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子どもは大人より腫れやすい! 虫刺されの予防&おうちケアのコツ

集英社オンライン / 2022年6月19日 9時1分

夏のレジャーシーズン到来で、家族で野山に出掛けるなど外遊びの機会が多くなる分、心配なのが子どもの虫刺され。今回は、小児科医の坂本昌彦医師に子どもが虫に刺されないための対策とおうちでのケアについて解説いただく。

小さい子ほど刺されると強い反応に

夏は虫の活動が活発になり、子どもが虫に触れる機会が多くなる季節です。虫刺されは2~6歳の子どもに多く、大人より腫れやすいのが特徴。蚊、ブヨ、ダニ、ハチ、ムカデに刺されやすい傾向にあります。例えば蚊に刺されると、小さい子どもほど強い反応が出ます。そのため親御さんから「こんなに腫れて大丈夫ですか?」というご相談が多く寄せられます。
また、刺されても症状はすぐに出ず、翌日に赤く腫れているというケースもあり、親御さんが虫刺されと気づかず慌てて病院に駆け込むということもあります。


虫刺されの症状は5日〜7日で治癒しますが、掻きむしってしまうと、「とびひ」になってしまうことがあるので、予防とおうちケアをきちんと行いましょう。

虫刺されの予防ポイントは主に、服装に工夫する、虫よけ剤を使う、この2つです。


服装は黒い服を避け、Tシャツなどトップスはズボンの中に入れて虫の侵入を避けましょう。野山に入るときは薄手の長袖シャツ、靴下を着用し手足を露出させないように。ズボンの裾に靴下を被せるようにすると足元の虫よけ対策ができます。

また、むやみに藪に入って、ハチの巣には近づかないように。ハチに遭遇して慌てて殺虫剤やスプレーをまくと、かえって興奮させてしまうこともあるので気をつけましょう。

野山に出掛けるときはサンダルや草履(ぞうり)は避けましょう。
出典:「マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK」

子どものための虫よけ成分の選び方

次に虫よけ剤選びですが、子どもに使用する際は成分を確認するようにしてください。
効果がある主成分はディートもしくはイカリジンです。小さい子どもには年齢制限や塗る回数に制限がないイカリジンのほうが使いやすいでしょう。

ディートに比べて効果が期待できる虫の種類は少なめですが、主要な蚊やアブなどの虫はカバーしているので普通に公園や野山で遊ぶ時はイカリジンでも十分効果が期待できます。

塗り方にも注意が必要です。スプレータイプを使う場合、そのまま使うと目や口に入ってしまうリスクがあるので、まず大人が手に付けてから子どもに塗るようにしましょう。できればローションタイプのほうがそのまま塗り込めることができるのでおすすめです。

虫よけを手指に付けると子どもが口に入れたり、目をこすって痛くなったりすることがあるので気をつけましょう。夏は子どもも日焼け止めを使用していると思いますが、虫よけは日焼け止めを塗った後に外側に塗布するのが効果的です(1)。

■虫よけ成分の特徴
●主成分:ディート
・年齢制限あり(6カ月未満の乳幼児は使用不可)
・6カ月〜2歳未満は1日1回
・2歳〜12歳未満は1日1回〜3回
・30%濃度のものは6〜8時間有効

●主成分:イカリジン
・年齢制限なし
・塗る回数に制限なし
・イカリジン15%濃度のものは6〜8時間有効

出典:「マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK」

植物由来の虫よけ剤が安全とは限らない

「アロマ系など植物由来の虫よけ剤のほうが子どもに優しいんじゃないか?」というご質問を時々いただきます。植物由来の虫よけ成分の代表格はシトロネラです。この成分は確かに虫よけ効果はありますが、皮膚からの蒸発も早く、持続効果も20分以内に消失するとの報告があります(2)。

虫よけの効果が20分とすると、1時間に3回も塗り直す必要があり、レジャー中の親や子どもにとってあまり現実的でないですよね。他にはレモンユーカリ油の虫よけ剤があります。こちらは4時間ほど効果があったという報告があります(3)。

しかしレモンユーカリは刺激が強く、3歳未満は使用禁止です。植物由来と聞くと100%安全、と思いきや、そうではないことも知っていただきたいと思います。薬剤を染みこませたリストバンドやシール型も明確な効果は不明です。米国小児科学会も効果はないとしており(4)、私たちもおすすめしていません。

