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「頭の中にもやがかかったような感じ」激しい慢性疲労は脳の症状が原因かも―ミトコンドリアの機能不全が起こす脳の健康悪化

集英社オンライン / 2024年3月8日 12時1分

慢性疲労を抱える人の中には脳にかかわる症状を抱えている人も多い。脳の健康が悪化して気分に乱れが起きる最大の理由とは? 『回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

脳細胞をクリアに、フレッシュにする

以前はよく山登りに行っていたステファニーは、最近は2ブロックも歩けない。

「エネルギーがぜんぜん湧いてこないんです。いまの私にできるのは、家のなかをうろうろするだけ。頭もまったく回らなくて、ひどい状態です」

初めて会ったとき、彼女は私にそう訴えかけた。「かかりつけの先生には、認知能力の衰えがひどくなっていると言われました。若年性認知症の兆候が見られるらしいんです」



まだ50代初めのステファニーは、すっかり落ちこんで何もする気がなくなっていた。

「人づきあいにも、ものすごく努力が必要なんです。誰かと話してるとすぐに疲れてしまうので、最近はそういう機会をできるだけ避けるようになりました」

ステファニーは、エネルギーの低下にともなって脳の機能低下も起きているように感じていた。記憶力の衰えや、頭にもやのかかったような状態もよく見られる──こうした症状が、激しい疲れと一緒になって、彼女の不安とうつ状態をさらに悪化させていた。

「こんな人生、もう耐えられません。毎日毎日、痛みと不幸と疲れに苦しむだけの人生なんて……」

頭に「もや」がかかった感じ

私が相談を受ける人のほとんどは、疲れのほかにもさまざまな症状を抱えている。その人たちが疲れ切って夢も希望もなくしているのは、そうした健康問題のせいである場合が多い。

私が感染性単核球症のせいで疲れ果てていたのはもう数十年前だが、そのときの絶望と不安はいまでもはっきり思い出せる。

そんな不安を感じていたのは、疲れの本当の原因にたどりつけなかったからだけでなく、1粒で効く特効薬や、それさえ手に入ればすべてを解決してくれる「聖杯」のような秘宝が存在しないとわかっていたからだ。

そして、脳の健康が損なわれたときに何よりも恐ろしいのは、自分ではそのことに気づけない点だ。思考がはっきりしなくなり、普通なら何も考えずにこなせる簡単な仕事さえだんだんできなくなって、ぼんやりしてしまう。気分もつねに不安定で、イライラしたり、不安になったり、落ちこんだりを繰り返す。

脳はあなたの生活の中心にあって、すべてを采配する役割を担っている。あらゆる体の働きを制御する指令を出し、呼吸から思考、感情にいたるすべてを決定する。

だから、脳が期待どおりに働かないと、健康に重大な問題が起きるだけでなく、エネルギーも湧いてこないのだ。

激しい慢性疲労を抱える人たちには、次のような脳にかかわる症状が出ることが多い。

・脳疲労(仕事、読書、勉強、車の運転などの精神的に疲れる作業をしたあとに、脳のスイッチが切れたように激しい疲れを覚えたり、眠くなったりする感じ)

・頭にもやがかかったような感じ(記憶力や集中力の低下、精神的な明晰さの喪失、考えがまとまらない、考えるのに時間がかかる、1つのことを考えられないといった認知機能の衰え)

・回復力の衰え(ストレスに弱くなったり、すぐ調子を崩したり、ちょっとした精神的・身体的ストレスに大きな打撃を受けたりする)

・うつや不安

・線維筋痛症や偏頭痛

・心理的疾患や精神的疾患

こうした症状は、実際はすべてが深く絡み合っている。

それほど疲れ果てているというわけではない人も、何かしら脳にかかわる症状を抱えていることが多い。

なぜか? それは、こうしたさまざまな症状と疲れは、脳の細胞レベルで結びついているからだ。

ミトコンドリアと「ニューロン」の密な連携

脳はとても複雑な働きをする器官だ。その脳に体をきちんと機能させる力を与える最も大切な要素が、「ニューロン」と「神経伝達物質」だ。

ニューロンは情報の伝達機関で、脳という都市のなかにある建物とも言える。信号を生み出し、体のなかで起きていること──あるいは起きる必要があること──を脳と神経系に伝える基地としての役割を果たしている。

