やさしさMAXと評判のQi10ドライバーはどこまでゴルファーにやさしいのか「2打目の風景が違って見えた」
集英社オンライン / 2024年3月30日 8時0分
日毎暖かさを増すなか、国内プロゴルフツアーも開幕し、ラウンドへの意欲をかき立てられているゴルファーも多いことだろう。さて、春といえば、ギアの新作ラッシュ。やさしさの世界基準“10K”を唱えるテーラーメイドの新作「Qi10」は本当に「やさしい」のか…ドライバー2タイプの試打レポートをお届けする。
テーラーメイドの新作ドライバー「Qi10」を打ってみた
試打者のプロフィール
→下手の横好きとはまさに!というタイプの男性・前期高齢者ゴルファー。ハンディキャップ17(かつては12までいったことも…)。ドライバーはどちらかというと苦手なスライサー。昔はチーピンに悩んでいたので、かなりのインサイドアウトのスウィングをしていると思われる(←自己分析)
169センチ/58キロ
試打クラブのQi10ドライバーはMAXとノーマルの2本が届いた。どちらもロフト角は10.5度。もっともポピュラーなヘッドといえるだろう。シャフトは純正のディアマナ。それぞれSR、Sがささっていた。こちらもまずはボリュームゾーン向けのスペックだ。
漆黒に塗装されたヘッドは、いざ構えてみるとMAXはノーマルモデルに比べて、明らかに大きく見える。規定ギリギリまでヘッドの奥行きを出したそうだが、巨大というのがピッタリくる。これ、ひと昔前にテーラーメイドが得意だった白ヘッドだったら、いったいどれだけ大きく見えるのか、と余計な心配をしてしまう。
カタログによると、カーボン素材を多用して軽量化し、余剰重量を適正に配分することで慣性モーメントを最大化、飛んで曲がらないヘッドに仕上がっているそうだ。
そしてもちろん前々作のステルスから採用されているカーボンフェースも、今回はブルーに模様替えして使用されている。
かなり革新的なテクノロジー満載のドライバーなのだが、シンプルな塗装もあって、大きさは気になるけど、見慣れてしまうと非常にオーソドックスなヘッドに思えてくるから、よくできている。
こんなに大きなヘッドで、振り遅れずにミートできるのか、本当に??? 少々不安を抱えながら、まずはMAXから素振りをくれてみる。シャフトはSRフレックス。重くもなく軽くもなく適当にしなってくれる、ような気がする。ちなみに試打者のヘッドスピードは40m/secほど。マイドライバーでは、バシっと芯食いでキャリー190〜200ヤード。はい、飛ばない方です。とほほ。
話は少しそれますが、試打者はフルチタンのドライバーが好み。あの爽快感あふれる打音、芯を食った時の打感。実際はたいして飛んでないのに、湧いてくるやり切った感。要するに自分が酔えるんですね、ドライバーを打ったことに。
でも最近はフルチタンのドライバーは減ってしまって、メジャーどころではXXIOくらい。試打者は前期高齢者なんですが、なんとなくXXIOには抵抗感があって……というのが、最近の心象風景(おおげさ)です。
ボールはフェースのどこに当たってるんだ??
そんなわけで、ロッテ葛西練習場の3階打席に立った。なぜ3階なのか?
ボールが遠くまで飛ぶし、球筋がよく見えるから。
この練習場は全打席にトップトレーサー(弾道測定器)が付いてるハイテクドライビングレンジなのだが、敢えて使わない。数字をみるとがっかりするし、力むから。そもそもボールがワンピースのレンジボールなので、補正をしてあるとはいえ、コースボールとは飛び方が全く違うはずという素人考えのもと、弾道測定器は使わないのだ。
まずはMAX/SRシャフトを打ってみる。グリップがソフトで非常に握りやすい。2球、3球と丁寧に打ち急がないようにスウィングする。
んっ、ボールはフェースのどこに当たってるんだ??
打感はスーパーソフト。手にバシっとくる手応えがない。
あれっ? 今度こそ芯で打ってやると力感を込める。
まだ感触が頼りない。
こうなってくると素人の悲しさで、どんどん力む。球は右に左にとっちらかる。
しかし打球は8割がた右に出て、そこからさらにスライスする。まるでクラブの性能を活かせていない。
気持ちを切り替えようと、ノーマルモデル/Sシャフトに持ち替えてみた。気のせいか、こちらの方が打感がストレートに伝わってくるように感じる。そうすると力まずに打てる。
結果、球筋ははるかに安定し、目視では明らかに飛んでいる。どう考えても、試打者の体力とかスウィング力から考えるとMAXにRシャフトのほうが適していそうなのに……。
明らかに試打者の力不足によるものなのだが、MAXもノーマルも練習場での試打では、クラブ本来の性能を感じとることはできなかった。
でもとにかく一度はラウンドで使ってみることにした。
とにかく振りやすくて気持ちいいなあ
試打者のホームコースでのラウンド当日朝、ドライビングレンジにて、Qi10、Qi10MAXを、それぞれ打ってみた。
このコースの練習場はロストボールもレンジボールにまじって出てくる。そのコースボールだけを選り分けて、まずは、練習場で少々よかったほうのノーマルモデルから打つ。
おやっ? ぜんぜん打感が違う。ちゃんとフェースのどこに当たったかを感じる。力まない。球がまっすぐ飛んでいく。高さも十分だ。Sシャフトなのに振り切れる(ような気がする)。
実はステルス、ステルス2もかなり打ったが、どうしても打感が好きになれず手放した試打者だが、これはいける!
フルチタンほどではないが、酔えるかもしれない。
MAXはどうなんだろう。
結論から言うと、ノーマルとまったく遜色ない打感で、やはり酔えそうだ。
ノーマルと比較すると、試打者の場合、出玉がほんの少しだけ右かもしれない。しかし、ノーマルでもほとんどストレートボールだったけど、MAXはまるで曲がらない。出玉が右寄りなのは試打者がヘボだからだと思う。
とにかく振りやすくて気持ちいいなあ。
2打目の風景が少し違って見えた
実際のラウンドでは風やフェアウェイの起伏、落ちどころのダウンヒル、アップヒルなどで到達距離(飛距離)は、いちがいに比較できない。それでもノーマルモデルは、あるホールではGPS測定器によると230ヤードも出た。←試打者は通常200ヤードヒッターです。恥ずかしながら。
MAXも225ヤードを記録したことも追記しておく。
いつもプレーしているコースなので、2打目の風景が少し違って見えた。
そしてドライバーを打つことに少し酔えて、うれしかった。
試打クラブはどちらもヘッドカバーがなかったので、ブランドレスのドライバー用カバーを使ったが、MAXはあまりに投影面積が大きくて、カバーの取り外しにコツが必要だったのはご愛嬌。
結論としては、2本の試打ドライバーのシャフトを付け替えたりなどもしてみた結果、ノーマルモデルにSRシャフトをさした1本を、レンタル期間中のエースドライバーとして使うことに決めた。
即、買わないのかって? 少しばかり高価なので、もう少し打ち込んでから決めたいのだ。そのくらい、Qi10、Qi10MAX、それぞれの魅力に溢れている。
取材・文/志沢篤
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