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7月から増産予定! 空前の「ヤクルト1000」ブームの実態を担当者に直撃!

集英社オンライン / 2022年6月16日 13時1分

昨年、全国発売してからクチコミで人気に火がつき、現在は1日平均140万本以上(「Yakult1000」「Y1000」の総計)を売り上げる「ヤクルト1000」。この大狂騒曲にヤクルト本社社員の反応は? 担当者に直撃した。

「ヤクルト1000」がとんでもないことになっている! 都内のスーパーやコンビニでは品薄状態が続き、入手困難。ヤクルトレディが配達してくれるインターネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」による宅配サービスも新規申し込みは一時中断。Amazonでも高額転売ヤーが続出するありさまだ。

スーパーやコンビニ、駅のホームに設置される自販機は連日売切れ。都内で「ヤクルト1000」はもはや“幻の飲み物”といっていいほど(著者撮影)


いまや社会現象の域の「ヤクルト1000」、何がそんなにすごいのか。改めて簡単に商品の解説をしよう。

「ヤクルト1000」にはヤクルト史上最高密度、1mlあたり10憶個の「乳酸菌 シロタ株」が含まれており、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」の機能がある機能性表示食品となっている。

ちなみに、「ヤクルト1000」と一言でまとめられることが多いが、実際は宅配用「Yakult1000」と、店頭販売用「Y1000」の2種類が存在し、それぞれ別の商品。とはいえ、商品名や容器、容量が異なる(「Yakult1000」は100ml、「Y1000」が110ml)だけで、菌の密度や品質は同じものだ(本記事では、総称として「ヤクルト1000」と表記)。

左がヤクルトレディによる宅配向け商品「Yakult1000」。右が店頭向け商品「Y1000」。店頭での目立ちやすさも考え、「Y1000」は背の高い容器を使用。容量も「Yakult1000」に比べて10mlほど多い。「Yakult1000」には1000憶個、「Y1000」には1100憶個の「乳酸菌 シロタ株」が含まれる

昨年4月より全国展開をスタートさせた「Yakult1000」。クチコミでジワジワと評判になっていたところ、今年4月に愛飲者であるタレントのマツコ・デラックスが、テレビ番組でその効果のほどを熱っぽく語ると、人気が爆発。昨年10月に発売された「Y1000」とともに、現在の状況に至ることとなる。

狂騒の「ヤクルト1000」。ブームのさなか、ヤクルト本社に訪問し、開発を担当した研究開発管理課課長・渡邉治さんと、マーケティングを担当する企画調査課係長・工藤洋介さんにインタビューを行った。

「ヤクルト1000」は「ストレス」と「睡眠」以外の効果も…⁉

写真左が研究開発管理課課長・渡邉治さん、右が企画調査課係長・工藤洋介さん

――「ヤクルト1000」、大変なことになってますね!

工藤 お客さまからご評価をいただき大変うれしく思いますが、一部で品薄状態となっております。お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申しあげます。

――やはりマツコさんのテレビでの発言が大きかったですか?

工藤 ヤクルトレディを通じた地道な価値普及活動に取り組んでいますが、たしかに番組放送後の反響は大きかったです。

――しかし、それは「ヤクルト1000」の高い品質あってこそ。なぜ「ヤクルト1000」は現代人にここまで受け入れられているのでしょうか。

工藤 コロナ禍で社会環境がガラリと変化し、お客さまは体の健康だけではなく、心の健康の課題も多様化している実感があります。そのなかで、「ヤクルト1000」の持つ「ストレス緩和」「睡眠の質向上」という機能が、現代社会の健康課題に合致した結果だと考えています。

――そもそも腸にいいイメージのヤクルトが、睡眠やストレスにも効果があることに驚きました。

渡邉 2000年代に入ってから、研究分野では、脳の影響が腸へ、腸の影響が脳へ、という“脳腸相関”が明らかとなり、注目を集めていました。そのような状況で、我々が取り扱う「乳酸菌 シロタ株」に関する基礎研究において、高菌数、高密度にすることで神経系に作用することが期待できることがわかったんです。

――そこから「ヤクルト1000」の開発が始まったわけですね。

渡邉 厳密にいうと、1999年に1本(80ml)に400憶の乳酸菌 シロタ株を含む「ヤクルト400」を発売して以降も、さらなる高菌数、高密度の商品を開発できないかと考えていたところでした。そこでこの研究結果が出たので、この神経系への作用をお客さまへのメリットとして具現化した商品を開発しようとなったわけです。