神経伝達物質は、ニューロンからの信号と情報を脳と神経系に運ぶ化学物質だ。ニューロンの建物が伝えたいメッセージをつくり出すと、神経伝達物質がメッセンジャーとしてそのメッセージをあちこちの建物へ送り届ける。

脳の機能を最大限に発揮させ、健康でエネルギーみなぎる体をつくるには、ニューロンと神経伝達物質──信号とその滞りない伝達──の両者が欠かせない。ニューロンが損傷を受けて機能不全になったり、神経伝達物質のバランスが乱れたりすると、脳はエネルギーをつくるための正しい信号を出せなくなる。

脳の構造や機能に広範囲にわたる変化が起きれば、必ず慢性疲労に結びつく。慢性的にエネルギーが湧かずに苦しんでいるなら、少なくとも部分的にせよ、脳の健康に問題があることを疑ったほうがいい。

慢性疲労に苦しむ患者を調べた55件の研究を体系的に分析したところ、慢性疲労のない人と比べて、脳の構造と機能に次のような変化が起きていたことがわかった。

・自律神経系の活動の乱れ
・脳の白質量の低下および脳の縮小
・脳の各領域間の機能的なつながりの不調
・認知機能と記憶の衰え
・脳の血流と栄養素の搬送の減少
・うつや不安の傾向

脳の健康が悪化し気分に乱れが起きる最大の理由は、ミトコンドリアの機能不全だ。

脳には、ニューロンが適切に起動し、神経伝達物質がつくられるのに欠かせないミトコンドリアが豊富にあり、それらが生み出すエネルギーを原動力として脳は活発に働くことができる。

脳の全体重に占める比重はわずか2%だが、安静時には体内の酸素の20%を消費しているのだ。

ミトコンドリアの機能不全は慢性疲労の根本的な原因だが、それだけでなく、神経炎症や認知能力の衰え、神経変性(このすべてが疲労につながるもの)を引き起こすのもミトコンドリアの機能不全なのだ。

文/アリ・ウィッテン アレックス・リーフ
写真/shutterstock

回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる

アリ・ウィッテン、アレックス・リーフ

2024/2/29

1,760円

352ページ

ISBN:

978-4763140104

頭皮から湯気のように出る「疲れ」に。
脳フレッシュ、体中のスタミナアップ!
無尽蔵の体力が手に入る。

★発売即、全米アマゾン3部門1位!
世界的話題書、日本上陸!

「昨日食べたものが、
細胞1つひとつに、こうも影響する!」

あなたの細胞は、疲れているとき
「冬眠」していた。
全身を構成する細胞内にある
エネルギー生成器官「ミトコンドリア」の
出力を上げ、体中の細胞を強くするには?

細胞レベルでフル回復し、
スタミナを上げる。
「ミクロレベル」で疲れに強くなり、
「マクロレベル」で体力を底上げ。

多方面で細胞の抗疲労レベルを上げるワザの数々!
◎ミトコンドリアは「食べるもの」で増えるし減る
◎「タンパク質」が睡眠の深さを変える
◎「デンプン」は冷やすと良物質化する
◎水分不足で「脳細胞」が鈍る
◎「最初に野菜」で食べる量が自然に減る
◎卵から「魚」「野菜」並みの栄養を摂取する方法 etc

【目次より】
1章 ミトコンドリア!
エネルギーの「でどころ」を増やす
2章 「体内時計」を修復する
「深い睡眠」を体のすみずみまで効かせる
3章 「脂肪」を燃やす
毎週0・6キロ燃焼する
4章 「腸の壁」の修復
見えない「腸漏れ」。自分のお腹を強くする
5章 「糖」を食べて疲れない
「いちばんいい量」を巡らせエネルギーに変える
6章 疲労脳
脳細胞をクリアに、フレッシュにする
7章 エネルギー生成フード
身近で、簡単に摂れて、ミトコンドリアに効くものを厳選

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