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〈脳を若返らせる5つの生活習慣〉成功したことや幸せだったことをくり返し回想…一生ボケないためには「スマホから離れ」「最低6時間睡眠」

集英社オンライン / 2024年6月9日 10時0分

「夢をかなえるためになぜ私は全力を尽くさなかった」終末患者に聞いた「人生の後悔」5選「ふるさとに帰ればよかった…」〉から続く

そこそこ元気で、ぎりぎりお金があり、住むところに困らず、相続で揉めることもなく寿命をまっとうするには、アルツハイマーなど脳の病気にならないことも重要だ。脳が生き生きとした状態で過ごすためにいまから気をつけたい生活習慣とは?

【写真】彩り豊かなバランスのよい食事

書籍『死に方のダンドリ』より一部抜粋・再構成し解説する。

一生ボケない! 脳を若返らせる5つの生活習慣

私は、患者さんには脳の機能を回復させるための生活習慣の改善やちょっとしたトレーニングをおすすめしています。

認知症の兆しは40代、50代にある、という説があります。脳の衰えを実感したのなら、そこから脳のメンテナンスを始めるのがいいでしょう。

認知症対策にもなります。認知症は、食事、運動、睡眠などの生活習慣を見直すだけである程度の予防をすることが可能です。脳血管性認知症を起こさないためには脳血管障害を防ぐのが一番。

そのためには動脈硬化につながる高血圧や糖尿病などの生活習慣病にならないように気をつけることが必要です。アルツハイマー型認知症にも、生活習慣病の予防が効果的であることがわかっています。

生活習慣病を予防しつつ、日常生活を送りながら脳を活性化する工夫もしていきましょう。ここからは私が患者さんにおすすめしている、脳を若返らせる生活習慣5カ条を紹介します。

①バランスのよい食事をよく嚙んで食べよう

「これを食べれば認知症を防げる」というものはなく、逆に「これを食べたらダメ」というものもありません。野菜、肉、魚などをバランスよく食べることを心がけましょう。

栄養面からバランスを取ろうとすると難しく感じるかもしれませんが、食事の「彩り」に気を配れば、おのずとバランスのよい食事になり、抗酸化物質を含んだ食べ物も摂れるようになります。茶色や白色のものだけでなく、緑、黄色、赤などの食材が適度に入る食事を摂りましょう。

食事のときの「嚙む」行為にも意識的になりましょう。私たちは普段、食事のときの嚙む行為を何気なくやっています。しかし、嚙むことは認知症防止にとってじつは非常に重要です。

筋肉の運動によって脳に送られる情報の中でも、あごから送られる情報量はかなり多いとされています。よく咀嚼すると、大脳・小脳ともに血流が8〜20%上昇します。血流が増えると脳に栄養や酸素が行き渡ります。その結果、神経回路の増加が促されたり、細胞の働きを活性化したりする効果が得られます。

よく咀嚼した約2時間後には、脳内ではFGF(線維芽細胞増殖因子)と呼ばれる成長因子の量がピークを迎え、記憶力や集中力が高まり、学習効果も高まります。

嚙む回数の目安は、一口20〜30回です。普段の食事をよく嚙んで食べるのはもちろん、毎日のメニューによく嚙まなければいけない食材を取り入れることをおすすめします。イカやタコ、根菜、キノコ類、切り干し大根などの乾物は嚙みごたえのある食材です。

おやつとして、ガムを嚙むのもいいでしょう。65歳以上の1000人を対象に行われた記憶力テストで、ガムを2分間嚙んで答えたときの正答率は嚙まないで答えたときの正答率より約15%以上高かったという結果が出ています。

②1日8000歩のウォーキングをしよう

今日からでも始められるトレーニングが「ウォーキング」です。毎日でなくて構いません。週に3、4回、「1日8000歩以上」を目標として歩いてみましょう。歩いているうちに少しずつ汗ばむくらいの速さで、だらだら歩きではなく、少し速めを意識してください。

歩くときは左右の腕を振りながら、かかとから着地してリズムよく歩きます。腕は大げさなくらい振ると歩幅が自然と広がり、速度が上がります。前方よりも、やや後方に腕を振るイメージで歩くと姿勢よく歩けます。

