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飲んでも太らない!? 糖質ゼロビールが誕生! 名医が教える!一生健康で飲むための必修講義

集英社オンライン / 2022年6月16日 18時1分

「ダイエット」と「飲酒」。水と油のこの2つの関係に糖質オフビールの誕生で終止符が打たれるときが来た。糖質ゼロビールはどのように誕生したのか、『名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義』(日経BP)から一部抜粋・再構成してお届けする。

太りたくないなら「糖質オフ」

「最近、太っちゃったし、ビールは飲みたいけど、糖質ゼロのハイボールにしとくわ」

ここ数年、飲み会で、自分も含めた酒飲みがこん な言葉を口にするのを何度も聞いてきた。そう、ビー ルは大好きである。昭和生まれの酒好きからすれば、「最初の一杯」といえばビール、餃子のお供といえばビール、そして風呂上がりにもビール、という図式が頭にある。

しかし、その図式を揺るがすブームが到来した。



「糖質オフダイエット」ブームである。それまでのダイエットといえばカロリーを抑えるのが主だったのに、糖質オフが叫ばれるようになってから、皆、手のひらを返したように糖質を敵視するようになった。そして、悲しいかな、あのおいしいビールまでもが対象になったのだ。

ホントはビールをゴキュゴキュ飲みたい。でも糖質が気になるし、ダイエットもしているし、やっぱりやめておこう……。

こんなふうに思っている酒好きはごまんといるはず。そんなにビールが好きなのに、糖質が気になって飲めなかった酒好きにとって、ありがたいビールがキリンビールから発売された。それが、「一番搾り 糖質ゼロ」だ。

キリン「一番搾り 糖質ゼロ」をはじめ、糖質ゼロビールが増えている

糖質ゼロといえば、第三のビールや発泡酒ではすでに定番となっていたが、今回は正真正銘のビールである。

ちなみに、同社の従来のビールの糖質量はどれぐらいかというと、「一番搾り」では2.6g(100ml当たり)である。米やパンなどに比べれば少ないと思うかもしれないが、ちりも積もればなんとやら。また、酒の席では、お酒だけでなく、おつまみからも糖質を十分に摂取するのだから、そりゃビールは糖質ゼロのほうがいいに決まっている、と思うのだ。

ではこの「一番搾り 糖質ゼロ」はどうやって糖質ゼロを実現したのか、味は本当にちゃんとビールなのか? 飲む前から気になること満載である。

これはもう話を聞くしかない、ということで、「一番搾り 糖質ゼロ」の技術開発を担当したキリンホールディングス飲料未来研究所の森下あい子さんを直撃した。

350回以上の試験醸造を経て完成

ビールを我慢していた酒好きから「待ってました!」と声がかかりそうな今回のビールですが、開発するに当たり何かきっかけはあったのですか?

「今から5年前、私の育児休業中に聞いた友人の『ビール大好きなんだけど、体形も気になってきたし、最初の一杯で我慢しておこう』という何気ない一言がきっかけでした。もしかして、こういう方が多いのかなと思い、会社に提案したところ、社員の中にも同様のことを言う人がいて驚きました」(森下さん)

糖質を気にすることなく、ビールを気兼ねなく、おいしく飲んでほしい。また、ビールは好きだけど、健康維持のためにハイボールに切り替えているという方のために、糖質ゼロのおいしいビールを作りたい。

そんな思いを持って、2015年の春から開発をスタートした。試験醸造は実に350回以上。森下さんによると、「ビールの一般的な商品の試験醸造は数十回程度」だというので、いかに糖質ゼロのビールを作るのが難しいかが分かる。

しかし、糖質ゼロの第三のビールはたくさんあるのに、なぜ糖質ゼロのビールを作るのは難儀なのだろう?

