アニメーション制作は『干物妹!うまるちゃん』等を手掛けた動画工房が務める。監督は『私に天使が舞い降りた!』に代表される平牧大輔氏、助監督には猫富ちゃお氏が参画。さらにシリーズ構成は田中仁氏、キャラクターデザインは平山寛菜氏が手掛ける。
「作品の嘘っぽさを読者は絶対に見逃さない」明かされるリアルの裏側<【推しの子】アニメ化決定記念 赤坂アカ×横槍メンゴ対談(前編)>
集英社オンライン / 2022年6月10日 0時1分
「週刊ヤングジャンプ」「少年ジャンプ+」にて同時連載中の『【推しの子】』(赤坂アカ×横槍メンゴ・著)。芸能界の舞台裏を多大な熱量で描き、読者の予想を超える展開の数々が大きな反響を呼ぶ本作。2021年8月には「次にくるマンガ大賞2021コミックス部門」第一位を受賞、数々のマンガ賞にもノミネートされ、7巻までの累計発行部数は300万部を突破。そんな最も注目すべき同作のアニメ化発表記念して実施した作者同士のざっくばらんな対談の模様を「集英社オンライン」独占でお届けする。前編では「ストーリー」にフォーカス。読者の心を掴む「リアルさ」はどのようにして生まれるのか、その裏側に迫る。
実力派揃いのアニメ「【推しの子】」制作陣
<アニメ【推しの子】概要>
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成:田中 仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
アニメーション制作:動画工房
アニメ公式サイト:
https://ichigoproduction.com/
公式ツイッター:
https://twitter.com/anime_oshinoko
アニメ化への安心感、そして期待
――『【推しの子】』のアニメ化決定おめでとうございます。アニメ化決定を知ったときのお気持ちはいかがでしたか?
赤坂 嬉しかったです。でもメンゴ先生に作画を担当していただいてるので、当然アニメ化されるだろうと思っていました。
横槍 私もアカ先生の原作なのでアニメ化されるだろうと思っていましたよ(笑)。
――お互いアニメ化は視野に入っていたのですね。
横槍 ただ、改めてアニメ化決定となると、めちゃくちゃ嬉しいです。
赤坂 嬉しいと同時にホッとした気持ちもあります。お互いに連載作品がアニメ化した経験があるので、それぞれ一本足で立てる人間がそろったのにアニメ化しなかったら大変だな、っていう気持ちもあって……。
横槍 そうですね。今をときめく天才漫画家・赤坂アカ先生の作品がアニメ化しなかったら、私のせい?って思ってしまうので、ダブルでホッとしました。
――アニメ化を知ったのはお二人同時でしたか?
横槍 同時に聞きましたね。
赤坂 担当編集がサプライズ体質の人じゃないから、原作の打ち合わせの時にも「アニメ化の話がきています」みたいな感じでちょっと前から情報は耳に入っていて。そして、決定となったタイミングで改めて報告、という感じでした。
――ティザービジュアルをご覧になっていかがでしたか?
アニメ『【推しの子】』ティザービジュアル ©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
横槍 敢えて顔を見せないっていうのが、自信溢れる感じで良いよね。
赤坂 ステージでパフォーマンスをしているアイドルの後ろ姿って、芸能界にいる人しか見られない光景じゃないですか。芸能界を描く作品として、結構いい線をいく、ステキなアイディアじゃないかなと思います。
アニメ化を見すえたストーリー構成
――連載が始まった段階からアニメ化を意識して描いていた部分はありますか?
横槍 アカ先生は連載初期からアニメ化の展開を見すえて構成を考えていたよね。
赤坂 僕はなにかしら縛りがあった方が話を作りやすいタイプだから、アニメでストーリーが綺麗におさまるように章ごとの尺を考えたり、盛り上がりどころを作ったりしてシナリオを考えていきました。さすがに連載を始める前の段階ではアニメ化される確信は持てなかったけど。
横槍 連載してから1巻が発売されたときの世間のリアクションで、その作品がヒットするかどうか結構わかるよね。
赤坂 そうですね。二話三話連載したあたりとか、1巻発売のタイミングくらいで。漫画って連載を続けていくと、どうしても離れてしまう読者は一定数いるんですよね。
横槍 うんうん。
赤坂 でも、それ以上に新たにファンになってくれる読者が多い作品なら伸び続ける。そう判断ができればアニメ化も視野に入りますね。
横槍 アカ先生はここ十年で売れた漫画のジャンル分けをした分析表みたいなものを仕事場に貼っていて、アナリストみたいだなと。
赤坂 漫画家になってからそういう視点を意識し始めて、売れる作品を分析するようになりました。
横槍 ヒットの要因は何なのかとか、逆に失敗の要因が何なのかを分析するのが好きだよね、アカ先生は。
『【推しの子】』のジャンルとは――
――『【推しの子】』はアイドル、恋愛、サスペンスなど様々な要素を内包していますが、明確にジャンル分けするならどういう区分になるのでしょう?
