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全国7000校で導入「桃太郎電鉄 教育版」のスゴい中身!「桃鉄は優秀なコミュニケーションツール」学生はもちろん、社会人にも有効なワケ

集英社オンライン / 2024年5月20日 11時0分

すごろくゲームの鉄板「桃太郎電鉄(桃鉄)」シリーズ。その「教育版」なるものが学校教育の現場で活用されている。遊びながら日本全国の地理や歴史を学ぶことができるため、子どものみならず、社会人もプレイすべし? 今回は実際に教育版をプレイしたうえで、桃鉄シリーズのプロデューサーである株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)・岡村憲明氏に話を聞いた。

【画像】懐かしすぎる! 1988年に発売された初代「桃太郎電鉄」

学校教育への導入は無料、「桃太郎電鉄 教育版」が話題に!

全国各地を電車で移動しながら各地の物件を購入して、手に入れた資産の多寡を競い合う「桃太郎電鉄」シリーズ。1988年に第1作が発売された本シリーズは、シンプルだけど奥深いゲーム性と遊びやすさで人気を博した。

ゲームとしてのおもしろさもさることながら、「桃鉄」を通じて、地理や歴史を学んだという声も多い。実際にSNS上では「私も小学生のころスーファミの桃鉄のおかげで都道府県の位置とか県庁所在地とか覚えたわ」「桃鉄やったら地理関係覚えられるもんな」といった声が見受けられている。

そんな「桃鉄」シリーズの学校教育専用となるバージョンが「桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~」だ。

この「教育版」は、学校などの教育現場のカリキュラムを想定して一部のゲームバランスを調整したバージョン。授業で活用できるよう、WEBブラウザやタブレットなどでプレイすることができ、なんと学校教育機関への導入は無料。

これまで7000校以上が導入するほど広がりを見せており、教育の現場から注目が集まっているのだ。

では本作はどのような内容になっているのか。今回は特別にKONAMIから許可をもらい、「桃鉄 教育版」をプレイしてみた。

「ボンビー」登場なし⁉︎ 教育版をプレイ

今回はひとり用モードをプレイ。教育版では、プレイする地方を北海道~九州・沖縄の7地方(全国プレイも選択可能)、プレイ時間を1~3年から選択する。

通常版とは異なり、授業時間に合わせてプレイ時間を短めに設定できるのも特徴的だ。

プレイ自体は、サイコロを振り、自分の列車を進めていくという通常版と同じような進め方だが、駅に停まると、その駅周辺、都道府県のトピックが右側のバーに映し出される。

たとえば、「東京都東京駅」に停まった場合、「赤レンガ駅舎」「皇居」といったその地ゆかりのランドマークに関する説明がされる。さらに都道府県の県庁所在地や人口、名所なども紹介され、その地域全体の情報を総合的にインプットできるようになっている。

なお右上のメニューバーからすべての都道府県の情報をいつでも見ることができる。自分のペースで気になる地方をチェックできるので、生徒も自主的に学びを深められるだろう。 

そしてなんとシリーズおなじみのキャラクターである「貧乏神」や「キングボンビー」が登場しない。これは、生徒同士の摩擦になる要素を削除したという、「教育版」ならではのゲーム内容調整によるもの。

学生はもちろん、社会人もプレイすべし、の理由

感想としては、ゲームを楽しみながらも、各都道府県の情報がすっと入ってくるため、「勉強」ということを意識せずにプレイすることできた。おまけにプレイ時間も短めなので、長時間のプレイでダレることもない。頭に入れた情報をメモしたり、ノートにまとめたりするなどして知識の定着を図ることができそうだ。

遊び感覚で勉強できるので、子どもの勉強はもちろんだが、社会人の学びなおしにも役立つ可能性があると感じた。

大げさかもしれないが、地理に関する普遍的な知識が身を助ける場面は少なくなく、「桃鉄」を一緒にプレイすることで初対面の人間とも打ち解けられるかもしれない。

学びとコミュニケーションを深めるために「桃鉄」は、最強のツールと言っても過言ではない。

「いつの間にか勉強になってしまっている」

ではここからは岡村氏に話を聞いていこう。教育版の話が持ち上がったのは、2019年ころだったという。

「立命館小学校の正頭英和先生から『桃鉄を教育の現場に活用させてもらえないか』と声をかけてもらったことがきっかけでした。難読地名を子どもたちに教える際、暗記させようとすると普通は上手くいきませんが、ゲームをやりながらだと必死に覚えようとして、結果的に地理や歴史に対しての理解度が深まる。そうした考えのもと、具体的な制作が進みまして、2022年の『東京ゲームショウ』で発表、2023年初頭から提供を開始したのです」

学校や学生からの反響はどうなっているのか?

「やはりプレイしていて気づかないうちに、地名を覚えていたという話はよく聞きます。テレビやYouTubeなどで何となく知った場所を桃鉄で発見し、すとんと腑に落ちているのかもしれません。小学校低学年向けにフリガナを付けたバージョンも提供していますので、ふっと何かで難読地名が出てきたときでも難なく読めるでしょうね。

なお教育版は管理ツールを実装しており、中断や再開などを先生側がコントロールできるようになっています。学習のタイミングに合わせて制御可能なので、授業しやすい仕組みになっていると評判です」

学びのためになる一方で、こんな効果もあったそうだ。

「4月のクラス全体がまだ馴染んでいないときに、桃鉄をプレイしてお互いの親睦を深めあうといった使い方をしたという声をいただいています。また教育版をきっかけに学校に来るようになったという生徒さんもいらっしゃいました。コミュニケーションツールとしても機能しているようで、桃鉄ならではの現象だと感じました」

コミュニケーションツールとして優秀な「桃鉄」

教育版は学生のみがプレイできるバージョンとなるが、通常版の桃鉄は誰でも遊ぶことができる。いいこと尽くしの「桃鉄」、プレイヤー目線から見れば、社会人にも役に立ちそうなことばかりだ。

「そうですね。特に社会人の方ですと、お酒を飲みながら楽しんでもらえるかと思います。桃鉄は大人がプレイしても本気で楽しめるゲーム性となっていますので、ほどよくゲームに熱中しながらコミュニケーションを活性化させるツールとして手に取ってもらえるかもしれません。なおかつ、改めて地名や特産品を学んでもらえるのであればありがたい。

今のところ、社会人向けに教育版を作る予定はありませんが、通常版の桃鉄を遊んでいただいて、学びと交流に活かしてもらえればと思います」

お酒を飲んで上機嫌になり、笑いあったり、ヤジを飛ばしたりしてゲームを楽しむ。童心に帰るとともに学びなおしもできる。桃鉄はそんな機会を作ってくれるゲームなのかもしれない。

「桃鉄は優秀なコミュニケーションツールです。子どもも大人も楽しめるし、家族そろって遊べるちょっと特殊なタイトルになっています。親御さんが子どものときに、桃鉄で地理や歴史を覚えた経験をもとに、お子さんに同じようにプレイをさせて勉強させる、といったご家庭のお話もよく聞きます。

どんな世代でも笑って遊びつつ、ちょっとした学びにもなる。そういった桃鉄ならではの大事な部分は、これからもしっかりと残していきたいですね。

ちなみに桃鉄シリーズの原作者であり総監督のさくまあきら先生は、桃鉄制作にあたって、実際に地方に赴いてご当地のグルメを食べるという取材をされています。学生さんたちにも、桃鉄を通じて地理や歴史に興味を持ってもらい、ゆくゆくは授業で学んだ場所に旅行に行ってもらえるとうれしいです」

取材・文/文月/A4studio

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