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拝んだ仏は10,000体超え、仏像芸人みほとけがすべての日本人に推す仏像48体…江戸時代以来の仏像ブームを300年ぶりに! 

集英社オンライン / 2024年3月17日 11時1分

ミス鎌倉2016にして慶應義塾大学卒業の才媛芸人・みほとけ。年間1,000体以上、これまで10,000体以上の仏像を拝み倒した“お寺・仏像研究家”という異色の顔を持つ彼女が、初の著書『みほとけの推しほとけ』(笠間書院)を刊行した。仏像の推しポイントや鑑賞の楽しみ方、令和の大仏造立計画から仏像ブーム復古の野望まで、あふれる仏像愛を語ってもらった。

みほとけさん

#2 #3

10,000体参拝の第一歩は空也上人

――修学旅行で京都六波羅蜜寺「空也上人(くうやしょうにん)像」を目にされてから、仏像のとりこになった、みほとけさん。口元の阿弥陀仏や、鹿の角がついた杖などに目が行きがちな空也上人像ですが、“足元”に注目されていたとか。



みほとけ(以下同) 空也上人像、カッコいいですよね! 私がとりわけ目を引かれたのは、使い古された雪駄からのぞく長距離ランナーのような足。リアルな造形に加えて、「すさんだ京都の町を歩いていたんだな」と思わせてくれるリアリティに感動しました。

平安時代、荒れたまちのインフラを整えて回った市井のヒーローとしての空也上人の足取りが目に浮かぶようです。

――我々のような素人が仏像を鑑賞する際、どのような点に注目すれば楽しめるのでしょうか。

心の中で“ツッコミ”を入れてみてはどうでしょう…。といっても、仏様はボケてないんですけど(笑)。「唇厚いな、アンジェリーナ・ジョリーか!」のように、ツッコミを通して感想を言葉にすると、特徴がより具体的にみえてくると思います。

“アフロ阿弥陀”でおなじみ、金戒光明寺「五劫思惟阿弥陀仏」がSNSでたびたび取り上げられるのも、みんながツッコミやすいからかもしれませんね。

――鎌倉大仏のように観光スポットとして名高い仏像がある一方、あわや廃棄寸前だった仏像もあるとか。

静岡県伊豆地方の南禅寺(なんぜんじ)の「薬師如来と仏像群」ですね。平安時代の貴重な仏像なのですが、ときが経つにつれて手入れする人が減っていき、仏像の専門家の方が発見したときには段ボール箱の中に詰め込まれていたそうです。焚き火の薪にされるところだったとか。

でも実際に目にすると、「人々が手を合わせてきた思いが像の中に宿っているんだな」と伝わってきます。何百年も前から手を合わせてきた人々の“思い”が滲み出ているのかもしれません。

規格外の大仏、浅草に登場か!?

――推しの仏像が48体とのことですが、どのようにみほとけ48(仏像)は選ばれたのでしょう?

マニアックな仏像だけを紹介しても書籍に興味を持ってもらえません。なので、まず東大寺の大仏や興福寺「阿修羅(あしゅら)像」といった有名どころで読者の心をつかみ、読み終える頃には先ほど話した南禅寺のような、あまり知られていないけど素晴らしい仏様のもとまでいざないたいなと(笑)。

そもそも東大寺の大仏造立は、聖武天皇が指揮を執り、国を挙げて行なわれた一大プロジェクト。1300年もの間、日本全国の人々の思いをあの巨体で受け止めてきたわけですから、外すわけにはいきませんよね。

――大仏造立は、当時の社会不安払拭の手段でもあったわけですよね。現代でも、コロナ禍や不況、自然災害などに際して「今こそ大仏を造立すべき」といったネットミームをしばしばみかけます。みほとけさんが大仏造立プロジェクトを任されたとしたら、どのような仏像を手がけたいですか?

現代の日本は政教分離。なので公費で造立するのは難しいですし、そのような予算があれば喫緊の問題解決のための予算や、仏像をはじめとする文化財の保存・修復費に充てるべきだと思います。

…という現実的な問題はさておき、私に大仏造立を任せていただけるとしたら、30メートルを超える「薬師如来坐像」を建てたいです。

――場所はどちらに?

東京スカイツリーの隣にしましょう。薬師如来は現世利益(今の苦しみを取り去ること)をしてくださり、どんな病気も治してくれる“医者の王様”みたいな仏様なんです。

多くの問題がある日本で、ぜひ皆さんに手を合わせてほしい仏様。スカイツリーのある台東区には、浅草寺の本尊の観音様をはじめとしたいろいろなお寺があって、古来より多くの人が手を合わせてきた地域なので、大仏との親和性も高いのではないでしょうか。

野望は「300年ぶり!?の仏像ブーム復古」

――徳の高いお話の後に煩悩至極な質問で恐縮ですが、みほとけさんの理想の男性のタイプを教えてください。

頼りがいがあって、体が分厚く、周囲を圧倒する雰囲気を持った人が好きです。仏像にたとえるとしたら、京都・岩船寺(がんぜんじ)の「阿弥陀如来坐像」かな。思わず「参りました!」と言ってしまうような、優しさの中に厳しさを感じられるところがいいですよね。

――念願だった仏像本も刊行された今、今後の展望を教えてください。

江戸時代って、仏様にお参りするのが庶民のエンターテインメントのひとつとして日常に根づいていたんですよ。

「江戸名所図会」という、現代でいうところのガイドブックあるのですが、そこには江戸各地のお寺が描かれているんです。江戸の人々は日常的にお寺参りを楽しんで、参道のお茶菓子をいただきつつ、仏像談義に花を咲かせていたんだと思います。

――娯楽として仏像を身近に楽しんでいた、と。

きっと江戸時代の人々もただエンタメという側面でなく、仏像を通じて仏さまの心や、先祖、家族、友人との触れ合いに感動していたはずなんです。

だから私は、300年ぶりに仏像を「街の人気者」として広めていきたいです。いろんな人が集う場所としてお寺や仏像がもっと取り上げられて、SNSに仏像の写真や参拝の感想をシェアするようになってもいいですよね!

仏像に興味を持つことが、ひいてはいろんな人との交流に繋がれば素敵じゃないですか。その足がかりとして、まずはテレビで仏像専門番組を担当したい。最近、"面白カルチャー番組"が少なくなってきていますし。

――『ブラタモリ』も終わってしまいますね。

『ブラタモリ』が街歩きをしながら土地の歴史や地質的な特徴を深堀りしていくように、仏像やお寺を通してみえてくる発見もあるんです。

土地によって仏像の特徴も異なりますし、東京のような都会でも小さな地蔵堂がみつかることがある。仏像やお寺を詳しく調べると、「この土地は古くから山を信仰しているんだな」「この町には海の神様がいるんだな」といった、土着信仰や町の産業、政治的な役割までみえてくる。

なので、仏像カルチャー番組がやりたいですね……テレビ関係者の皆さま、ご連絡お待ちしてます!

取材・文/結城紫雄 撮影/松木宏祐

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