赤坂 「芸能界もの」っていう括りでやってますね。
横槍 私はどんな漫画か聞かれたとき、かっこいいから「人間賛歌だよ」って言ってる(笑)。
赤坂 1巻の内容を気に入って読み始めた人は、サスペンス要素を求めていると思うので、その要素は物語の中で定期的に入れたいと思ってます。そういえば、以前別のインタビューで「アイが死ぬ展開はアドリブだった」って間違って記事になっちゃったことがあって。アイが死ぬところは最初から決まっていたし、現時点で最終巻の内容も決まってます! たまに楽しい寄り道をしながら、初めから決めている部分は当初のシナリオに沿って描いてます!
衝撃の展開に読者から大きな反響が寄せられた
綿密な取材で描き出される芸能界のリアル
――現在連載は「中堅編」に突入しましたが、お二人が好きなエピソードはどこでしょう?
横槍 客観的に作品を楽しんでいる自分が好きなエピソードと、作画が上手くいったという作家として好きなエピソードが結構バラバラなので、ひとつに絞るのは難しいですね……。アカ先生から先の展開を聞かせてもらっているので、この先のエピソードもすごいことになりそうで楽しみにしています!
赤坂 僕は「恋愛リアリティショー編」が好き。ストーリーを構想するときに、こういう芸能界の舞台裏は描きたいっていうエピソードをいくつか思いついたんですけど、そのひとつがその「恋愛リアリティショー編」でした。2.5次元舞台、YouTube、恋愛リアリティー番組はどれも現代ならではのコンテンツで、今だからこそできる「芸能界もの」を描きたかったんです。
横槍 アカ先生はさらっと言うけど、芸能界の物語ってリサーチ不足だとどうしてもリアリティーに欠けて浅くなっちゃうし、その嘘っぽさを読者は絶対に見逃さないわけで。そう思わせないアカ先生の技量・取材力は本当にすごいと思う。
赤坂 あかね(黒川あかね)が誹謗中傷を受けるシーンは、一話丸々使って“リアルさ”だけを追求した。もし本当に炎上したらああいう感じになるっていうのを描いてね。表に出さない人が多いけど、あのシビアさこそ芸能界のリアルだと思う。
追い詰められた芸能人の心情まで細かに描写
――そういった芸能界のリアルな情報はどこから入手しているんですか?
赤坂 「この人に話を聞きたい」って言えば繋いでくれる環境があるので、その人脈を活かして芸能人やYouTuber、子役など色々な人たちに話を聞いてます。「ファンなので取材受けますよ! ご飯行きましょう!」って受け入れてくれることが多くなりましたね。
横槍 アカ先生と私の交友関係が微妙に違うから、取材先が被らないのも丁度いいよね。男女それぞれで聞ける話も変わってくるし、バランスよく情報を取り入れられていると思う。これは今の年齢とキャリアだからできるやり方であって、2人とも初連載だったら今のやり方はできていないと思います。
――「2.5次元舞台編」では、自身の作品がメディア化される漫画家・鮫島アビ子のエピソードがありますが、ご自身の経験が反映されている部分はあるのでしょうか?
「東京ブレイド」の原作者・鮫島アビ子は同作の2.5次元舞台脚本に不満を抱き強烈にダメ出し
赤坂 メディア化されるにあたっての手順は自分たちの経験を取り入れて描きましたが、アビ子の憤りや感想とかは周りから聞いた話を混ぜつつです。ただ本当に実在してもおかしくない人ではありますね。アビ子に限らずですが、取材先が特定されないように複数人から聞いた話を織り交ぜてます。誰か1人を明確にモデル立てしてるわけじゃなくて。
横槍 私もアカ先生もメディア化の際、恵まれた環境で展開してもらっているので、メディア化をマイナスに捉えているように思われちゃって申し訳ないです。ただ、漫画家である私たちが漫画家を描いたら、投影されるのはもう宿命だもんね。
赤坂 僕ら漫画家にとって、芸能界との最初の接点ってメディアミックスの話なんです。やっぱり「アニメ化にそこまで期待しちゃいけない」って言う作家さんや編集さんもいるから、描かないのは嘘だなと思って。
対談<後編>へ続く
コミックス1~8巻発売中。1~8巻:定価693円(税込)
【推しの子】 8
赤坂 アカ 横槍 メンゴ
2022年6月17日発売
693円(税込)
B6判/194ページ
978-4-08-892363-5
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
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