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これが答えだ! 映画『恋は光』の原作者・秋★枝が納得した、風変わりなキャラの3次元化方法

集英社オンライン / 2022年6月17日 15時1分

恋をしている女性が光って視えてしまう、特異な体質の男子大学生を主人公にした映画『恋は光』は、ウルトラジャンプで連載されていた同名人気コミックが原作。ロードショーでは原作者の秋★枝氏にメールインタビューを行い、生みの親だからこそ感じた、映画版の魅力を語ってもらった。

恋心が可視化される漫画を描いてみたかった

左から主人公の西条を演じた神尾楓珠、北代を演じた西野七瀬
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

――恋する女性が光って視える大学生を主人公にした、「恋」の定義をめぐる原作漫画はとても新鮮でした。テーマやアイデアの出発点など、物語が誕生した経緯は?

連載立ち上げ時の担当編集さんから、“男性にも読みやすい恋愛漫画”で、“王道の三角関係物”はどうだろう、という提案をいただいて考えてみました。



『恋は光』の前に、恋をするとツノが生えてくるという短編作品を描いていたのですが、恋心が可視化されるという設定の漫画をもう少し長く、連載という形で描いてみたいと思ったのがきっかけだったと思います。

舞台が大学なのは、単純に私自身、大学生活がとても楽しかったからです。

――物語を紡ぐ上で心がけたこと、ご苦労された点はどんな部分だったのでしょうか?

私は、人と人の会話が好きなので、そこを楽しんでいただけたらと思って描いていました。また、読者さんの想定が男性だったので、女の子を可愛く……という点を心がけていました。

左は東雲役の平祐奈。西野七瀬が演じる北代(右)とは恋のライバルに!?
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

――映画化のお話を聞いたときの気持ちは? そもそも映像化は想定していましたか?

まったく想定していなかったので驚きました。心から、とてもうれしかったです。

――4年の歳月をかけて完結した原作を、約2時間にまとめた映画は、秋★枝先生から見てどのように映りましたか?

大変おもしろくまとめていただけたと思います。この漫画の大きな縦軸はふたつ。ひとつは、登場する3人の女性の誰が主人公の西条とくっつくのか。そしてもうひとつは、恋する女性が放つ光とは一体何なのかということです。しっかり描いていただけた上に、私が漫画を執筆するときに大切にしていた“会話”もたくさんちりばめてくださっていました。

――原作でも結末をどうするか悩まれたそうですが、小林啓一監督(脚本も担当)から映画版オリジナルの着地点を提案されたときの感想は?

最初に脚本を読んだとき、すでにキャラクター造形や彼らに対する知識量等々、自分が作ったものを何段階か高めていただけていてすごくうれしかったことを記憶しています。その時点で、「もう小林監督にすべてお任せしよう」と決めました。

その後、何度か改訂されたものを読んだのですが、その度に、またさらに良いものになっていて。その流れの中で、結末に関して大きな変更がありました。
なぜその結末になるのか、過程を丁寧に描いてくださっていて。真摯に作ってもらえたことがうれしかったですし、監督の仕事量を考えると頭が下がる思いでした。

映画ならではの着地点について、見てくださる方の感想が楽しみです。

原作者よりもキャラクターの理解度は高いと思う

西条と東雲は、恋の定義を語り合う交換日記を始める
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

――生みの親として「そう描くか!」と驚いたシーン、刺激を受けた描き方などは?

まさに「そう描くか!」と驚いたのは、西条以外に光が視えるキャラクターが出てくるのですが、その存在がわかる場面です。

セットで特に好きなのは西条の部屋。懐かしくて雑多で、でもどこかレトロおしゃれ感があって、好きになってくださる方も多いのではないかなと思います。

女の子たちの衣装が非常に可愛らしく、そこもぜひ注目していただけたらなと思いました。

西条が視える光の効果も、“きれいだけど、常に視えたらうざったい”という感覚を3次元らしく、生っぽく、表現していただいていて。見たときに妙な説得力のようなものを感じました。

うざったいけれど、この光を自分に向けてくれる子がいたらとてもすてきだな、とも。

ロケーションに関しては原作の舞台にとてもよく似た環境で撮影しており、本当に漫画の背景そのものといった雰囲気です。
夏という季節も相まって、開放的で力にあふれていて爽やかな、恋を感じるのにとても良い形で撮っていただけたと感じています。

人の彼氏を奪いたくなる悪癖を持つ宿木(右)に扮した馬場ふみか
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

――西条役の神尾楓珠さん、北代役の西野七瀬さん、東雲役の平祐奈さん、宿木役の馬場ふみかさんのキャスティングについての印象を教えてください。秋★枝先生が作り上げた役を演じているみなさんのお芝居はどう映りましたか?

