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「荒んだ心に蓋をしないと進めなかった」激動の時代と走ったSOPHIA松岡充「今世界に必要なのはどれだけ柔らかい心で包めるか。そんなのロックじゃないよというならロックじゃなくていい」

集英社オンライン / 2024年6月2日 11時0分

「90年代に僕らが歌った世界が今、来ている」SOPHIA松岡充が憂鬱が溢れる時代だから伝えたいこと…30年目のSOPHIAがデビュー曲を歌う理由〉から続く

2024年で結成、2025年でデビュー30周年を迎えるSOPHIA。1995年のデビュー作をオマージュしたアルバム『Boys and』のリリースを予定しており、夏には、デビュー当時と同規模のライブハウスツアーを開催する。デビュー時の葛藤、孤独や怒りを抱えながら駆け抜けた時間……ヴォーカルの松岡充が見据える今後の活動への思いとは。

【画像】激動の30年を語ったSOPHIA松岡

荒んだ感情に蓋をしないと前に進めなかった

――『BOYS』など過去の作品のオマージュをするにあたって、当時の気持ちを振り返ったり、今の曲作りに反映することはありますか?

30年間、時代が大きく変わる節目を実体験しながら、SOPHIAとして活動してきて。メディアも生活の環境も、周りの人も変わっていくじゃないですか。その荒波に揉まれて、怖さも味わってきた30年間だったので。

そのときそのときで、すごく心が荒んだし、投げやりになったし、孤独感もありましたね。その理由はひとつでははく、いろんな要因があって。ただ、そういった想いに蓋をしないと次に進めなかったんですよね。もういいや、全部やめだって言ったらそこで終わってたけど、そうはしなかった。でも、そのときの気持ちっていうのは、僕は消してないんですよ。

「最初で最後」の挑戦をしなければ人の心は動かせない


――蓋をしただけで、まだ松岡さんの中にあるわけですね。

はい。その正体をちゃんともう一回確認しなきゃダメだって、僕はずっと思っていて。それは、本当に心が荒むようなことだったのか。もしかしたら、あの頃ネガティブにとらえていたことの中に、誰かの優しさという宝が見つかるかもしれない、と。

当時は、そのネガティブなものが松岡充やSOPHIAの音楽の原動力になっていて。「ゴキゲン鳥」なんて、言ったらもう、嘆いてる曲じゃないですか。そして最後、「問題は俺か?」って、蓋をしてる。オマージュという作業の中でそういった当時の感情に向き合うことが挑戦になっていくんじゃないかなと思います。

――蓋をした思いは今も忘れずに、引き出すことができるんですか?

引き出せます。でもそのためには、それに向き合うための体勢をとらなきゃいけない。それが今のこの活動なんですよね。そんな簡単に、パカッと蓋を開けて「ああ、こんなだったな」で向き合えるレベルではないので。そういう意味では、これが最初で最後って思えるようなトライをしていかないといけなくて。

これが最後なら、「こんな甘いジャッジはないな」とか「こんなモヤモヤした気持ちで進めていくのはイヤだ」って感じると思うんです。そういう気持ちで向き合わないと、人の心を動かしたり、人の人生に影響を及ぼす誰かにはなれないし、そういう作品も創れないと思う。

あの頃は自分を大人だと思っていなかった

――ここからのSOPHIAの活動は、すべてそういう「最初で最後」というものになっていくわけですね。

そうありたいですね。これまでメンバー5人で一緒にやってきてるので、そこに向かうんだというのはみんな理解できるはずなんですよ。それに、自分なりにそれぞれ蓋をしたものがあると思うので、そこに向き合ってほしい。

そういう関係性でいられたら、復活した意味もあると思う。僕は毎回これで最後だと思ってやっているから、もう我慢しなきゃいけないこともなくて。我慢するのって、関係性を保って長くそこにとどまりたいからじゃないですか。でも僕は別にとどまらなくてもいいし、ここで終わってもいいって今は思えるから。

――デビュー後から20代、30代は、そうした我慢をしたり、感情に蓋をしてきたとおっしゃっていました。

自分たちを大人だと思ってなかったです。30を超えても、勝手な大人たちや社会に対するアンチテーゼや疑問をずっと変えたまま、「自分たちは大人じゃない」って言っていて。いやいや、年齢的にももう大人でしょ。今だったら、そんな自分に対して「それは無理だよ」って、もうひとりの自分がつっこむと思う。「それ、あんたがやってんだよ」って。

――敵だと思って怒りをぶつけていた大人は、自分自身でもあったと。

そうです。今は「まさに自分だ」とわかっているけど、本当は当時からそうだったんです。

相手を思えば自分の苦しみから解放される

――松岡さんはずっと、そういう大人や社会に対する怒りの中で、生きるとは、人間とは、っていうことに向き合ってきたと思うんですが、30年間活動してきて、一定の答えが出たと言えるものはありますか?

最初に話したように、近い人との別れや死を経験して、すべてのことが当たり前じゃないと知る中でちょっとずつ、「あ、こういうことだったのかな」って思えたことがあって。「絶対、嘘だよ」って思っていたようなことも、僕の正解が誰かにとっての正解ではないとわかったんですよね。

「なんでだよ」って怒りを感じていたことも、こういう理由があったのかもしれないって思うことで、自分の負担が減って。思いやりを持てるようになった時に、実は自分の苦しみからも解放されるっていうことに気付きましたね。

結局、「自分、自分」だったから、そこに落ちてしまった。そうじゃなくて、自分があるのは誰かのおかげなんだ、誰かの幸せがあるから自分が幸せなんだって、近い人の生と死に向き合うことで気付き始めてからは、自分も救われていったんですよね。

――そうなると、作る曲や表現も、包み込むというか、相手を肯定した上で伝えるという表現に変わってくるのかなと。まさに「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」もそうですよね。

今、この世界に必要なのは、相手の毛羽立った感情をどれだけ柔らかい心で包めるかっていうことだと思う。そんなのロックじゃないよって言う人がいるんだったら、ロックじゃなくていい。僕はそんなファッション・ロックはいらないです。誰かとつながってしか生きていけない僕らにとって、その摩擦を少しでもやわらげるものが僕らの歌にあるのなら、僕はそのほうがうれしいし、そうありたいです。

パワーと若さの理由は

――ライブにメディア出演に舞台にと、精力的に活動されていますが、パワーや若さを保てる理由は?

お酒を飲まないからじゃないかなぁ(笑)。おいしいお酒も、みんなでワイワイお酒を飲む時間も好きなんですよ。ただ、「なんだよ、はぁ~」ってやさぐれてお酒を飲む瞬間ほど、この世に必要のない時間はないと思うので。

――最後に、この先10年の夢を教えてください。

先日、X JAPANのhideさんのメモリアルライブで歌わせていただいたんです。松岡充としてではなく、hideさんに僕の体と声を使ってもらおうと思って歌ったんですけど……hideさんが生きていたら今年60歳なんですよね。10年後っていうと、僕も60超えてるわけですけど、想像がつかないですね。でもこの間、韓国のすごくよく当たる占い師さんに「松岡さんは、60歳から大ブレイクします」って言われたんですよ。

――(笑)。

「え!? どんなブレイクですか?」って聞いたら、「今までの比じゃないです」って。

――今までの比じゃないって、どうなっちゃうんでしょうね(笑)。

すごいことになるらしいです(笑)。

――楽しみにしてます。

取材・文/川辺美希 撮影/水津惣一郎

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