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Apple、モルガン・スタンレーが導入する「すごい会議」はなぜすごい? 「うまくいく企業」と「うまくいかない企業」とのたったひとつの違い

集英社オンライン / 2024年3月13日 8時1分

AppleやAdobe、モルガン・スタンレーなど、世界の名だたる大企業が導入する「すごい会議」とはいったいどんなものか。その手法やうまくいく企業の特徴を『【新版】すごい会議 短期間で会社が劇的に変わる!』を上梓した大橋禅太郎さんに聞いた。

「すごい会議」で実践している一つのこと

――まず「すごい会議」とは何か、教えていただけますか。

大橋(以下同) 「すごい会議」とは、1975年にハワード・ゴールドマン氏(以下、ハワード)らによって考案された、企業の問題や課題を解決するための経営ミーティング手法です。本書では「組織の自己啓発」とも記載しています。

私たちは会議をマネジメントそのものだと考えています。そのため「すごい会議」を行うと、短期的で明確で共有・共感された目標が立てられたり、目標を実現するための最適な役割と責任分担が明らかになったりと、経営に直結するような効果が期待できます。


――AppleやAdobe、モルガン・スタンレーなど、世界の名だたる大企業が「すごい会議」を導入していますが、どんな会議を行っているんでしょうか。

大企業で働く人々は、日々自分がやるべき仕事をしているわけですが、ひとつの目標に向かってしゃかりきになっている状態は稀なんですよね。その状態を実現するために、短期的かつ関連する全員が満足する目標があって、「これをやったらうまくいくぞ!」という作戦が見つかり、それに向かって問題解決をしている状態を作る、ということを日本でもアメリカでもやっています。

ただし、「すごい会議」の受け手が何を受け取るのかはさまざまです。以前、ハワードの誕生日パーティーがあったんですが、セミナー形式だったんですよ。そこではハワードの顧客だった8名がスピーチしたんですが、「効果的なマネジメントプロセスが手に入った」「売上や成果が手に入った」など、得られたものが人によってかなり違っていました。やっていることは同じなんですけれど。

うまくいく企業は「計画」ではなく「目標」を立てる

――「すごい会議」を通してうまくいく企業と、うまくいかない企業があると思います。その違いは何でしょうか。

「すごい会議」の戦略会議をやると、その組織の目標や作戦がはっきりしますが、それはだいたいうまくいかないです。なぜなら、これまで解決したことのない問題が出てくるから。顧客が「『すごい会議』は大変だから、違う研修に変更したい」と言い出すこともあります。

そこからうまくいくかどうかは、野望があるか、なんですよね。「今は売上50億円だけど、業界トップが120億円だから、4年以内に200億円になって業界No.1になるぞ」とか。もっと小さな野望でもいいです。大切なのは、今はそれを持っていなくて、 勝つ方法もわからないけれど、「できるんじゃないか」という可能性を見出して、それを得ることにコミットできるかどうか。

先ほど「目標を立てる」と言いましたが、人は、やり方のわからない目標を立てる人と、やり方がわかる目標を立てる人のふたつに分かれます。私たちは、やり方のわからない目標を「野望」、やり方のわかる目標を「計画」と呼んでいます。後者は目標ではないんですよね。つまり、うまくいく企業は「野望を持っていて、目標を立てられる企業」だといえます。

さらにいうと、解決できない課題が出てきたときに、解決したことのない問題を解決した体験がある人と、その体験がない人とでは、アプローチが違うんですよ。

多くの人は、解決できない問題を解決したことがないから、解決方法がわからない計画には乗らないんです。でも、解決した体験をしていると「今、当社は年商10億円だけれど、来年は30億円いってもおかしくないんじゃない?」なんてことが言えるようになるんです。

――解決できない課題を解決できるようになるためには、どうすればいいのでしょうか。

1~2年ほど、小さな問題を解決していく体験をしてもらう場合が多いです。例えば、ある造船会社は当時業界7位でしたが、社長が「7年以内に2位になる」と目標を立てました。すると一人の部長が「すでに製造のプロセスが決まっているから無理」など、できない理由をたくさん並べてきました。

そこで私たちがやったのは、その人が「できない」という説明を聞かずに、「どんな事実があるのですか?」と実を取っていくことです。「AなのでBできない」と言われたときに、AとBとを切り離して考えるのが大事。その会社の場合は、他国との価格競争やコスト面などの問題がありました。そこから解決策を組み合わせて、一歩ずつ小さな問題を解決していったら、実際に業界2位にまで成長したんです。

当時できない理由を並べていた部長も、「次回までに解決しておきます」と発言するほど変わりました。

これからの時代は「野望を持つ人」が有利になる

――他に、うまくいくためのポイントはありますか?

従業員が抱えている、“ひどい真実”を洗い出すことです。例えば、ある企業に「業界シェアが下がっている」「相見積もりで他社に負ける」という問題があるとします。

このとき従業員は「自分だったら自社のプロダクトを買いたくない」という“ひどい真実”を抱えていました。この“ひどい真実”が、問題のドライバー(問題の発生源)となっているんです。企業は問題のほうを解決しようとしますが、本当は“ひどい真実”であるプロダクトの課題を解決しないとだめですよね。

この“ひどい真実”を解決するときには、脳内の文章を「なぜできないんだろう?」という“Why”から、「どうすればできるだろうか?」という“How”に書き換えることが大事です。そうすると、これまで“Why”しか考えたことのなかった人も、自然と“How”を考え始めることが多いんですよね。そして「〜だからできない」と思っていたのが「できるかもしれない」になり、「できる気がする」と変わっていきます。

できる気がしないとやる気がしないじゃないですか。だから私たちは、この「できる気がする」という雰囲気作りをお手伝いしているんです。

――これからも成長する企業やビジネスパーソンになるために、どのようなことが必要でしょうか。

まずは企業のトップが野望を持つことじゃないですか。そして、野望を持ちたい従業員も持てばいい。今は野望を持つ人が少ないからこそ、野望を持っている人が有利な時代だと思います。

野望の持ち方がわからないなら「どうすれば野望を持てるだろうか?」と“How”を考えてみればいい。野望の種を自分で蒔いてみてはどうでしょうか。

文/久保田まゆ香 取材・編集/金指 歩 画像/shutterstock

『【新版】すごい会議 短期間で会社が劇的に変わる! 』(大和書房)

大橋禅太郎 (著)

2024/1/20

1,760円

176ページ

ISBN:

978-4479798033

会社を劇的に変革する「すごい会議」とは
「すごい会議」のやり方で、あなたの会社は劇的に変わる!
ユダヤ人マネージメントコーチ・ハワード・ゴールドマンにより開発された「すごい会議」のやり方は、ヤフー!、アップル、NEC、Hewlett-Packard、アメリカン・エキスプレス、P&G、モルガン・スタンレー、アクセンチュアなど、世界中の元気な会社で採用されている。
「すごい会議」のやり方を読むと、
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