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いびきをしなくなったら危険信号!?…高血圧になり、糖尿病のリスクも。筋トレのしすぎは気道を狭くする

集英社オンライン / 2024年4月28日 10時0分

パートナーや家族にとっては迷惑ないびきだが、いびきをかいているくらいなら大きな問題ではないという。とはいえ睡眠時無呼吸症候群につながる場合は、気をつけたほうがよいそうだ。長年、睡眠時無呼吸症候群の治療に力を入れている田中俊一医師に話を聞いた。書籍『金を使うならカラダに使え。老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方』より一部抜粋・再構成し、いびき、そしてその先に潜むリスクについて解説する。

【写真】睡眠時無呼吸症候群に使われるあの装置

いびきが出る3大要因は骨格・肥満・加齢

いびきはなぜ出るのか? それは「管楽器と同じような原理」だと田中医師。

「クラリネットなどの管楽器は、吹き込んだ空気の圧力でリードという薄片が振動して音が出る仕組み。鼻や口から吸い込んだ空気は気道を通りますが、気道が狭くなっていると大きな圧力がかかるため、のどが振動して音が出ます」(田中医師)

 気道が狭くなる原因は3つある。

骨格。特に日本人は首が細く、顎の小さい人が多く、もともと気道が狭い傾向がある。

肥満。顔や首周りについた脂肪が、仰向けに寝る姿勢の時に垂れ下がって気道を圧迫するため。

加齢。組織のハリが低下するため、首周りの脂肪や舌などが気道に沈み込むようになる。①②のタイプも、③の加齢要因が加わると悪化しやすい。

また、飲酒は筋肉を弛緩させるのでいびきが出やすくなるし、意外なところでは、筋肉量の増加も気道を狭くする。田中医師によると、筋肉の増量が重要なラグビー、相撲、ボディビルなどは首も太くするので、空気が通りにくくなる傾向があるそうだ。そして、口呼吸もいびきを悪化させる。

「花粉症や副鼻腔炎などで鼻詰まりがある場合は、口呼吸をせざるを得なくなりますね。口呼吸をすると口が開くことで舌が落ち込み、気道が狭くなるため、さらにいびきが出やすくなります」(田中医師)

いびきをしなくなったら危険信号

「それでも、いびきが出ているうちはまだいい」と田中医師は言う。

「患者さんは家族から『いびきがうるさい』と言われて受診しますが、いびきは睡眠中に息が通っている状態。息が止まってしまうと、いびきは出ません。無呼吸状態がひどくなると1分間に1回しか息をしなくなります。1回息をしたら60秒間は息が止まる、そんな状態は重症なのに、うるさくないから、一緒に寝ている人も気づかないんです」(田中医師)

 

いびきに対するクレームがなくなったら「治った、良かった」と思うだろうが、むしろ睡眠時無呼吸症候群へと悪化している可能性が高い。無呼吸状態になりしばしば息が止まるようになると、取り込む酸素が少なくなり、動脈血中の酸素が不足した状態になる。

すると、苦しくてうなされて目が覚めたり、悪夢を見たりするようになり、その段階で「無呼吸かもしれない」と気づき、受診する人も多いそうだ。

動脈硬化や糖尿病も引き起こす
睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は保険適用の病気で、診断基準は、睡眠時に1時間に5回以上の呼吸停止があること。いびきから睡眠時無呼吸症候群に進行してしまう原因を尋ねると、加齢の影響が大きいと田中医師。

脂肪や口腔内の組織も加齢で軟化する。舌の根もと(舌根部)が気道に落ち込んで塞いでしまうため、呼吸が止まってしまうのだ。年齢とともに発症する人が増えるのはこのため。田中医師は「日本人の8割以上、75歳を超えたら全員が睡眠時無呼吸症候群」だと考えて診療にあたるそうだ。

「発症する男女比は3:2くらい。60%が男性、40%が女性で、原因は同じです。睡眠時無呼吸症候群は知らないうちに誰もが抱えてしまう病気で、いくつもの病気の原因にもなります」(田中医師)

睡眠時無呼吸症候群がさまざまな病気につながるリスクについて、さらに具体的に教えてくれた。

「呼吸が止まる時間が長くなるため、酸素が十分に入ってこなくなり、低酸素血症になって脳の再生ができにくくなります。脳と心臓は低酸素血症に弱い臓器で、酸素が欲しいからすぐに脈を速める。すると、血液が送り出される時に血管内に乱流ができて動脈硬化が起きたり、無呼吸が年齢とともに進行し、脈を速めただけでは酸素が来なくなって、ついには高血圧にもなります。

つまり酸素を得るために頻脈、高血圧が起こり、そして次はもうこれ以上何をしても酸素が足りないという状態になり、副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される。それがインスリン抵抗性となって血糖値を上げ、糖尿病が発症します」(田中医師)

これはつまり、睡眠時無呼吸症候群を改善すれば、動脈硬化や糖尿病の予防にもつながるということでもある。


写真/shutterstock

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・骨格筋が出すマイオカインが健康の鍵を握る。
・ミトコンドリアの治療薬が健康長寿も叶える。
・エクソソームが血管から老化を防ぐ。

【第2章 「老いの不便」は解決できる】
・裸眼で見えると世界が変わる。
・いびきは動脈硬化・糖尿病・肥満にもつながるサイン。
・微笑みの障害・難聴は認知症や鬱を進行させる。
・自分で歯を磨けていると思う方が間違っている。
・嚙む力をコントロールし100歳まで歯を保て 。
・働き、闘い続けるにはテストステロンが必要だ。

【第3章 無駄死にしない知識を持て】
・人間の最後の病・認知症に立ち向かえ。
・過剰なリンから腎臓を守れ。
・助かる大腸がんで年間5万人が死んでいる。
・肺炎のワクチン接種率が低い日本。
・在宅ワークも影響!? 意外と知らない嚥下障害。

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