–––『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の主人公・海老原勝男くんは、今の時代に珍しい古風な男性です。たとえば「料理は女のもの」みたいな思い込みをしている彼が、急に彼女にフラれたり、合コンで総スカンを食らったり……世界に置いていかれている様子が痛快、かつ哀れでした。
勝男は、大学のミスターコンテストでも優勝するような男ですが、料理でめんつゆや顆粒だしを使うことをバカにしていたり、彼女に対して「(結婚という)責任取らなきゃ」と思っていたり、古い価値観を持った男にしました。
キャラクターを作るうえでは、担当編集さんと打ち合わせをしているときに「ドラマ『エルピス』で前田郷敦さんが演じている役がすごく素敵だった」という話で盛り上がりまして(笑)。実家が太くてイケメンで自信もあるはずなのに、自分の無力感を前に涙してしまう……みたいな。彼のように「壁にぶち当たるハイスペ」を作ろうと思って生まれたんです。