私は何にしようかなぁ。やっぱり気になる“ひと夏の恋”にしようっと。

お酒を追加したタイミングで、熱々の唐揚げもやってくる。
さっそく、はふはふと唐揚げにかぶりつくマスミ先輩。
肉汁が口のなかでじゅわっと広がったところで、すかさずお猪口を口に運ぶ。

マスミ うん。醸し人九平次、酸味があって唐揚げとも合うよ。レモンを絞ってサッパリさせるみたいに、キレがよくて酸味の利いた日本酒が合うね。
ヨウコ ひと夏の恋、ほのかな甘さが美味しいです~。唐揚げとはどうかな…。
マスミ 甘さのあるタイプなら、唐揚げにレモンかけたほうが合うかもしれない。
ヨウコ えっ、それなら食べ比べてみます!

ヨウコはそう言って、まずはレモンを絞る前の唐揚げとひと夏の恋を一口。
それから、レモンを絞ったあとで、もう一口、お酒を飲んでみる。

ヨウコ ほんとだ。レモンをかけたほうが、酸味で味が締まってる感じです。お酒の甘さも引き立って美味しい。え~おもしろいですね!
マスミ 他には甘さがあっても発泡性の日本酒とかだと、脂を流してくれるから揚げ物にも合うと思う。
ヨウコ やっぱり揚げ物にはしゅわしゅわしたお酒が合うんですね(笑)
マスミ そこはやっぱりね(笑)
ヨウコ ひと夏の恋って、ラベルもかわいいですね。前回の天花(てんか)に続いて、ハートが二つ(笑)
マスミ そうだ。今年のラベルはハートが寄り添ってるね。去年と一昨年は、ハートも密にならないように離れてたんだよ。
ヨウコ まさかのソーシャルディスタンス! 遊び心がすごいですね(笑)

おしゃべりしながらも、醸し人九平次に手を伸ばし、
唐揚げの相性を確かめて、「へぇ~!」とうなずくヨウコ。
早くも日本酒の魅力にハマり始めている後輩を見ながら、
次は、どんな日本酒の魅力を感じてもらおうかな…と、
マスミはひとりニンマリしていた。



第1回の記事はこちら!
日本酒を飲んでみたらオイシイことだらけだった

イラスト/藤原基央
編集/株式会社ナート
文/小野寺涼子

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