もはや日々の生活に欠かせない存在となったSNS。しかし、便利さのいっぽうで「元カレ(元カノ)のSNSをのぞいてしまう」「SNSでの幸せアピールにイラつく」など、今日もさまざまな自己嫌悪を大量に生み出しています。その凶暴な一面に苦しめられないためには、何をどう気をつければいいのか。賢人たちから解決策を授かりましょう。
トップバッターは、もはや国民的というより、世界的な作家である村上春樹さん。その大作家が22歳の男子大学生からのケナゲでかわいい相談に答えます。相談者は、自分の彼女の元カレをSNSで見つけて、デートに行ったときの写真などを見てしまうとか。やっかみや嫉妬が巻き起こり、見てしまう自分を「どうにもコントロールができません」と訴えます。村上さんは、訓練すれば見ないでいられるようになると言いつつ、その方法を授けます。
〈どのように訓練すればいいのか? 彼女のことだけを考えるといいと思います。彼女について、君が自分の手で第一次情報をせっせと集め、それを積み上げていくんです。それは君だけの持っている彼女についての情報だし、たぶん他の誰も知らない情報です。そういう情報って素晴らしいと思いませんか? そういうのに比べたら、SNSの情報なんてちゃちなものです。〉
※初出:期間限定質問・相談サイト「村上さんのところ」(2015年1月15日~5月13日)。引用:村上春樹著『村上さんのところ』(新潮社、2015年刊)
村上さんは、自分についての意見や情報が載っているサイトなどは、「見るといやな気持ちになることが多いから」まず見ないとか。「知らないでいる方がいいことが世の中にはたくさんあります」とも。SNSにある情報のほとんどは、「知らないでいる方がいいこと」かもしれません。自分しか知らない「彼女の第一次情報」を集めることに熱中し始めたら、SNSで元カレの情報を探る意欲はしぼんでいくでしょう。