――小林さんは阪本順治監督作品に初出演、余さんは3度目の出演となりますね。
小林 監督とはこれまでプライベートで2度ほどお酒を飲んだことがあるのですが、お仕事をご一緒したことはありませんでした。嫌われているんだなーって思っていたくらい(笑)。だから初出演できてうれしかったですよ。本当に、素直に。
ただ、脚本を通して読んだときに、主人公の淳はもちろん、僕らが演じた両親も含めてみんなが八方塞がりで出口が見つけられないんですよね。最後までアップグレードできないまま。それが映画的にどうなんだろうって思って、一抹の不安を覚えたんです。ところが試写を見たときにそれまでとは違う気持ちになりまして。自分が違う人生を歩んでいたら、淳のようになっていたかもしれない。むしろ、淳は僕だったんじないか?って思えたんです。そんな思いになるとは想像していなかった。まあ、脚本を読み解く力がなかったということなんですが(笑)。
余 監督とは『傷だらけの天使』(1997)、『新・仁義なき戦い。』(2000)でご一緒していますが、作品のテイストと同じように、当時は監督もなんだか怖かったんです。でも今回はものすごく現場でお話ができました。完全オリジナル脚本ですが、監督は独身で子供もいないのに、夫婦や子供のことをよく書けるなと思いましたね。人のことをよく見ているなーって。