––––女性の自立が叫ばれるようになって久しいですが、親は専業主婦だったという人たちもそれなりにいて、「これまで」と「これから」の変化の中で混乱する人も多そうです。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の主人公・海老原勝男の彼女、鮎美もその1人だと思うのですが。
勝男と鮎美は「これまで」の形式での「幸せになるためのモデルケース」を意識し過ぎて、“本当の自分”を忘れてしまった2人です。今まではうまくいっていたのに「これって違うかも」と先に気がついた鮎美が、勝男から離れてしまう。
たとえば私が10代のころに読んでいた女性誌は、着回しコーデのストーリーが「気になる男の子に告白するまでの30DAYS」みたいに「モテ」がすごくフィーチャーされていたような気がします。鮎美は、そういう「モテのテクニック」にマーカーを引くぐらい、真面目に“勉強”していた女の子です。