神尾楓珠は西条を演じるにあたり、原作そっくりの四角い眼鏡で美しさを封印
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

神尾楓珠さんに関しては、容姿端麗で華やかでオーラがある方なのに、風変わりでダサい男である西条をきちんと再現していて驚きました。
口調が現実離れしているし、そもそも実写に起こされることを想定して作っていないキャラクターだったので、どのような形で演じてくださるのか予想できずにいました。
いざ拝見してみると、言葉のテンポや所作がとても魅力的で、神尾さんに演じていただけて良かったと思いました。

西条に恋心を抱く北代の心情を繊細に表現した西野七瀬
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

北代役の西野七瀬さんは、口調をはじめ、何より西条との距離感を完璧に北代として再現していただけてうれしかったです。
「こんな女の子が近くにいたら」という、幼馴染の理想形というか。もう単純に、見ていてただただ「ああ、何て可愛いんだ」と思いました。
「こんな子が幼馴染だったらどんなに良いんだろう」と思いながら、北代が出てくる場面を楽しませていただきました。

平祐奈は古風な文学少女の東雲を抜群の透明感で演じた
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

平祐奈さん演じる東雲は、西条と同じく非現実的なキャラクターなので、こちらも実写になるときの形が想像できませんでした。透明感がありつつ芯の強さも持つ東雲を、目線、声、所作で表現していて。平祐奈さんの東雲を見て、逆に私が「ああ、これが3次元の東雲さんの答えだ」と教えてもらったように感じました。

本当は素直に恋をしたいと願う宿木の複雑な内面を、馬場ふみかが体現
©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会

西条と東雲というキャラクターが非現実的な分、馬場ふみかさん演じる宿木の、女子大学生のリアルさが、この作品に現実味を与えてくれましたし、地に足のついた物語になる大きな部分を担ってくださったように感じました。
冒頭の「カレシさん?」と聞くシーンの手の動きや、会話ですっとぼけるところなど、馬場さんの言動がいちいち良くて何度見ても飽きず、好きだなぁと思いました。

みなさんそれぞれ華やかな方々なのに、私が描いた“変な人”や“普通の人”をきちんと再現してくださっていて、役者さんの凄さというものを見せていただいたように思います。
正直、何となく描いていた私より、キャラクターへの理解度が高いといっても過言ではないように思います。

恋愛を描いた作品は、見ることを避けている

――創作物の内容が引っ張られてしまうことがあるため、映画は意図的に見ないようにしているとのことですが、それはいつから実践していることなのでしょうか?

仕事で恋愛漫画を描くようになってから、映画に限らず恋愛を主題に置いた作品を何となく避けてしまうようになってしまいました。

もちろん、自分の力だけで何かを作り出せるなんておごった考えはなく、どちらかというとアイデアがかぶってしまったときに、知っていると「ああ、あの作品の真似になっている気がする」と手が縮んでしまう部分を避けるために、つい選択肢から外すようになっていったんです。

逆にそれ以外、恋愛が主軸ではない作品に関しては何でも見るし、読みます。

――特に好きな映画を教えてください。

恋愛を描いているものを強いて挙げるなら『美女と野獣』や『シンデレラ』(アニメ・実写両方)のようなディズニーのおとぎ話が好きです。同じディズニーの『魔法にかけられて』(2007)も大好きです。

好きな映画と言われてぱっと浮かんだのは『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)、『キングスマン』(2014)、『プラダを着た悪魔』(2006)、『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997)、『シンドラーのリスト』(1993)、『ビューティフル・マインド』(2001)、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)です。

史実を基にしたものが好きな傾向にあり、そうでないものは、キャラクターが立っている作品が好きなのかな、と思います。

自分が作るものと好きなものが乖離しているタイプかなと。

――映画化を楽しみにしている原作ファンの方へ、メッセージをお願いします。

原作と同じ部分、違う部分、どの要素でも楽しんでいただけるのではないかなと思っています。私が表現できなかった部分を補って、さらに昇華しておもしろいものにまとめてもらいました。ぜひ、楽しんでもらえるとうれしいです。

『恋は光』(2022)上映時間:1時間51分/日本
恋する女性が光って視える、特異な体質を持つ大学生の西条(神尾楓珠)。恋愛とは無縁の学生生活を送っていたある日、「恋というものを知りたい」と言う文学少女・東雲(平祐奈)と出会い一目惚れ。“恋の定義”を語り合う交換日記を始めることに。そんなふたりの様子は、西条にずっと片想いをしている幼なじみの北代(西野七瀬)の心をざわつかせる。さらに、他人の恋人を略奪してばかりの宿木(馬場ふみか)は、西条を北代の彼氏と勘違いして猛アプローチを開始。いつの間にか4人で“恋とはなんぞや?”を考えはじめ、やがて不思議な四角関係に……。果たして彼らは恋の定義を解くことができるのか? そして、それぞれの恋の行方は。

©秋★枝/集英社・2022映画「恋は光」製作委員会
配給:ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA
6月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
公式サイト
https://happinet-phantom.com/koihahikari/

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