「酒税法において、ビールは麦芽の使用比率が50%以上と決まっています。麦芽を多く使うことでビール本来のおいしさが生まれるのですが、同時に麦芽に含まれる糖質も多くなります。

ビール中の糖質は旨味でもあり、おいしさの一要素でもあるため、これまではその糖質をゼロにしてしまうのは難しいといわれてきました。一方、麦芽使用比率が少ない発泡酒や第三のビールの場合、糖質をゼロにしても麦芽以外の副原料で味作りができるのです」(森下さん)

なるほど。糖質ゼロのビールを作るのが難しかったのは、麦芽の使用比率と使用できる材料に制約があるためだったのか。

酵母が糖を食べきる

では糖質ゼロのビールを実現するにあたり、どんな部分に注力したのだろうか。

「糖質をゼロにすることにおいて、特に注力した点は2つあります。まずひとつ目は、ビールの主原料となる麦芽の選定です。ビール作りにおける麦芽の役割は、麦芽に含まれる酵素の力で、高分子のでんぷんを、低分子の糖に変えることです(このプロセスを『糖化』という)」(森下さん)

キリンビールの資料をもとに作成

この糖が酵母のエサとなり、アルコールが生成されるのだが、実は糖化の段階で大小さまざまな大きさの糖が存在しているのだという。

「小さな糖は酵母が残さず食べてくれますが、大きな糖はビール中に残ってしまいます。今回の開発にあたり、酵母が食べ残してしまうような大きな糖をどうすればなくせるか を考え、『酵母が食べ残すことがない小さい糖』に分解してくれる麦芽と最適な糖化条件を選定しました」(森下さん)

この麦芽の選定にかかった時間は3年半。さまざまなタイプの麦芽を取り寄せ、分析、仮説、検証を繰り返しながら決定したという。そして2つ目に注力したのは、アルコール発酵を行う酵母である。

「糖質ゼロを達成するには、麦芽の酵素によって小さく分解された糖を、酵母が食べきることが条件となります。自社ビール酵母の中から、通常のビールに比べて厳しい管理をされた、糖をせっせと食べてくれる元気な酵母を厳選しました。発酵期間は通常のビールと同様ですが、データ分析を行いながら、酵母が糖を食べきる温度を調整しています」(森下さん)

気になるその味は…

聞くほどに、ハイテク! そんな技術が生かされたビールが生まれるなんて、少し前では考えられなかった。

スーパーハイテクのたまものであることが分かったところで、やっぱり気になるのは「お味」である。ビール好きにおいしく飲んでもらうために、どんな工夫をしたのかを森下さんに伺った。

「先ほどもお話ししましたが、ビールの糖質を旨味ととらえる方もいらっしゃいます。糖質ゼロはその一要素をなくすこと。ではどこにおいしさを持っていくのかと考えたとき、『一番搾り製法』は欠かせないと思いました。通常、ビールは一番搾りに加え、二番搾りも使います。

これに対し、一番搾り製法とはビールの製造工程において、主原料の麦から最初に流れ出る一番搾りの麦汁だけで作ることを指します。これにより、素材の良さを最大限に生かした、雑味のない、澄んだ麦の旨味にあふれた味を実現できたのです」(森下さん)

そして5年もの年月をかけてできあがったのが、「一番搾り 糖質ゼロ」である。アルコール度数は4%。「おいしさを追求した結果、4%にたどり着きました」と森下さん。月に一度はビールを飲むというユーザーに事前調査を行った結果、「飲みやすい」「ちょうどいい」という回答が94%の方から得られたという。

早速、私も「一番搾り 糖質ゼロ」を飲んでみた。実は半信半疑な面もあったが、キリリッとした爽快感の中に麦芽本来の旨味を感じ、ほど良い飲みごたえが「ビールを飲んだ」という満足感を与えてくれる。糖質ゼロではない従来のビールと比べると、ややライトな飲み心地だが、糖質ゼロのハイボールに切り替えてから長い私にとってはちょうどいい。重過ぎず、軽過ぎずといったふうである。

コロナ禍で家飲み派が増えたこともあり、糖質ゼロビールは今後も需要があると感じる。実際、同社における糖質オフ&ゼロ商品の売り上げは、「淡麗グリーンラベル」が前年比104%、「淡麗プラチナダブル」が106%、「のどごしZERO」が111%と、軒並み増加している(2020年1~7月)。

健康志向の酒は、これからも出番が増えそうだ。

いつまでも健康でいられる「適量」はある? #1
二日酔いを防ぐかしこい飲み方 #2

『名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義』(日経BP)

葉石かおり(著), 浅部伸一 (監修)

2022年3月17日

1650円(税込)

単行本ソフトカバー 296ページ

ISBN:

978-4-296-11187-9

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