これらの理由から、総合的に考えると、市販のイカリジンなどの虫よけ剤がいちばん使いやすいのではないかと考えています。

また、自宅や屋内の虫刺され予防対策で、蚊取り線香を使うご家庭が多いと思いますが、喘息の持病を持つ子どもは蚊取り線香の煙で喘息の発作が出る場合があります。風向きに注意して使うようにしましょう。

そして、虫刺されの症状を悪化させないためには清潔にすることがポイントに。気をつけたいのが汗です。夏場は特に汗をかきやすい状態なので、こまめに汗をふき取りましょう。また子どもは痒いと無意識に掻きむしってしまいがちなので皮膚を傷つけないためにも、爪は切って念入りに手入れを心がけてください。

虫に刺されたときは冷やすのが基本

虫に刺されてしまったら、痒みを抑える処置をしましょう。虫に刺されたときは冷やすのが基本。冷やすことで知覚過敏の感覚を鈍らせ、血管が収縮することで毒成分の浸透を遅らせることができます。

まずは虫の針が残っている場合があるので、石けんなどでよく洗って流水で流しましょう。患部は氷嚢などでしっかり冷やすとかゆみが軽くなります。その後、抗ヒスタミン薬やステロイド入りの軟膏などのかゆみ止めを塗りましょう。

かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬の飲み薬が効きますが、使用する場合は病院に相談を。もし1週間以上患部の痛みや腫れが続く、かゆみが強くて掻きむしってしまっていたら、皮膚科か小児科を受診しましょう。

虫に刺された後、じんましん、ゼイゼイしている、めまい、嘔吐などアナフィラキシー症状を伴う場合には救急車を呼んで急いで受診してください。

また、小さい子どもは少ないですが、マダニに咬まれた場合は取り除かず、すぐに救急外来か皮膚科へ。服を脱ぐときにダニが付いていないかチェックしましょう。

きちんと洗って皮膚を清潔に保ちましょう。
出典:「マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK」

蚊を介して感染する日本脳炎

蚊を介して感染する病気の中で、コガタアカイエカによる日本脳炎があります。日本脳炎ウイルスにより発生する病気です。 突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります(5)。

日本脳炎ウイルスに対する免疫をつけるためには日本脳炎ワクチン接種が効果的です。ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています(6)。

日本脳炎ワクチン接種の標準的なスケジュールは 1期目は3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回接種し、2回目の接種を行ってから、おおむね1年を経過した時期に3回目の接種を行います。2期目の接種は、9歳から13歳未満までの期間に1回行い、計4回接種します。


虫の環境が変わったわけではありませんが、コロナ禍の中で人間の行動は大きく変わりました。密になることを避け、キャンプやアウトドアを楽しむ家庭が増え、野山に行くことで虫に遭遇する機会も増えています。服装や虫よけなどできちんとカバーして、むやみに深い山道には入らないよう注意しながら、楽しい思い出になるようにと願っています。

参考文献
(1) CDC. Travelers’ Health(Chapter 3):
https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2020/noninfectious-health-risks/mosquitoes-ticks-and-other-arthropods
(2)FradinMS and JF Day. Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites. N Engl J Med, 2002. 347(1):13-8.
(3)MooreSJ, A. Lenglet, and N. Hill. Field evaluation of three plant-based insect repellents against malaria vectors in Vaca Diez Province, the Bolivian Amazon. J Am Mosq Control Assoc, 2002. 18(2):107-10.
(4)American Academy of Pediatrics. Choosing an Insect Repellent for Your Child(https://www.healthychildren.org/English/safety-prevention/at-play/Pages/Insect-Repellents.aspx)
(5)国立感染症研究所:日本脳炎 疾患情報.
(6)国立感染症研究所:日本脳炎ワクチン接種歴別の年齢/年齢群別日本脳炎抗体保有状況、2017年.

取材・構成/百田なつき

マンガでわかる! 子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK (KADOKAWA)

著者:佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム
漫画・イラスト:江村康子

発売日:2019年10月17日

価格:1,430円(税込)

判型:A5判
単行本 : 192ページ

ISBN:

978-4-04-604375-7

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