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転職は異世界転生じゃない! 待ち受ける「上司ガチャ」「部下ガチャ」への対処法

集英社オンライン / 2022年6月7日 17時1分

終身雇用制度が崩壊した今、毎日のように転職サイトの広告を見かける。ひと昔前に比べて転職のハードルはずっと低くなったが、「転職すれば人生が変わる!」というほど現実は甘くない。4月に入社した新入社員もちらほら転職を考え始めるこの時期、研修講師として数多くのビジネスパーソンを指導している岡崎かつひろ氏にその心得を聞いた

転職は異世界転生ではない!

「もっと収入の良い仕事がしたい」、「福利厚生がより充実した企業で働きたい」、「会社の方針が合わないから……」。転職したいと考えている人は、基本的に人生をより良くするための手段として考えているはず。

しかし、研修講師の岡崎かつひろ氏は「転職はいわゆる異世界転生ではない、ということに気づかないといけません」と冗談交じりに釘を刺す。いくらなんでも転職を夢の世界と混同する人はいないだろうが、異世界に逃避したくなるほど、現実が厳しいことも事実だ。



「今、世の中の景気は“スタグフレーション”。つまり物価は上がっているのに収入は上がっていない、あまりよくない状態にあります。ここ20年間の我々の平均給与で言えば、上がっていないどころか、むしろ下がっているかもしれません。この先も、スタグフレーションはしばらく続くと言われています。

そんな不安定な経済状況の中で、会社が嫌だから辞めるとか、無計画に転職を繰り返すといった考えは、かなり危険です。収入を上げていきたいという理由で転職するのであれば、まず今の仕事でどれだけやり切ったかを振り返るのが第一歩。転職をしてすぐに収入が上がるほど甘くはないということを肝に銘じておきましょう」

転職エージェントの落とし穴

計画的に転職が上手く行けば、収入やキャリアをどんどんアップしていくことも夢ではないのかもしれない。そのためには転職サイトを活用し、転職エージェントの力を借りるのも手だ。だが、この場合にも注意すべき点があると岡崎氏は語る。

「転職エージェントに提示される金額によっては、収入が上がる場合もあるでしょう。ですが、いざ雇われてみたところで、『この人、思ったよりも役に立たなかったな』ということになれば、人は結構シビアに切られていく……という現実を忘れてはいけません。

収入を上げるつもりで転職しても、続かなければ結局キャリアにならない。そのまま転職を繰り返して良い条件を求めたところで、結果はむしろ厳しいものになってしまいます」

基本的に転職エージェントの会社は、クライアントにたくさん転職してもらったほうが儲かる仕組みになっている。そのためエージェントは、転職する人自身の能力に関係なく、とにかく素晴らしい履歴書を作って提案することに命を懸けているわけだ。

転職エージェントにあおられるがまま転職を繰り返してしまえば、転職先で長く働くことも、能力を身につけることも難しくなっていく。

「ですから、転職前の心構えとして大切なのは、『転職が人生を良くしてくれる』のではなくて、『人生を良くできる人が転職を使うことによってちゃんと良くなっている』という、その前後関係を理解すること。自分は果たして今の会社でも、転職先でも活躍できる人材になっているかどうか、きちんと考える必要があると思いますね」

会社ガチャ、上司ガチャがあれば、部下ガチャもある

2021年、流行語大賞にノミネートされた言葉のひとつに「親ガチャ」がある。「親ガチャ」とは、子どもは親を選べず、家庭環境や境遇は運任せだという意味。カプセルトイのように購入するまで中身がわからない、ソーシャルゲームにおけるシステム「ガチャ」に由来している。

「わたしの友人でリザイン・マネジメント研究家の佐野創太さんは『退職学』という考え方を提唱していて、その中でおっしゃっているのが、親ガチャ、子ガチャ、会社ガチャ……もう全部ガチャだ、と。はたしてどんなガチャを引くか、会社ガチャで言えば、どんな人と一緒に働くことになるかはわからないということです」

就職活動の面談で感じの良い社員を見て『この人がいる会社なら働きたい』と思うのは、よくある勘違い。実際に、どんな社員と働くことになるのかは良くも悪くも運次第だ。

「だからこそ、どんなガチャを引いても自分が使いこなすぞ、と思わないといけません。それと同時に理解しておかなければならないのは、部下が会社や上司に対して不満を持つように、会社や上司も部下に不満を持っている、ということ。つまりはあなたも“部下ガチャ”として評価されるということです。なので、自分がちゃんと職場に貢献しているのか、みんなに喜ばれているのかを今一度振り返ってみると良いでしょう」

自分が社長だったとして、果たして自分を雇いたいと思うか

会社ガチャの話からもわかるとおり「何事においても両面を見なければいけない」と岡崎氏は言う。ここで言う両面とは、雇用する側とされる側の考え方は異なるということだ。

「たとえば飲食店の場合、お店側は自分がおいしいと思うものを提供することは大事ですが、それ以上にお客様においしいと思ってもらえるものを出さなければいけません。雇用する・されるの関係にしても同じです。

会社側に自分の能力をアピールするのは大事だけど、それは本当にその会社から求められている能力でしょうか。みんな往々にしてこの視点が抜けてしまっています。なぜなら、ほとんどの人は自己中だから。これは雇う側も雇われる側も、気を付けなければいけないことです」

上司はもちろん、会社を動かしている社長もまた人である。だからこそ、その人に選ばれる自分になっているかどうかという、相手の視点に立った考え方を身につける必要があるのだ。

「雇う側の視点で考えるためには、仮に自分が会社を立ち上げたとして、真っ先に自分を雇いたいか、と考えてみましょう。会社がイメージしにくければ、自分が上司だったとして、果たして自分と一緒に仕事がしたいか、でしょうね」

転職を考える理由の中には、会社の方針のせいで思うような仕事ができないから、上司が自分の働きを認めてくれないから……といったものもあるだろう。しかし焦って転職する前に会社や上司の立場になって考えてみると、今までは気が付かなかった発見があるかもしれない。

「これから転職する方の心構えとして絶対に持っていなければならないのは、今いる会社から『戻ってきてくれ』と言われる自分になる、と決めて転職することです。その覚悟がないと、結局いつまでも会社や上司のせいでうまくいかないと責任転嫁してしまうでしょう。どんな状況下であれ、認められる仕事ができている人は、ちゃんと認められています。まずは、人のせいにすることから卒業なければなりません」

写真/aijiro / PIXTA shutterstock

転職前に知っておかないとヤバいこと♯2

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