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名刺の肩書きは「神」…ノリで始めたくだらない行動が功を奏して…モルガン・スタンレー、アクセンチュアが取り入れる「すごい会議」が教えるトラブルの切り抜け方

集英社オンライン / 2024年3月15日 8時1分

企業経営にダイレクトにアプローチする「すごい会議」。これを日本に広めた大橋禅太郎氏はかつて、実際に「すごい会議」を体験し、会社を変革させた。当時のエピソードを『【新版】すごい会議 短期間で会社が劇的に変わる!』より一部抜粋、再編集してお届けする。

アメリカで起業した大橋氏は、「すごい会議」の提唱者であるハワード・ゴールドマン氏(以下、ハワード)に出会い、そのセッションを受ける。短期的かつ明確で、インパクトがある「戦略的フォーカス」を立て、組織として再スタートを切ったが、依然先行きは不透明だ。そんななか、さらなるトラブルが起こってーー。

障害になっていることは何か

さて、そんなある日、ジェニファーが突然会社を辞めると言い出した。どうやら先週見かけたもぐろ氏はヘッドハンターだったようだ。



当時シリコンバレーはすごい人手不足で、優秀な人間なら、マーケティング、営業、技術、とにかくひっぱりだこだった。

エンジニアのダンも、僕らの会社に入る前に「職場探してます」というメッセージをウェブに掲載したら、1週間で30社からコンタクトがあったそうだ。

アンディーと僕が必死に説得したが、彼女の意思は固い、そこで僕らは、ダメモトでハワードに電話をして助けを求めた。
彼は、「わかった。話をしてみる」と一言だけ言って電話を切った。

翌朝ジェニファーは、僕たちのところに「退職届」を持ってきた。
ハワードといえども、ジェニファーの意思を覆すのは無理だったようだ。
退職届を読んでみる。

私ジェニファーは、1ヶ月後の○月×日に退職させていただきます。
その理由は、マネジメントの意思決定に十分参加できていないこと
わが社の資金がもう少しで底を突きそうなところ
資金を得たとしても、自分の持っている株が0.5%しかないことです。
もしも、1ヶ月以内に上記の内容が是正されるのでしたら、ぜひこの会社を辞め
ずに働き続けたいと考えております。
○○○○年○月○日 ジェニファー

「Do you really need her?」

僕とアンディーは、「あちゃー」という感じだった。
ジェニファーにはもちろん辞めてほしくないが、これらを是正するには、僕たちにも相応の覚悟とコスト(株発行)が発生する。

多くの問題は、問題が発生したときの覚悟や、投入を計画していた資源(お金、時間、物など)だけでは解決しないことが多い。その問題が僕らの達成することの障害になっていたなら、あとは覚悟を決めてやるしかない。

資金に関しては、投資家からすでにある程度のコミットメントを得ていたので、彼女と投資家が直接話すチャンスをつくり、株に関してもなけなしの社員会持ち株を、それなりの水準に上げた。

もちろん投資家といった社外役員を含めた取締役会では、「Do you really need her?」(本当に彼女が必要か?)と聞かれた。

僕らの答えがYESだからこそ、こうやって覚悟を決めているのだ。

会社をやっていると、放っておいた問題から「トナカイの死骸の臭い」がしてくることがある。トナカイの死骸の臭いなんて誰も嗅いだことがないのだけど、「な〜んとなく、はっきり言えないけど、いやな感じがただよっている」ことだ。

日々いろんな意味で整理整頓や掃除をしっかりしないと、ある日突然、トナカイが辞表を持ってくる。

「くだらないアイデア」

新サービスを立ち上げるにあたって、どうしても欲しかったのが優秀なシステム管理者だった。

ところが、そこそこの規模のウェブサイトのシステム管理者というのは、当時まだインターネットが産声を上げたころだったので、極端に足りなかった。システム管理者が手に入らないと、予定どおりに製品を投入できない。

毎朝のミーティングで、僕の「X月Y日までに優秀なシステム管理者を雇う」の部分が、日々遅れていた。

ある日の朝のミーティングで、ジェニファーが、「どうしたら我々はゼンを助けられるか?」と僕とグループに質問した。

・社員の仲間を紹介してもらう
・紹介された人が我社で雇用されたら5000ドルの礼金を出す
・社員だけでなく、我々の「業者」にも、システム管理者紹介してくださいのメッセージを出す(5000ドルの礼金を提示)
・投資家にも頼む
・毎朝の会議をビルのロビーでやり、「システム管理者募集。紹介者には5000ドル進呈」のビラをまく
・そのビラを背中に張って昼飯を食べに行く

ノリで始めたくだらない行動から「神」にたどり着く

こうしたアイデアが出てきて、全部今日から実行することになった。ビラはアイデアが出たときは「ノリ」で「やろう!」と言ったが、実際実行するとなると、かなり抵抗がある。

でも僕たちはやった。僕たちが飲茶のランチに、そのビラをつけた格好で行くと、周りのテーブルのやつらは僕らのことを見てひそひそ話をしている。

僕がコーチをやるときに、ときどき「くだらないアイデアをあと二つ追加してください」とリクエストする。

普通のアイデアは他社でもやってる。一見くだらないアイデアを、プロとして実行できるやつらはそこで確実に差が出る。

このしくみで紹介されたシステム管理者候補が、僕と面談することになった。
僕は彼のことが気に入り、ぜひ入ってほしいと思った。

彼に、「じゃあ肩書きは何にしようか?」と聞くと、彼は冗談で「ネットワークとUNIXの神ではどう?」と言ってきた。

僕はすかさず、「そりゃあいい!本部長以上の肩書きは取締役会の決議事項だけど、『神』は僕の裁量で決められる。そうしよう!」と言った。

僕の馬鹿さぶりを気に入ってくれたのか、彼は我社に入社した。

もちろん入社契約書や、名刺の肩書きは「神」だ。

こんなふうに、僕らは問題が出てくるたびに、「どのようにすれば」のかたちにすることを乱用して楽しんだ。

たとえば毎朝の進捗管理のミーティングがマンネリになってくると、「どのようにすれば毎朝のミーティングをセンセーショナルにできるか」といった文章になる。

毎週「ミーティング幹事」を決めて、その人が、なんらかの工夫をしてセンセーショナルにすることにした。

片足でミーティングしたり、服装の決まりがある日があったり、ロビーでやったり、公園を歩きながらやったり、一つひとつがとてもいい記憶として僕のなかに残っている。

文/大橋禅太郎 画像/shutterstock

『【新版】すごい会議 短期間で会社が劇的に変わる! 』(大和書房)

大橋禅太郎 (著)

2024/1/20

1,760円

176ページ

ISBN:

978-4479798033

会社を劇的に変革する「すごい会議」とは
「すごい会議」のやり方で、あなたの会社は劇的に変わる!
ユダヤ人マネージメントコーチ・ハワード・ゴールドマンにより開発された「すごい会議」のやり方は、ヤフー!、アップル、NEC、Hewlett-Packard、アメリカン・エキスプレス、P&G、モルガン・スタンレー、アクセンチュアなど、世界中の元気な会社で採用されている。
「すごい会議」のやり方を読むと、
・会議での話し方、聞き方が変わる!
・問題の解決のしかたが変わる!
・意志決定の方法が明確になる!
・各自がなにをするのかがはっきりわかるようになる!
そして、会社全体が短期間に進化し、業績がアップする!!

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