本記事は2月16日に逝去した叶井俊太郎氏(享年56)の仕事を偲んで再編集・再掲載する。(初公開日:2023年5月6日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
【惜別・叶井俊太郎】人間が人間を喰う、阿鼻叫喚の地獄絵図。映画史上最大の問題作『食人族』はなぜ40年ぶりに公開されたのか?
集英社オンライン / 2024年2月23日 10時1分
漫画家・倉田真由美氏(52歳)の夫で映画プロデューサーの叶井俊太郎氏(享年56歳)が今月16日に死去した。2022年6月にステージ3の膵臓がんと診断を受け、医師から「余命半年」の宣告を受けていた。「がん」公表後も変わらず、精力的に映画製作に携わり続ける生粋の仕事人だった叶井氏。哀悼の意を表して集英社オンラインでのインタビューをお届けする。40年前に日本で初公開されたイタリア発の残酷映画『食人族』が、5月5日より『食人族4Kリマスター無修正完全版』として劇場公開された。上映禁止、フィルム没収、発売禁止など世界中で物議を醸してきた問題作がなぜ今公開されるのか。映画を買い付けてきた叶井俊太郎氏を直撃した。
40年前の劇場公開時は興行収入15億円の大ヒット映画
――衝撃的なタイトルとポスターでしたが、『食人族』ってどんな映画なんでしょうか?
叶井 まず、南米アマゾンのジャングルに生息する「食人族」の生態を撮影しに行った男女4人のクルーが失踪します。彼らを探しに捜索隊が食人族の村を訪れたところ、白骨化した遺体を発見するわけですよ。で、撮影クルーが残した1本のフィルムを持ち帰ってそれを確認するんだけど、そのフィルムの内容がこの映画っていう感じです。
――なぜ40年前の映画を4Kリマスターで再上映しようと思ったのでしょうか?
日本初公開が1983年でちょうど40年前なので、日本公開40周年記念作品といえるじゃないですか。しかも4Kリマスターなので映像もハンパなくクリアですからね。公開するなら今しかない! しかも、5月5日の子供の日に食人族ってギャップがあっていいじゃないですか。R18+なので、子供は見れないですけど…。
――当時、この映画が公開されたときの反響はどうでしたか?
オレは高校1年生だったけど、この頃は「ジャンク」とか「モンド映画」がブームになっていて、その中で、人間が串刺しにされた『食人族』の映画ポスター見て「本物の食人族の映画だ!」と思い込んだのを憶えています。
当時付き合っていた彼女と映画館に行って「人間が人間をマジで食べるなんてヤバい!」とビビりながら興奮していましたね。彼女はずっと下を向いて見てなかったみたいで、映画終わりに行った喫茶店で別れ話をしたような気がする(笑)。
話全然変わるけど、当時はこの映画、興行収入15億円ですよ。大ヒットです。
『ムカデ人間』よりヤバい映画!
――先月の時点で映画『BLUE GIANT』が興行収入10億円突破と話題になっていましたが、それを上回る数字ですか…。この映画を令和の若者たちはどう捉えると思いますか?
「そんなバカな!」と思うだろうけど、串刺しのポスターに衝撃を受けてほしいし、映画を見て「40年前はアマゾンに本物の食人族がいたのか…」と震えてほしい。だから、ポスターもちゃんと記事で宣伝しておいてね。
――嫌ですね。たしかに珍しいポスターですが、不快に思われる方もいると思うので、記事内で配信はしたくないです。
なんで? こういうインタビュー記事って大体、映画の宣伝のためにやるもんでしょーが。頼むよ。
――そんなことばっかりしてるから,つまらない記事が増えるんじゃないんですか。なぜ買い付けて、今この映画が上映されるのかについてはお聞きしますが、別に必要以上にこの映画の宣伝がしたいわけでも、提灯記事がつくりたいわけでもないんで。
えらいハッキリいいますね。まー、それならそれでいいですよ。
――インタビューを続けますね。この映画のファンの特徴は?
1983年当時にリアルタイムで見ていた50代以上のおじさん、ホラー好きな10代から20代でしょうね。あと、意外かもしれないけど、女性が多いね。以前買い付けてきた同じくカニバリズムがテーマの映画『カニバ』も『セルビアン・フィルム』も観客の8割が女性だったからね。ビジュアル系というかトー横キッズというか、わりと派手な見た目の20歳前後の若い子が多かったです。
――叶井さんはこれまでも『ムカデ人間』『キラーコンドーム』など多くの問題作を買い付けてきましたが、その中でもこれは何番目くらいにヤバい映画でしょうか?
今まで買い付けてきた映画の中でこれが一番ヤバい! これまでもいろんな映画を手がけてきたけど、ほとんどがフィクションでした。でも、これはドキュメンタリー調だったから、見る人によってはぶったまげると思いますよ。
本物のウミガメや猿の脳みそを食べる
――映画の後半、有識者による会議のシーンで「学者ではなく、一般人の感覚で言います。この“記録映像”は不快でウソっぱちでこの上なく非人道的です」といって映像確認するシーンは凄まじい映像の連続でした。
オレが学生の時に初めてこの映画を見たときは、ウミガメを食べるシーンと猿の脳みそを食べるシーンが衝撃的でした。あれ本物だからね。あとは映画ポスターにも使ったけど、串刺しにされた人のシーンは映画館(シネマート新宿)で実際に木を使って等身大パネルにしたオブジェを作ったので、ぜひ一緒に写真を撮ってほしいね。
――こんなにヤバい映画を買い付けてきて呪われないですかね。
3月に公開された映画『三茶のポルターガイスト』ではロケ中に病気も発覚するし、オレはこれまで3回離婚して自己破産もしてるし、すでに呪われてるでしょ(笑)。散々アクの強い映画を買い付けてきてるから今更ジタバタしても仕方ないですよね。そんなワケで定番の映画記事の記事末にある映画の告知ちゃんとしといてね。
――嫌ですね。『BLUE GIANT』の告知をしておきます。
映画『BLUE GIANT』絶賛公開中!
詳細は映画公式ホームページをチェック!
2023年製作/120分/G/日本
配給:東宝映像事業部
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 / ©2013 石塚真一/小学館
取材・文/荒川イギータ 画像/©F.D.Cinematografica S.r.l.1980
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