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東大生の半数は中高一貫出身説は本当か…世帯年収300万から東大に進学したライターが調べた「東大生の中学時代の教育費」は…

集英社オンライン / 2024年4月14日 10時0分

「東大合格のための教育投資の平均値は約870万円」と東大生ライターが推計、東大生の中受経験者は6割、塾以外の2大習い事とは…〉から続く

現役の東大生ライターが、東大受験のリアルな情報を記した書籍『東大合格はいくらで買えるか?』。著者によると東大生の多くは中高一貫校出身だが、その費用はいくらかかるのだろうか? それは一般家庭にも現実的な数字なのだろうか? 国内屈指の進学校・開成高校の教育費を例に書籍から一部抜粋・再構成し、東大生の中高時代の教育費をレポートする。

中学校でいくらかかった?

中学校では平均して約243万円がかけられているようです。このうち、多かった教育投資先としては、学校の学費と塾代が挙げられます。小学校のころは私立に通う生徒の割合が6%と非常に少なかったのですが、中学校になるとこれが大幅に増えて、45%にも達します(海外の日本人学校含む)。



ただ、後述しますが、私立中学校に通うだけで300万円支払う必要が出てくるので、私立中学校と公立中学校では大きな差がありそうです。そこで、今回とったデータを「公立中学校に通っていた人」「私立中学校に通っていた人」に分けて、それぞれ平均をとってみました。

すると、公立中学校に通っている人の3年間の学費平均額は125万円、私立中学校に通っている人の3年間の学費の平均額は347万円となりました。それぞれ、学校に通いながら、1年間だけ塾に通っていたと仮定すると、ちょうど収まる金額になります。

私立中学校に入ると、どれほど学費を払う必要があるのでしょうか。例として開成中学校の学費等納入金を見てみましょう。納入金は以下のようになっています。

入学金:320000円
施設拡充資金:120000円
授業料:41000円
施設維持費:6000円
実験実習料:6000円
父母と先生の会会費:2800円
生徒会会費:550円
学級費:学年により変動(2022年度第1学年は115000円)

入学金と施設拡充資金については、入学手続き時に納入するもので、授業料・施設維持費・実験実習料・父母と先生の会会費は月額です。また、施設拡充資金は2年生以降毎年年額70000円を払うことになっています。

この場合、開成中学校に入学したと考えると、初年度は1116200円+学級費の支払いが発生します。仮に学級費が2022年度第1学年と同じく115000円だったとすると、初年度に支払うべき合計金額は、1231200円となります。

第2学年以降は861200円(学級費が115000円と仮定した場合)になるので、3年間では2953600円で、さらに制服代や往復の定期代などが加算されます。制服代は6~7万程度が相場のようなので、仮に65000円とすると、3018600円。東京都内に住んでいるとして、電車の定期代が月額5000円とすると、5000円×12か月×3年で18万円。総額では300万円を超えてきます。

これは開成中学校の例ですが、ほかの私立中学校でも似たような結果になるでしょう。女子の御三家として有名な桜蔭中学校の学費は年間で816100円にもなりますから、開成の結果はまだマシな方かもしれません。我々の推計では、300万円と計算していますが、通う学校や住んでいる地域などによっては、私立中学の費用は400万円まで見えてくるでしょう。

中学校時代の塾通いの比率は?

中学時代に塾に通っていた人の割合は100人中42人でした。塾に通っているとした場合、ここでは1年だけ通っていると仮定して、100万円だけプラスしてあります。もちろん1年次から通っている人もいるでしょうし、いくつもの塾を掛け持ちしている人もいるかと思います。1年次から3年次まで通う場合には、さらにプラスで200万が、塾を掛け持ちする場合には、その分だけ100万円がかかってくると考えていいでしょう。

例として、河合塾の中高一貫校生向けコースである、「中学グリーンコース中高一貫(速習)コース」の料金を見てみましょう。

入塾金:22000円
塾生サポート料:2750円(年額33000円)
授業料:127600円×講座数(中1・中2の値段)


いま中学校1年生の子どもが、新しく河合塾に入塾して、国語、数学、英語、理科、社会のそれぞれについて、1コマずつとったと仮定すると、693000円となります。これにプラスして、夏期講習や冬期講習のお金がかかってきます。夏期講習と冬期講習については、1講座あたり14300円(中1、中2)がかかるようなので、これも5教科で1コマずつとったとすると、14300円×5教科×2期=143000円となります。

そのため、この場合の総額は836000円となります。もしも苦手教科の復習や得意教科の予習などで個別指導をとった場合、個別指導は1コマ当たり通常講座の2倍程度の料金がかかるので、100万円を超えてきます。

どの塾にせよ、ある程度指導をしっかりしてくれる塾に入りたいと考えているのであれば、年額で100万円程度は見た方がいいでしょう。確かに夏期講習や冬期講習は任意でとる授業なので、これらをとらなければ節約にはなりますが、通う塾によっては、事実上特別講習もとらなくてはいけなくなることがあります。

例えば、一部の予備校では、社会や理科のカリキュラムが、夏期講習や冬期講習までとって初めて終わるようになっています。こういった塾に通ってしまった場合、特別講習を受けないでいると、休み明けにまったく知らないところから授業が始まります。

そうでなくとも、夏期講習などでは特別なプログラムを用意して、受講生とそれ以外に差をつけようとする傾向にあるので、事実上これらの講習は受講が必須です。

家庭教師の比率は少なく、「家庭教師がついていた」と答えたのは100人中3人のみでした。基本的に、現代の家庭教師は学校の授業などでの遅れを取り戻すためのものですから、やがて東大生になるほど頭がよい人たちにとっては、必要ないのかもしれません。