「エビデンス的には8週間、毎日飲んでいただければ効果を実感していただけると思います」(渡邉さん)

――では約20年も開発に費やしていたと……! かなり難航したことが想像できます。

渡邉 そうですね。「ヤクルト400」を発売したときもそうですが、高菌数・高密度化自体はこれまでもしています。ただ、「ヤクルト400」の400億という菌数も当時史上最高密度だったのに、それよりさらに増やすのは簡単なことではありません。菌の培養は様々な条件で変わってきますし、増やせたとしてもヤクルトは食品ですので、おいしさを保たなくては意味がない。その難しさを抱えながら、「乳酸菌 シロタ株」を扱って約90年間蓄積した弊社のノウハウによって、やっと今回の1mlあたり10億個という高密度にいきついたところです。

――胃と食道の病気を患っていた知人が、「ヤクルト1000」を飲み始めたら症状が改善した、という話を聞きました。ストレスだけでなく、こういった副次効果がある可能性も?

渡邉 検証をしていませんので、「ある」とは言えません。ですが、腸内環境はいろいろな機能に影響することが知られるようになってきております。ちなみに、弊社には健常な方の胃に対する機能を訴求する「BF-1(ビーエフワン)」という機能性表示食品もありますので、この商品も是非多くの方に知ってもらい、お試しいただきたいです。

――発売したばかりで申し訳ないんですが、もっと高菌数にすることは将来的には可能なのでしょうか。例えば、「ヤクルト2000」とか。

渡邉 400億から1000億にするのも本当に大変だったので、今のところはちょっと……(苦笑)。ただ、検討の余地はありますので、可能性はなくはない、といったところでしょうか。

「ヤクルト1000」をトクホに申請しない理由は?

――ネット上では、「寝つきがよくなるのは高い糖分が含まれているからだ」なんて意見も聞かれます。

工藤 従来のヤクルトに比べて、甘さはひかえめにしています。

――確かに、ヤクルトは“子供の飲み物”というイメージでしたが、今回の「ヤクルト1000」はあまり甘くなく、ビジネスパーソンにも人気。従来のイメージを払拭したい気持ちはあった?

工藤 「ストレス」「睡眠」への機能ということで、乳酸菌として新しい価値が提供できる商品でしたから、今までのイメージを変えていくことは意識しました。例えば、ヤクルトシリーズのCMでは大泉洋さんを起用して親しみやすさを表現していましたが、「Yakult1000」では蜷川実花さんや辻井伸行さん、「Y1000」ではMISIAさんといった、各界の第一線で活躍されているプロフェッショナルの方々を起用して先進性をアピールしたり、これまでと違った切り口で見せられたら、という思いがありました。

――見事にその作戦がハマっていますね。ネットでのバズり方が目を引きますが、SNS戦略も考えた?

工藤 商品の価値をお伝えし、お客さまに機能を体感いただくことに注力しています。結果として、お客さまから体感の声をいただき、それがSNSでの口コミの広がりにつながっていますね。

――ちなみに、「ヤクルト1000」は機能性表示食品。なんとなく「トクホ」(特定保健用食品)のほうが格が上の印象がありますが、トクホに申請はしないんですか?

渡邉 特保では、「ヤクルト1000」で訴求している「睡眠」と「ストレス」の機能はまだ許可されたものがないんです。

――そうでしたか! では今後、ヤクルトとしてはどのような展開を?

渡邉 引き続き「乳酸菌 シロタ株」はじめとした菌にさらなるポテンシャルがあるのかを検証する研究を継続して、新しくお客様に喜んでいただけるような機能を打ち出せるような商品を作っていきたいです。

工藤 現在、「Yakult1000」「Y1000」ともに品薄状態ですので、ひとりでも多くのお客さまに商品を手にとっていただく環境を整え、商品価値を実感いただきたいです。

――本日は超多忙なタイミングの中でお時間ありがとうございました。



「Yakult1000」の売上は1日で平均114.7万本(2021年4月1日~2022年3月31日までの平均売上本数)、「Y1000」はおよそ28万本(2021年10月5日~2022年3月31日までの平均売上本数)。
「Yakult1000」は1本あたり1000億個、「Y1000」は1100億個の「乳酸菌 シロタ株」が入っているということで、

「1000億個×114.7万本+1100億個×28万本」

で、一日あたり14京5500兆個、という天文学的な数の「乳酸菌 シロタ株」が日本人の腸に届いていることになるのだ。7月から増産も始まるので、まだ飲んだことのない方はぜひ試してみよう。

(写真/榊智朗)

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