「早く大人になろうと急がないで。遊んで、遊んで」世界一貧しい大統領から届いた日本の子どもへのメッセージ
集英社オンライン / 2024年2月29日 11時0分
〈なんでも「減点方式」の日本型教育への疑問…幸福度の高いデンマークが子どもの通知表をつけない理由〉から続く
世界の国ごとの「GDPランキング」と「幸福度ランキング」が驚くほど一致していないのをご存じだろうか。日本でも一番経済が活発なのは東京だが、「都道府県幸福度ランキング(2022年)」で東京は46位だった。いったいなぜなのか? ドイツ在住の日本人実業家であり、世界に精通する人気インスタグラマーが48例に及ぶ世界のシン常識をまとめた初の著書『シン・スタンダード』より一部抜粋、再構成してお届けする。
世界一貧しい大統領からの日本の子どもへのメッセージ
「世界一貧しい大統領」として知られるホセ・ムヒカさんと対談をさせてもらった。そのホセ・ムヒカさんからの、日本の子どもたちへのメッセージが次の通り。
〝日本にいる子どもたちよ。君たちは今、人生で最も幸せな時間にいる。経済的に価値のある人材となるための勉強ばかりして、早く大人になろうと急がないで。遊んで、遊んで、子どもでいる幸せを味わっておくれ。〟
日本全国を講演で回っていて、毎日子どもたちと逢うけれど、ビックリするのは、今の小学生は本当に〝忙しそうだ〟ということ。
国立教育政策研究所の調査によると、現在の小学生(第6学年)の「2人に1人」が塾に通っているという。塾に通っている理由で最も多いのは「受験のため」だそうだ。
小学生というかけがえのない子どもの時間を、遊ぶこともせず、学力の高い中学校に入るための勉強に費やす。無事に学力の高い中学校に入れたなら、次は学力の高い高校に入るための勉強が待っている。
無事に学力の高い高校に入れたなら、次は学力の高い大学に入るための勉強が待っている。無事に学力の高い大学に入れたなら、次は安定した会社に入るための試練が待っている。無事に安定した会社に入れたなら、次は出世のための競争が待っている。
そうして定年までを勤めあげ、敷かれたレールから落ちないことだけに必死だった人生に、やっと自由が訪れる。
その時にはもう、人生の時間もエネルギーも多くは残っておらず、自分にこう問いかける。
「これが自分の人生だったのか」
「経済的な豊かさ=幸せ」は真っ赤なウソだという証拠
もちろん、そんな生き方を否定したいというわけでは決してない。ただ、それでいいのか自分に問いかけてみて欲しい。
レールの上を走るだけでは、レールのない場所を自分の足で歩く充実感や、そこでしか見れない景色には出逢えない。
それに、レールから落ちなかったケースのことを書いてみたけれど、レールから落ちるケースのほうが圧倒的に多いと思う。
受験に落ちたり、就職がうまくいかなかったり、リストラ、会社の倒産など、レールから落ちるタイミングなんていくらでもある。
レールの上にしか人生がないと思っている人は、一度レールから落ちると自暴自棄になったり、自己嫌悪におちいったりしてしまう。
さらに言えば、世界大学ランキングでトップだった英オックスフォード大学は、以下のように発表した。
「約10~20年後には、(2013年にあった職業のうち)約半分の職業はなくなる」
つまり、必死で落ちないようにしているそのレールは、そもそも先がないレールかもしれない。これからの時代に求められるのは、「なにが起きても自分でなんとかする」という強さや、知恵や人格だと思う。
そしてそれは、勉強だけしていて身につくものではない。遊びのなかにこそ、学びがあるのだ。
それに、「経済的な豊かさ=幸せ」というのは真っ赤なウソだということを、そろそろ大人から認めて、子どもに伝えていきたいものだ。
「GDP(国内総生産)ランキング」と、「幸福度ランキング」は、驚くほど一致していない。ハーバード大学も、75年に渡る研究の結果、「お金」と「幸福」は無関係で、「信頼し合える人間関係」が一番だと結論づけた。
日本で一番経済が活発なのは言うまでもなく東京だけど、「都道府県幸福度ランキング(2022年)」で東京は46位だった。
「経済的な豊かさ=幸せ」は真っ赤なウソだという証拠は、これまでのどの時よりも、今、僕たちの前に出揃っているのだ。
子どもの頃のかけがえのない時間は、一度過ぎてしまったら、二度と返ってはこない。
「遊んでばかりいないで、勉強しなさい!」
僕が子どもの頃、こう言われている子をよく見たけど、今、僕は心の底からこう思う。「勉強ばかりしてないで、遊ぼう!」
子どもだけでなく、大人も思いっきり遊んでいいと思う。
本気で遊んで、人生を楽しんでいる大人の背中こそが、子どもに希望を与える。
文/谷口たかひさ 写真/shutterstock
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