ウォーキングのような有酸素運動をすると、幸福感、情緒、心の安定などに関わる神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が増えることがわかっています。リズミカルな動きもセロトニンの分泌を促しますから、歩くのが楽しくなります。

飽きずに続けるために、歩数計やスマートフォン、スマートウォッチを使って歩数を記録しましょう。毎日の歩数をアプリに記録するか、ノートに書き写して残しておきます。記録をつけていると「今日はこれだけ歩いた」という達成感や満足感が生まれるからです。達成感や満足感は脳に報酬物質を与え、快楽を感じさせてくれます。記録をつけているほうが続けやすくなります。

天候不良の日や真夏日のような酷暑の日にまで無理をして歩くことはありません。テレビの前で15分以上、大きな足踏みをしましょう。都市部にお住まいの方なら暑い日などは地下街やデパートの中を空いている時間帯に歩くのもいいでしょう。

歩くことが習慣化したら、いかに楽しく、脳を刺激するかを考えてみましょう。毎回同じ道を歩いているのだとしたら、ちょっとルートを変えてみてもいいでしょう。同じ道ばかり歩いていると注意力を働かせる必要がなくなりへの刺激も少なくなってしまいます。いつものルートを逆回りしてみるだけで、脳には普段と異なるさまざまな刺激が入ってきます。ぜひ試してみてください。

歩く速度も変えてみましょう。普段の速さを基準として「ゆっくり」と「速く」を含めた3パターンの速さをつくってみてください。ウォーキングマシンを使った実験では、歩く速さを時速3㎞、5㎞、それ以上と変化させると、脳の中で働く部分が変わるという報告があります。

歩く速度は、腕を振る速さでコントロールできます。普段のウォーキングの中で「普段の速さ」「速く」を多めにして、「ゆっくり」は少なめで歩いてみてください。筋力や心肺機能を高めることができます。

ウォーキング中の「定点観測」も脳に刺激を与える効果があります。歩数を記録するアプリもあるおかげで、今は多くの方がスマートフォンを携帯してウォーキングをしていると思います。四季の変化で木々の葉の色や日差しの角度はまったく違います。

雲の形も刻一刻と変わっていくでしょう。気になる風景、いつもと違う風景を見つけたらカメラを向けてみてください。変化に敏感になる感性も脳に刺激を与えてくれますし、ウォーキングがますます楽しいものになります。

③夜の睡眠時間を最低6時間以上とろう

睡眠は心身を休ませるためだけのものではありません。脳を休ませると同時に、記憶を定着させる働きもあります。生活習慣病の予防にも役立ちます。

睡眠に問題がある人はそうでない人に比べて認知症全体の発症リスクが2.4倍、アルツハイマー型認知症の発症リスクは2.92倍になるという論文があります。また、アルツハイマー型認知症の原因の一つであるアミロイドβタンパクは深い眠りに入ったときに除去されるという研究結果もよく知られています。それだけ睡眠は認知症予防に大きな役割を果たしているのです。

仕事や家のことで忙しい時期はあるかもしれません。それでも睡眠時間だけは脳のためにしっかり確保することをぜひ習慣づけてください。時間の目安は最低6時間以上。昼寝はしなくても大丈夫です。日付が変わる前にベッドに入り、6時間以上寝るようにしましょう。

年齢を重ねるとともに夜中に目が覚めたり、トイレに起きたりする方もいると思います。しかし、それは当然のこと。睡眠が細切れになることを過剰に気にする必要はありません。またベッドに戻って寝ればいいと割り切りましょう。

④小さな楽しみをたくさん持とう

脳が老化してくると思考の幅が狭くなり、新しいことにチャレンジするのが億劫になります。大勢の人との交流を好まなくなったり、常識や経験に頼り過ぎて若い世代の意見を聞かなくなり、思考がワンパターンになったり……。こういう人は認知症になりやすくなります。

脳を活性化させるために、好きなこと、好奇心を持ち続けられることをできるだけたくさん見つけましょう。それを起点に人間関係も自然と広がります。新しい経験や知識は脳に刺激を与え、活性化を促してくれます。

たとえば趣味が「旅行」だけだと、体調が悪かったり、コロナ禍のようなことが起こったりするとまったくできなくなる恐れがあります。「趣味」というほどのものでなくていい、些細なことで構わないので小さな楽しみをたくさん持つようにしてください。

