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〈涙袋形成のつもりが“デメキン”に〉「適正量の数倍、硬いヒアルロン酸が注入されていた」修正手術を無料で請け負ったクリニック院長が「同じ医師としてありえない」と思うこと

集英社オンライン / 2024年4月12日 18時0分

〈美容クリニックトラブル〉「メスを入れすぎて眼球が露出」「ダウンタイムと言ってミスをごまかす」有名美容クリニック看護師が告発する風変わりな服務規律と杜撰な管理体制〉から続く

全国展開する大手美容クリニック「A」で涙袋形成手術を受けたところ“デメキン”のような状態に仕上がってしまった東海地方在住の石川さん(仮名・31)。人気有名インフルエンサーが施術後のトラブルを写真つきで投稿したところ、ネットは大炎上。そこに「可哀想すぎるから無料でやります」と修正手術に手を挙げたのは「東京美容外科」統括院長の麻生泰氏だ。麻生院長にその後の顛末を聞いた。

「ヒアルロン酸を吸い出すことはおよそできないくらいの硬さだった」

「いや〜前回の集英社オンライン記事(♯1参照)で『某美容外科A』なんて書かれたから『ドクターA』の名前でYouTubeチャンネルやっている僕のことだって勘違いされて困りましたよ(笑)」

麻生泰氏は東京美容外科の統括院長でありながら、自身のYouTubeチャンネルの登録者数が18万人と発信力もある存在で、美容外科医とともに文化人タレント的な顔も持っている。麻生院長は苦笑しながらも、石川さんの修正手術の経緯を話してくれた。

麻生泰(以下、同) Xで相互フォローの有名インフルエンサーの投稿を見て石川さんの被害を知りました。これは、ヒアルロン酸を注入しすぎて生じた状態だと思いました。こんな酷い状態に仕上げて患者も納得していないのに、なぜすぐさま修正手術をしなかったのだろうと憤りました。

修正手術は本来、施術したクリニックが責任を持ってすべきことです。でも、そうしてもらえないため石川さんは苦しんでいる。これを医者として黙って見過ごすことはできなかったので、X上で「無償で修正しますよ」と彼女に呼びかけました。

 

――石川さんの話ではネットでの炎上後、美容外科「A」からも修正手術の連絡が来たようですが、術後の対応に不信感を感じ、麻生先生のクリニックにお願いしたようです。石川さんのまぶたはどのような状態だったのでしょうか?

そもそも涙袋形成の施術はメスを使わないプチ整形で、10分ほどで終わる簡単なものです。局所麻酔をして、目の下にある眼輪筋に、片目につき0.1ccから0.2ccほどのヒアルロン酸を2、3箇所ほど注射しながら注入します。石川さんと連絡を取り合ったときは私は沖縄に出張中だったため、修正手術は東京美容外科名古屋院の加藤秀輝院長が行ないました。

加藤院長の話によれば「おそらくそれぞれの目に0.4ccから0.5ccは注入されていた」とのこと。しかも、とても涙袋に注入するとは思えないような硬い種類のヒアルロン酸が注入されていたようです。

――ヒアルロン酸は通常の量に比べると多めだったということですね?

はい。しかも加藤院長によれば「注入したヒアルロン酸を吸い出すことはおよそできないくらいの硬さだった」とか。そのためヒアルロン酸を溶解するヒアルロニダーゼという酵素を注入し溶かしました。

これを注入すると、数時間から遅くても2、3日で完全に溶けて元通りになります。石川さんも元通りになった涙袋をX上で投稿していたので、僕もホッと胸を撫で下ろしました。

“デメキン”トラブルは医療ミスにあたるのか?

――今回のケースは医療ミスにあたるのでしょうか?

今回は修正手術が成功し、幸いにも怪我や後遺症を残す事態にはなっていないので医療ミスや医療事故とは言えないとは思いますが、一番悪いのは事後対応だと思います。

涙袋の仕上がりに納得していない石川さんの要望を聞き入れないどころか、別の提案(新たにヒアルロン酸を入れようとした)をし、さらに数日間対応をせず放置していたことなどです。石川さんは涙袋を形成したくて来て、誰が見てもおかしいと感じる状態に仕上がったのに、リカバーするための努力を怠り、別提案をした…同じ医者としてありえないですね。

 

――では仮に麻生先生のクリニックで患者が納得しない仕上がりとなったときは、どのような流れで修正手術をするのでしょうか。

私も以前、涙袋形成の際にいい仕上がりだと感じられず、また患者さんも納得されなかったことがあったので、ヒアルロニダーゼで溶かした経緯はございます。また、豊胸手術で患者さんがもっと大きくしたかったとご満足いただけなかったときに、さらに大きくするための修正手術を行なったこともあれば、その逆もあります。それらは無償で行ないました。

なかには無理な依頼を要望してくる方もいます。しかしそういった場合も納得のいくところまでとことん話し合って、プラスのご料金をいただき修正手術をし直すか、あるいはしないか、いずれにせよ誠心誠意の対応をします。

――改めて、今回の美容医療トラブルについてどう思われますか。

現在、美容医療を求める患者さんはどんどん増えていて、その需要は高まっている。だからこそ利益中心で施術することはよくないと思います。石川さんのケースではカウンセラーが診療内容を決定し、医者がそれに従う体制になっていた。

あたかもカウンセラーが営業マンで医者は技術屋といった体制で、患者が望まない施術をどんどん進めてお金を取ろうとしているように石川さんは感じたと思います。しかし、そもそもカウンセラーは医者と患者さんの間を繋ぐ存在で、施術内容を決めるものではありません。

 

――現在の美容医療に物申したいことなどありますか。

あまり他院の文句を言いたくはないですが、うちでは基本的に形成外科7年、あるいは東京美容外科で3年以上の研鑽を積んでからメスを握った医師でなければ医師採用はしません。しかし一部の美容外科では医大を卒業後、何の経験も積んでいない研修医のような医師をどんどん採用し、急スピードで全国展開している。

うちは開院して20年、コツコツと事業拡大していますが、そうした儲け主義の美容医療は淘汰されるべきだと思っています。美容医療は綺麗になるための医療で、通常の治療とは違います。だからこそお金よりも何よりも、いま目の前にいる人を綺麗にするために親身に寄り添って手術に挑めるかが一番大事だと思います」

麻生院長は消費者に対し「カウセリングで違和感を感じたら帰ればいい」とも話していた。美容医療トラブルが相次ぐ昨今、その美容医療は本当に自分にとって必要なのかをしっかりと考えてから受けることが大事なようだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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