通信教育の比率は少なく出ました。88人中77人が「使っていない」と回答しています。通信教育の中で使用者が多かったのはZ会です。東京大学や京都大学をはじめとする名門大学へ毎年1000人単位の卒業生を送り込むZ会は、中学受験、高校受験もサポートしています。その難易度は折り紙付きですが、一方で、確かな実績に裏打ちされたきめ細かい指導は評判も良く、ついてさえいければ十分な実力が手に入ります。

勉強以外の習い事の比率も、中学になると一気に落ちます。小学校時点では100人中76人が「勉強以外に習い事をしていた」と回答していましたが、中学校に上がると、これが100人中24人までに減っています。

この結果からは、中学に上がってからは勉強に本腰を入れていることが透けて見えます。人気だったピアノも、6名のみが「継続して習っていた」と回答しているため、多くの東大生は、小学校のうちにピアノを卒業してしまうのかもしれません。

中高一貫率は?

我々のアンケートでは高校受験をしなかった人は100人中54人いるので、54%が中高一貫校に通っていたといえそうです。「中高一貫校に通っていましたか?」とは直接質問していませんが、別の質問で「高校受験をしましたか?」と聞いているため、ここから中高一貫校に通っている人の割合を割り出しました。

もちろん、中高一貫校に通っていても高校受験をする人はいますし、高校に行かずに高等学校卒業程度認定資格をとって大学受験に臨むケースも考えられるので、54%は厳密な数値とは言えません。

ただし、特に後者のような高校に行かずに東大を目指す人の数は大変少ないことが予測される(実際に高認をとって東大に来た人が知り合いにいるので、少なくとも何人かはいます)ので、54%と考えて問題はないと思います。

中高一貫校に通うメリットは様々ありますが、教育プログラムが一貫していることが、一番の利点と言えるでしょう。中学校から高校まで通う生徒が大半であるため、カリキュラムを高校までの6年間で組むことができます。

早い学校では、高校1年生時点で3年生までのカリキュラムの大半を終えており、こうした学校に通っている人たちは、実に2年近くを受験に向けた演習に費やすことができます。そうでなくとも、多くの中高一貫校では高校2年生時点で3年生までのカリキュラムを終えることを目標にしているため、普通の高校生よりも多く演習を積む機会が得られます。

学習はインプットのみならず、アウトプットによっても成り立つものですが、その機会を授業中に得られることは、多くの受験生にとって良い方向に働きます。そのため、中高一貫校は大学受験に非常に強い傾向があります。

また、高校進学が内部進学としてスムーズに行われるため、生徒たちは新たな環境に一から慣れていく必要がありません。周りにいる友達も、教えてくれる先生も、中学校時代と何ら変わりないケースが多いので、新たな環境に適応する努力が必要ないのです。そのため、生徒たちはそのリソースのうちの多くを自学自習に費やすことができます。新たな友達作りなど、人間関係構築に時間を割かなくてよくなるためです。

さらに、クラスメートや先生と長期的な関係を築けるため、その分だけクラスの結束も強まります。学習環境に絞ってみても、お互いに苦手な科目を教え合ったり、休み時間にクイズを出し合ったりと、切磋琢磨することができるようになるので、結束が強まることは、成績の向上につながる可能性があります。

先生方からしてみても、6年間同じ生徒と付き合うことになるので、ひとりひとりの学習スタイルや癖を把握しやすくなります。そのため、効果的なサポートが望めます。

一方で、中高一貫校に通うデメリットがあることも確かです。例えば、高校の進学先が狭まることが挙げられます。中高一貫校に通う学生の多くは、基本的にそのまま高校へ進学するので、ほかの学校を受験する選択肢が見えにくくなります。

ほかの学校や教育機関で受けられる教育カリキュラムを知らずに育つ可能性が高く、一時的に視野が狭まるかもしれません。また、受験を決意しても、周りの人にはなかなか言えませんから、仮に高校受験をする場合でも、必要以上に孤独を感じてしまう可能性があります。

また、一貫校の良さである一貫したカリキュラムや、同じ顔触れのクラスメートたちですが、これらに共感できない場合、6年間の学校生活が苦痛に感じられるかもしれません。そうした場合でも、一貫校特有の暗黙の了解である「みんなこのまま高校まで進学するよね」という空気を否定できず、なかなか高校受験に踏み切れなくなる場合があります。

さらに、同じ生徒や先生たちが顔を突き合わせ続ける一貫校は、受験戦争に強いのは確かですが、その代価として多様性を失っています。異なるバックグラウンドや視点を持った新たな友人を求める場合、高校入学時の人員入れ替わりが少ないため、別のコミュニティに入って探さなくてはいけません。


図/書籍『東大合格はいくらで買えるか?』より
写真/shutterstock

東大合格はいくらで買えるか?

布施川天馬
東大合格はいくらで買えるか?
2024/2/21
1,595円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4065351826
「子供の教育にどれくらいのお金を使えば、東大に合格できるのか?」東大生ライターである著者が、東大生100人への独自アンケートをもとに、この問いを徹底的に考えた結論がこの本です。その結果見えてきたのは「1380万円をかけて中学受験からしっかり準備すれば、地頭のよさにかかわらず誰でも50%以上の確率で東大に合格できる」という事実です。本書では、確実に東大合格するための正しい受験プランを提案するとともに、「東大受験を投資として見たときのコストパフォーマンス」「東大に合格した人たちは幸せになっているのか」といった、東大受験のリアルな情報をくまなくお伝えします。

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