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チーズにポテトに揚げ物まで揃って総額170円! 「酒のツマミになる駄菓子」ベスト5

集英社オンライン / 2022年6月10日 15時1分

静岡の駄菓子屋に生まれたイラストレーター、柴山ヒデアキ氏。おとなになって、行きつけは「駄菓子屋」から「居酒屋」に変わったが、少ない小遣いを握りしめて通い、社交の場として愛し、親しむ点は共通している。今回は柴山氏が「酒のツマミになる駄菓子ベスト5」を紹介する。

駄菓子は酒のパートナー

実は私が育った家は、私以外の家族全員が下戸。だから私は、駄菓子で酒を飲むどころか、酒の飲み方すら知らずにおとなになった。

それでも、人よりやや遅れて酒を覚え、人並みにいろんなツマミを味わうようになったが、まさか、あの頃おやつにしていた駄菓子を酒に合わせて選ぶ日が来ようとは。

少々興奮気味に駄菓子屋でいろいろ買い込み、試した結果、超個人的ベスト5を決めたので、発表したい。


5位 『カットよっちゃん』 50円 よっちゃん食品工業株式会社

子どものわたしは酢の酸味が好きではなかった。多くのイカ菓子は串に刺さってプラスチックの大きなボトルに入っており、子どもたちが泥だらけの手を入れ代わり立ち代わりつっこんでは買っていった。そんな衛生観も、昭和という時代だった。

そして現在、イカ菓子は袋入りのカットよっちゃんという姿になっている。イカと酸味というツマミ定番の組み合わせに、鮮やかな赤をまとったよっちゃんイカは、酒によく合い、おとなになった私も手を伸ばす存在となった。

はっきりいってツマミとしても相当強烈な酸味であり、ひと噛みすると顔がきゅっとすぼまる。一緒に日本酒や焼酎を含むと、その酸味は甘みとなり、スッキリ洗い流され、次のひとくちが欲しくなる。

私にとって酸っぱいイカ菓子はまるで、昔はケンカばかりしていたけど、大人になってから意気投合した幼なじみのような存在だ。

なお、生産元はなぜかイカと縁の遠い山梨県で、イカした会長のエピソードが面白いので、興味があればググってみてください。

4位 『チーズあられ』 30円 有限会社中村製菓

サクサクとした軽さとかすかなチーズの香り。私が子どもの頃から、根強いファンが多かった。価格の割に内容量が多いのも、お腹を空かせた子どもたちに人気だった理由だろう。

おとなになった酒飲み的には、チーズと言ったらワインである。軽くカールしたフォルムを利用して、ひとつまみのアンチョビとバジルでものっけたら、おしゃれなカナッペにも見えるかもしれない。

このチーズあられは、もともと私の故郷である静岡のローカル菓子だったという情報がある。アルミ包装が一般的な今にして、中身の見えるクラッシックな透明プラ包装を見つけたときは、実家の駄菓子屋の一角に鎮座していた姿そのままだったような気がして感動した。

が、どうやら元祖たる静岡のチーズあられは、牛の絵が描いてあってコレとは違うらしい。
40年前に見た生家での記憶は風化しつつあるようだ。

3位 『ビッグカツ』 40円 株式会社菓道

乾き物が並ぶ駄菓子屋のなか、食卓でしかお目にかかれなかったフライが一緒に売られているインパクト。あの頃、衣をまとって揚がったビッグカツは、大げさに言えば輝いて見えた。

ボリュームたっぷりなのに、お小遣いで買えるちょっとリッチな駄菓子。それがビッグカツ。
合わせる酒はもう、問答無用でビールだ。ソースやカラシをつけてかぶりつき、ビールで流し込む。最の高だ。

これをカツ丼に応用したという逸話もどこかで聞いた気がするが、やはりご飯に合わせるよりビールでしょ、と強く思う。

主原料は魚肉。駄菓子とは棲み分けられていた魚肉ソーセージも、あの頃のおやつのレギュラーだった。安くて栄養があり、庶民の子どもの、いや大人にとっても強い味方なのだ。トースターで少しだけ焼くと、衣がサクッとしてさらにうまいのでお試しあれ。

2位 『ポテトフライ』 40円 東豊製菓株式会社

ポテトといいながらまるで芋感を感じない圧倒的なフライっ気。だがそれが演出するサクサクパリパリぶりが好きだった。子どもは油が大好き。そして酒飲みのおとなも好きだ。
これをベスト5に入れないわけにいくまい。

酒飲みになり、ポテトチップのような「意識高い芋」と付き合うことが増えたけど、最初に親しんだ芋はこの、ポテトフライだった。

酒のツマミとしては、ワインでもビールでも、かなり広範囲の酒と相性が良い。青のりや黒胡椒などで味変したり、クラッカー代わりに使って、チーズなんかのせたりするのもアリ。

ベスト1はみんな大好きなアレ

1位 『おやつカルパス』 10円 株式会社ヤガイ

カルパスは、子供のおやつからパパの晩酌まで、みんなが大好き。塩辛く油っこく、これこそツマミ駄菓子のキングにふさわしい。だが今回1位に選んだ理由は、その幅広い対応力だけでなく、驚愕のコスパだ。

カルパスは、駄菓子屋からコンビニ、スーパーやネットショップまで幅広い市場で取り扱われている。各店で買ってみた違う5種類のパッケージを、それぞれ内容量と価格をもとに計算したところ、この駄菓子屋のおやつカルパスが、重量比でダントツに安いことがわかった。

ある徳用パッケージは1gあたり6.7円。そのほかは概ね1g4円台がいいところ。その点、おやつカルパスは1gあたり2.9円だったのだ。

もちろん品質や味に違いはあるだろうが、おとなの酒を美味しく引き立たせるだけではなく、子どものおやつに最大のベネフィットを与えてくれている点には最大の称賛を博したい。

ウィスキーなどの強い酒とともにちびちびかじれば、大人の香りとノスタルジーでもって贅沢な時を過ごせる相棒になる。

私のベスト5は以上の結果となったが、めいめいの推しツマミ駄菓子をラインナップして、飲み仲間と照らし合わせるのも、楽しい肴になるだろう。

それぞれの懐かしい思い出がこもった駄菓子と、おとなならではの酒という趣味をあわせ、末永く駄菓子を愛してもらいたいものである。


イラスト・撮影/柴山ヒデアキ

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