午前零時、ラジオのスイッチを合わせる。
ジェット機の離陸音と航空無線の交信が聞こえた後、「ジェットストリーム……」というアナウンス。フランク・プゥルセル楽団の『ミスター・ロンリー』が始まると、「遠い地平線が消えて……」と印象的なナレーションが綴られていく。
夜間飛行へと誘うパイロットの声は城達也。
番組で流れるのはイージーリスニングと呼ばれるインストゥルメンタルのムード音楽。数曲耳を傾けていると、今度は世界中の街や情景を描写した詩が綴られる。そして再び音楽に戻っていく。
エンディングのナレーションが流れるころ、時刻は深夜1時前を指している。『夢幻飛行』とともに、聴き手は暗闇とゆっくり溶け込むように眠りに落ちる。今夜も夢の中で旅人となりながら……。