好きなことを見つけるときにおすすめなのが、昔好きだったことや興味のあったことから掘り起こすことです。子どものころに昆虫採集が好きだった方は、昆虫の本を読んでみたり、昆虫をテーマにブログを書いたりしてみてはどうでしょう。

若いころに人気だったアイドルに熱中していた人は、新たなアイドルを見つけて「推し活」をしてみてもいいかもしれません。楽器をしていた人は、それを再開してもいいでしょう。

シニアになってからまったく新しいことにチャレンジする方もいます。それはとても素晴らしいことですが、長続きする人は残念ながらそれほど多くないようです。高い目標を掲げてうまくできずに挫折感を味わうより、若いころに好きだったことを再度やってみるところから始めることをおすすめします。

自分の中に何もしたいことがないという方は、ボランティア活動をしてみてはどうでしょうか。若い方から年配の方までさまざまな世代が集まって人のためになる活動をいっしょにすることで充実感を味わえます。ボランティア団体は地域に必ずといっていいほどありますから、調べてみましょう。

⑤回想時間で脳の疲労を回復させよう

スマホやパソコン、テレビが常に身近にあると、ついインプットばかりしてしまい、脳が疲れてしまいます。体が疲れたら休息を取るのと同じように、脳も疲れを取ることが大事です。できれば1日の中でスマホやパソコン、テレビからあえて離れる時間をつくりましょう。

目を閉じて無心になり、心を自分に集中させる瞑想ができればいいですが、瞑想は誰でもできるものではありません。スマホやパソコン、テレビから離れて、ひたすらボーッとするだけでもかなり脳の疲れを取ることができます。

私は毎朝、仕事前にお気に入りのカフェで落ち着ける時間を20〜30分ほど持つようにしています。携帯電話や手帳には手を伸ばさず、お店の壁や天井を眺めながらボーッとしているだけの時間です。こういう時間をきちんと取れた日は、仕事に向かう意識や集中力がとても高まります。脳が元気になりパフォーマンスが上がったのでしょう。

脳の疲れを取る時間に、成功したことや幸せだったこと、楽しかったことをくり返し回想してみることもおすすめします。

そうして疑似体験をすると、幸福感をもたらすセロトニン、ワクワク感や達成感を覚えるドーパミンといったホルモンが分泌され、脳を気持ち良くすることができるからです。回想法は認知症の改善や予防によいという報告も複数あります。


写真/shutterstock

死に方のダンドリ (ポプラ社)

奥真也
死に方のダンドリ (ポプラ社)
2024/3/6
1,100円(税込)
303ページ 
ISBN: 978-4591181386

病気で死ぬか、金が尽きて死ぬか…。それが問題だ。「生きてるだけ難民」急増中!!

そこそこ元気で、ぎりぎりお金があり、住むところに困らず、相続で揉めることもなく寿命を全うするには、若いうちからの準備が必要である。

その準備と対策をデータサイエンス、医学、マネー、不動産、相続……専門家8名が徹底解説!

序章  2033年、「お金が尽きて死ぬ時代」に突入する
冨島佑允(クオンツ、データサイエンティスト、多摩大学大学院客員教授)

第1章 「病気で死なない時代」の死に方のダンドリ
奥真也(医師・医学博士。医療未来学者)

第2章 100歳まで生活できるお金を貯めるダンドリ
坂本綾子(ファイナンシャルプランナー)

第3章 認知症になる前に財産を信託するダンドリ
岡信太郎(司法書士。司法書士のぞみ総合事務所代表)

第4章 老後に住める家を見つけるダンドリ
太田垣章子(司法書士。OAG司法書士法人代表)

第5章 100歳までボケない「不老脳」をつくるダンドリ
霜田里絵(医師・医学博士。銀座内科・神経内科クリニック院長)

第6章 最期を過ごす場所を決めるダンドリ
中村明澄(緩和医療専門医・在宅医療専門医。医療法人社団澄乃会向日葵クリニック院長)

終章 死ぬときに後悔しないためのダンドリ
大津秀一(緩和医療医。早期緩和ケア大津秀一クリニック院長)

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